タイのサマック・スントラウェート首相(当時)が、今年1月の首相就任後もテレビの料理番組に出演を続けて報酬を受け取っていたのが問題になり、サマック政権打倒を目指すタイの市民団体「民主市民連合」が8月下旬に首都バンコクなどで大規模抗議行動を主催し、首相府を占拠するなどの事態に発展。9月2日未明(いずれも現地時間)に首相府近くで民主市民連合とサマック政権を支持する市民団体が衝突し、男性1人が死亡、40人以上が負傷する事態になった。タイ政府は9月2日にバンコクに非常事態を宣言し、5人を超える集会やデモを禁止した。
また、上院議員のグループと選挙管理委員会が、サマック首相がテレビ出演で報酬を得たのは首相罷免が妥当としてタイの憲法裁判所に訴えていた裁判で、憲法裁判所は9月9日にサマック首相の行為が閣僚の兼業を禁じた憲法に違反するとの判決を下した。これに伴い、憲法の規定でサマック首相は即時失職し、内閣も総辞職となった。
報道などによると、料理が趣味というサマック氏は2000年からテレビの人気料理番組のホストを務め、首相時代の今年4月まで出演を続けていた。サマック氏は憲法裁判所で車代として金銭を受け取ったことは認めたが、番組制作会社の継続的な雇用関係はないと釈明していた。
タイでは、サマック政権打倒を訴える市民団体「民主市民連合」のメンバーが主導し、今年8月26日に首相府を占拠。また、政府系テレビ局「チャンネル11」も一時占拠された。さらに民主市民連合のメンバーが観光地プーケットなど南部にある3つの空港に集結し、滑走路に侵入するなどして空港が閉鎖された。サマック首相は9月2日―4日に訪日を予定していたが、こうした事態を受けて中止。サマック首相が率いるタイ政府がバンコクに非常事態宣言を発令したのに対し、軍部は静観を決め込んだ。