社会をよみとくキーワード

共同通信社記者の大塚圭一郎氏執筆、Z会の人気メルマガ「社会をよみとくキーワード」(毎週月曜日配信)より、
キーワードの説明部分を、配信翌日の火曜日に本ブログにて公開していきます。
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〈年末特別版〉偽
[2007年12月31日(月) ]

 年間の世相を1つの漢字で表す2007年の「今年の漢字」に「偽」が選ばれ、「漢字の日」の今年12月12日に京都市の清水寺で森清範貫主が縦1・5メートル、横1・3メートルの和紙に揮毫した。「今年の漢字」は日本漢字能力検定協会(京都市)が1995年から毎年公募しており、今年は11月初めから12月初めまでの募集期間に全国から9万816通の応募があり、「偽」が1万6550票と全体の18・22%に達して首位になった。

 日本漢字能力検定協会は、応募者が「偽」を選んだ理由として「相次ぐ食品偽装問題」と「老舗にも偽装が発覚」、「政界に多くの偽り」、「他にも多くの業界に『偽装』が目立った年」の4点を列挙。それらの傾向は2位から5位の漢字にも当てはまり、2位の「食」が2444人 (2・69%) 、3位の「嘘」が1921人 (2・12%)、4位 の「疑」が1848人(2・03%)、5位 の「謝」が1844人(2・03%)だった。

 特に目立ったのは食品偽装問題で、大手菓子メーカーの不二家(ブログ「社会をよみとくキーワード」今年2月27日参照)が埼玉工場(埼玉県新座市)が消費期限切れの牛乳をシュークリームに使っていたことを社内で把握しながら、公表していなかったことなどが今年1月に発覚。食肉加工販売会社のミートホープ(北海道苫小牧市)が豚肉を混ぜながら「牛ミンチ」と偽装表示するなどしたことが発覚して破産手続きに追い込まれ、同じ北海道では石屋製菓(札幌市)がチョコレートをクッキーで挟んだ菓子「白い恋人」(ブログ「社会をよみとくキーワード」9月11日参照)の賞味期限を改ざんしていたことなどが発覚。また、ダスキンが展開するドーナツ店「ミスタードーナツ」で飲み物「フルーティミルク」に賞味期限切れのシロップを使っていたことや、日本マクドナルド(東京)がフランチャイズ契約していた企業が「マクドナルド」の東京都内の4店で調理日時のラベル張り替えや、賞味期限切れ原料使用が発覚した。

 老舗でも偽装が相次ぎ、赤福(三重県伊勢市)が主力の和菓子「赤福餅」の消費期限などを偽って表示し、無期限の営業禁止処分を受けた。高級料亭の船場吉兆(大阪市)も、福岡市の店舗で菓子などの消費・賞味期限を改ざんしていたほか、本店で販売していた商品でも九州産の牛肉を「但馬牛」「三田牛」、ブロイラーを「地鶏」とそれぞれ偽って表示するなど産地や素材を偽装していた。

 政界では、政治資金などをめぐる「政治とカネ」の問題が相次いで発覚。東京地方検察庁特別捜査部に収賄容疑で11月28日逮捕された前防衛省事務次官の守屋武昌容疑者は、国会での証人喚問で偽証した疑いが強まっている。年金記録不備問題をめぐって社会保険庁は12月、基礎年金番号に未統合の「宙に浮いた」年金記録約5000万件のうち約945万件の特定が困難との調査結果を公表した。これを受けて、舛添要一厚生労働相は12月11日の記者会見で「(特定作業は)エンドレス。できないこともある」とすべての特定が難しいとの見通しを示した。舛添厚労省は、政府が来年3月末に照合を完了して「最後の1人まで探し出す」とした発言していたが、記者会見で「3月末までにすべてを片づけると言った覚えはない」と開き直ったことに批判の声が出ている。
 食品以外の業界の偽装では、英会話学校のNOVA(ブログ「社会をよみとくキーワード」11月27日参照)は受講契約時の虚偽説明や誇大広告、中途解約者とのトラブルなどを引き起こし、監督官庁の経済産業省から一部業務の停止を命じられたのも響き、10月26日に会社更生法の適用を申請して経営破たんした。建材メーカーのニチアスは軒裏天井材や防火壁などの耐火性能を偽っていたことが発覚したのに続き、タイヤメーカーの東洋ゴム工業も防火用断熱材の耐火性能を偽装した建材をめぐる偽装が明るみになり、ともに社長が引責辞任に追い込まれた。

 一方、年間の世相を反映した新語・流行語と、その言葉にかかわった人物や団体に贈るコンテスト「2007年ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞が12月3日発表され、今年1月21日投開票の宮崎県知事選に当選した元タレント、東国原英夫知事の「(宮崎を)どげんかせんといかん」と、男子プロゴルフツアーに15歳8カ月の最年少記録で優勝した高校生ゴルファー石川遼選手の愛称「ハニカミ王子」が選ばれた。

 年間大賞以外のトップテンには、舛添厚労省が受賞した「(消えた)年金」、お笑いタレント小島よしおさんのギャグ「そんなの関係ねぇ」、メーキャップアーティストIKKOさんの「どんだけぇ〜」(「どれほどなのか、それほどでもないだろう」の意味)、作家渡辺淳一さんの著書のタイトルで「鈍感」に積極的な意義付けをした「鈍感力」、相次ぐ食品偽装問題を受けた「食品偽装」、川崎昌平さんの著書のタイトルでネットカフェに寝泊まりする人を指す「ネットカフェ難民」、大食いタレントのギャル曽根さんが受賞した「大食い」、最高気温が35度以上の日を指す「猛暑日」(今年8月16日に埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市で40・9度と国内最高気温を74年ぶりに更新し、熊谷市直実商店会の瀧沢寧和会長が受賞)が選ばれた。

◆◇ 筆者より ◇◆
 2007年も残り1日となりましたが、皆さまは年の瀬をいかがお過ごしでしょうか。この「Z会ブログ」のブログ「社会をよみとくキーワード」は、メールマガジン「社会をよみとくキーワード」の解説部分を07年3月から公開するようになりました。おかげさまでブログ「社会をよみとくキーワード」へのアクセス件数は1日に100件を突破する日も多く、毎月増加の一途をたどっており、07年12月に累計で1万アクセスを突破しました。つきましては2007年も「社会をよみとくキーワード」をご愛読いただいたお礼に「年末特別版」をお届けすることにしました。2007年に関連するキーワードを取り上げましたので、1年を振り返る契機にしていただければ幸いです。
(筆者:大塚 圭一郎)

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