社会をよみとくキーワード

共同通信社記者の大塚圭一郎氏執筆、Z会の人気メルマガ「社会をよみとくキーワード」(毎週月曜日配信)より、
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NOVA
[2007年11月27日(火) ]

 経営破たんするまで国内最大手だった英会話学校で、駅の近くのビルに教室を構え、外国人講師とのレッスンを「駅前留学」とうたってテレビ広告を積極的に展開していた。ピーク時は関東と関西を中心に900以上の教室を構え、受講者数は約48万人いたとされる。ジャスダック証券取引所に株式を上場(今年11月27日付で上場廃止)し、2007年3月期連結決算は売上高が570億円、純損益が24億円の赤字となり、2年連続の赤字だった。統括本部を大阪市に置く。

 NOVAは3年間分といった長期間のレッスン料を前払いさせることで、1回が割安になるなどの手口で勧誘して受講生を増やした。しかし、近年は少子高齢化も影響して外国語教室の新規入学者数が頭打ちになっている上、受講生や中途解約者とのトラブルが続出。中途解約した元受講生から未受講のレッスン料返還を求めた損害賠償請求訴訟を相次いで起こされて敗訴し、監督官庁の経済産業省が今年6月に6カ月間の一部業務の停止を命じたことなどから入学者が落ち込み、受講者の解約も相次いで資金繰りが悪化。賃料滞納によって教室閉鎖が相次ぎ、外国人講師や従業員への給料遅配も起きた。このため、創業者でワンマン経営で知られた猿橋望(さはし・のぞむ)社長を除く取締役3人が今年10月25日深夜に臨時取締役会を開いて社長解任を決議し、翌26日に会社更生法の適用を大阪地方裁判所に申請して経営破たんした。約670の教室は一時閉鎖し、負債総額は約439億円に上った。

 NOVAの保全管理人は11月6日、外食や英会話教室、学習塾などを手掛けるジー・コミュニケーション(名古屋市)グループに一部事業を営業譲渡し、NOVAを清算することを発表した。ジー・コミュニケーショングループは、まずはNOVAの約30教室を譲り受けて授業を再開し、200教室規模の運営を目指すと表明した。ただ、ジー・コミュニケーショングループは受講生が前払いしたレッスン料は返還せず、NOVAにも支払い余力がないため、レッスン料を前払いしていた約30万人といわれる受講生らに被害が広がった。外国人講師や従業員への不払いになっている給与も多額で、NOVAの「詐欺的な商法」(元講師)は大きなつめ跡を残した。

 NOVAは、猿橋氏がフランスに留学したものの言葉ができずに苦労した経験をもとに、1981年8月に「有限会社ノヴァ企画」として大阪市で創業した。最初の教室を大阪市中心部の心斎橋に81年9月に開設し、第2号を大阪市・梅田に84年1月にオープン、さらに86年からは東京にも進出して関東、関西に教室を広げた。90年8月に株式会社ノヴァ(95年からNOVAを呼称)に改組して規模拡大を加速し、92年から子ども向け英会話教室「NOVA KIDS」も始めた。96年に株式を店頭公開(現ジャスダック証券取引所上場)。2000年4月には47都道府県すべてに進出し、「お茶の間留学」を標榜してテレビ電話を使ったレッスンも展開した。

 しかし、講師の採用が教室数増加に追いつかない状況にもかかわらず受講契約の際に「(レッスンを)いつでも、どこでも予約可能」などと虚偽の説明をしたり、実際には入学金を常時免除しているにもかかわらずテレビ広告などで「今だけ入学金免除」と誇大広告して勧誘したり、中途解約する受講生への返還金では受講していない分のレッスン料で契約時を上回る単価を差し引いたりと悪質な手口を繰り返した。元受講生からは国民生活センターなどに相談や苦情が寄せられたほか、各地で相次いだ元受講者が受講していない分のレッスン料返還を求めた損害賠償請求訴訟では、最高裁判所は今年4月にNOVAが中途解約時に契約時を上回る単価で精算する方法を違法と判断し、NOVAの敗訴が確定した。また、外国人講師を社会保険に加入させていないなど「労働条件は劣悪だった」(元講師)という。

 経済産業省は6月13日、NOVAのテレビ広告などの誇大広告や受講契約時の虚偽説明などで特定商取引法に違反したとして、NOVAに対して6月14日から6カ月間にわたって一部業務の停止を命じた。これらの問題を受けて、厚生労働省はNOVAの受講者の一部を対象にした教育訓練給付金制度による経費補助を6月20日以降の新規受講者から打ち切った。教育訓練給付金制度は失業者らの能力向上が目的で、一定期間以上の雇用保険加入者が申請すれば20万円を上限に受講料などの4割を補助しているが、厚労省はNOVAを教育訓練の実施者として不適当と判断。NOVAは新規入学者の獲得で一段と苦戦するとともに、中途解約者も相次いで経営破たんを迎えた。

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