社会をよみとくキーワード

共同通信社記者の大塚圭一郎氏執筆、Z会の人気メルマガ「社会をよみとくキーワード」(毎週月曜日配信)より、
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ダウ・ジョーンズ
[2007年11月06日(火) ]

 米国の有力経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」を発行するほか、経済ニュースを配信するダウ・ジョーンズ通信社、投資家向けの週刊経済誌『バロンズ』などを手掛ける大手メディア企業で、米国ニューヨークに本社を置く。チャールズ・ダウ氏やエドワード・ジョーンズ氏らが出資して1882年に創業した。06年12月期決算の売上高は、17億8300万ドル(1ドル=115円で計算すると約2050億4500万円)、純利益は3億8600万ドル(約443億9000万円)。

 ウォールストリート・ジャーナルの名前は、ニューヨーク証券取引所などがある金融街のウォールストリート(東京では日本橋兜町に当たる)に由来しており、1889年に創刊された。ダウ・ジョーンズによると、米国での発行部数が171万3413部(昨年3月調査)で、全国紙「USA TODAY」に次いで米国2位。日本ではアジア版の「ウォールストリート・ジャーナル・アジア」が販売されており、発行部数8万521部のうち日本は7226部(2005年1―6月調査)。欧州版の「ウォールストリート・ジャーナル・ヨーロッパ」などもあり、バロンズの発行部数は30万7262部(06年6月調査)。

 「メディア王」の異名を持つ76歳のルパート・マードック氏が率いる新聞や映画、ケーブルテレビ、衛星放送、音楽会社、インターネット産業などを傘下に展開する米ニューズ・コーポレーションは、今年4月にダウ・ジョーンズに対して買収を提案。ダウ・ジョーンズのオーナー家であるバンクロフト一族はいったん反対を表明したが、5月末以降に交渉入りを承認してマードック氏と会談。ダウ・ジョーンズとニューズは、買収後も「ウォールストリート・ジャーナル」などのニュース活動や編集部門の独立性を確保することで合意し、両社は7月31日の取締役会でそれぞれ買収を了承した。

 ニューズは1株当たり60ドルでダウ・ジョーンズの株式を買い付け、買収金額は約50億ドル(約5750億円)。ニューズは買収により、有力経済紙「ウォールストリート・ジャーナル」のブランド力を生かすとともに、ダウ・ジョーンズが持つ経済関係のコンテンツをグループで活用する戦略を描いている。

 ニューズは、1980年代に英国高級紙「タイムズ」や米国映画大手の20世紀フォックスを買収し、日本では96年にソフトバンクとともにテレビ朝日株を取得したものの、売却した経緯もある。マードック氏はタイムズを買収する際に独立性を約束したが、マスコミ関係者には「編集活動に介入して質を低下させただけに、ウォールストリート・ジャーナルも二の舞いになる」との見方が出ている。

 買収交渉の過程で、バンクロフト一族からは株式の買い付け金額を上げるように求める声や、買収を了承する過程でマードック氏がダウ・ジョーンズの編集活動に介入することへの不安も出るなど容易にまとまらなかった。このため、バンクロフト一族が支出した法律家などへの助言費用をニューズが肩代わりする実質的な買収額引き上げで解決が図られたが、売却に反対する1人は取締役を辞任した。また、ダウ・ジョーンズの社員への波紋も大きく、買収に反対してデモ行進が起きるなどの動きもあった。

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