チョコレートをクッキーで挟んだ菓子で、札幌市に本社を置く菓子メーカーの石屋製菓が1976年に発売して北海道を代表する土産としてヒット商品になった。原則として北海道内だけで販売しており、販売枚数は年間2億枚に上る。北海道に本社を置く大手企業が限定的な中で、石屋製菓は「白い恋人」で売り上げを伸ばして北海道の有力企業の1つに成長していた。2007年4月期決算の売上高は約73億円で、うち「白い恋人」が約75%を占める。
創業家の2代目に当たる石水勲社長(今年8月23日に辞任)が業績を大きく伸ばし、札幌商工会議所副会頭や、サッカーJリーグのチーム「コンサドーレ札幌」の運営会社の役員を歴任するなど社外活動も活発にしていた。札幌市西区宮の沢にある本社は、本社工場と観光施設「白い恋人パーク」を併設しており、観光客の人気も集めていた。
石屋製菓は8月14日、「白い恋人」で賞味期限を改ざんしていたことや、アイスクリームとバウムクーヘンから食中毒の原因となる恐れのある細菌を検出していたと公表し、自主回収を始めた。賞味期限は食品衛生法と日本農林規格(JAS)法に基づき、定められた方法で保存して開封前ならば品質が保たれる期限であり、製造者が適正に設定することを定めており、「白い恋人」は製造後の4カ月後が賞味期限だった。これらの不祥事を受けて、札幌市の百貨店や新千歳空港の土産物店などは石屋製菓の商品を店頭から撤去し、北海道土産の代表格だった「白い恋人」が消える事態になった。札幌市と北海道は8月15日、食品衛生法などに基づいて石屋製菓の本社工場へ立ち入り検査し、石屋製菓の食品衛生法やJAS法の違反、衛生管理の落ち度について調べを進めている。
石屋製菓は6月下旬、アイスクリームから大腸菌群を検出しながら保健所に報告せずに店頭からこっそり撤去して廃棄し、バウムクーヘンから黄色ブドウ球菌を検出したことも隠ぺいしていた。すると、従業員とみられる人物から通報を受けた札幌市保健所が8月10日にアイスクリームの抜き打ち検査をして発覚し、石屋製菓は8月12日に細菌を検出した事実を伏せたまま、アイスクリームを回収する新聞広告を出していた。アイスクリームは製造器具の殺菌が不十分だったことが原因とみられており、バウムクーヘンは従業員の手から黄色ブドウ球菌が付着したとの見方が出ている。
「白い恋人」については、返品された30周年記念のキャンペーン商品を一般商品として再包装する時に、4カ月後に設定した賞味期限を1カ月先に改ざんして出荷していたと発表。さらに8月16日になり、1996年から約11年間にわたり、「白い恋人」の賞味期限を5カ月後、または6カ月後に日常的に改ざんして出荷していたことも発覚。石屋製菓はを品質保持性能が優れた包装袋に切り替えた際、自主検査により製造から6カ月後でも品質に問題がないことを確認したとしており、この日常的な改ざんは当時社長だった石水氏も把握していた。また、他の商品からも食中毒の原因となる恐れのある細菌が検出され、石屋製菓は製造、販売を中止して全商品を店頭などから回収するとともに、8月16日から安全が確認できるまで自主休業に入った。
石屋製菓は8月23日に臨時株主総会と取締役会を開催し、石水氏が社長を引責辞任し、後任に主要取引銀行である北洋銀行(札幌市)の島田俊平常務を迎えるトップ人事を決めた。5人の取締役のうち石水氏の長男の創(はじめ)氏を除く4人が退任した。
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