米国ニューヨークに拠点を置く投資ファンドで、出資者から集めた資金を元手にして、ビール大手のサッポロビールの持ち株会社サッポロホールディングス(HD)など証券取引所に上場している日本企業の株式を大量に保有している米国系の投資ファンド。日本への投資はスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドが手掛け、大株主になっている企業に買収提案や、企業が株主に支払う配当金を大幅増額、大量取得した株式を高値で売って利ざやを稼ぐといった手法で知られる。
代表兼最高経営責任者(CEO)のウォーレン・リヒテンシュタイン氏が1990年に設立し、最初の投資先が鉄鋼会社だったことから「スティール・パートナーズ」と名付けられた。サッポロHDのほかに、菓子大手の江崎グリコ、カップめん最大手の日清食品、ハウス食品、かつら最大手のアデランスなどの株式を大量に持っている。株式を大量に買い集めて、その企業などに高値で買い取りを迫る「グリーンメーラー」との見方もされているが、リヒテンシュタイン代表は「誤解だ」と反論している。
昨年10月に、カップめん会社の明星食品に対し、経営陣が反対する敵対的な株式公開買い付け(TOB)を開始。その後、日清食品が対抗TOBを始めるとこれに応募して売り抜け、多額の利益を得た。また、サッポロHDに対して今年2月、TOBによって議決権の3分の2に当たる66・6%まで取得する方向で協議に応じるように提案。これに対してサッポロHDは、敵対的な買収者が現れた時に新株予約権発行を発行し、買収者以外の株主が行使すること
で議決権を低下させることができる買収防衛策の導入を3月下旬の株主総会で提案。スティールは「企業価値と株主価値にとって有害」と防衛策に反対したものの、委任状を含めた出席株主の過半数の賛成で承認されたため、膠着状態にある。
△スティール・パートナーズのウォーレン・リヒテンシュタイン代表兼最高経営責任者(CEO)
スティールはさらに、ソース最大手のブルドックソースに対して5月18日、産業用のこぎりメーカーの天竜製鋸(静岡県袋井市)に5月24日、それぞれ経営陣の賛同を得ないままTOBを開始し、すべての株式の取得を目指してTOBを開始。ブルドックソースと天竜製鋸の経営陣は、それぞれスティールによるTOBが「企業価値を毀損する」などとして反対することを表明し、今年6月下旬の株主総会で買収防衛策が承認された。
もしもブルドックソースが買収防衛策を発動すれば、新株予約権発行を発行してスティール以外の株主が行使することで、スティールの議決権比率が約10%から約3%に低下する。その代わり、ブルドックソースはスティールの新株予約権を約30億円程度の現金で買い取ることになる。スティールは、ブルドックソースの買収防衛策について「現行の法律に違反して、特定の株主を差別的に取り扱うもの」と反発し、6月13日に東京地方裁判所に新株予約権
の発行差し止めを求める仮処分申請をした。東京地裁は6月28日、ブルドックソースの買収防衛策について「株主としての経済的利益が平等に確保されていると一応認められている」などと妥当性を認め、スティールの申し立てを却下した。
スティールは東京高等裁判所に即時抗告したが、東京高裁は7月9日にスティールを「濫用的買収者」と認定するとともに申し立てを却下した東京地裁決定を支持し、スティールの即時抗告を棄却する決定を下した。
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