サッカー史上有数の実力を持つとされるフランス国籍の選手。34歳。両足を巧みに使ってボールをさばいたり、得意技の「マルセイユ・ルーレット」で相手選手の間を擦り抜けたりのプレーで、観客を魅了。フランス国民にとっての英雄であるとともに、「移民社会のスター」とも受け止められてきた。ワールドカップ(W杯)ドイツ大会(7月21日号参照)でフランス代表の主将を務め、イタリアと対戦した決勝が現役からの引退試合となった。愛称は「ジズー」。
1972年6月23日、アルジェリア移民の二世としてフランス・マルセイユに生まれ育った。貧しい中でサッカーの実力を磨き、88年にフランスのクラブチーム「ASカンヌ」に入団。その後「FCボルドー」、イタリアの「ユベントス」へ移籍し、フランス代表として出場した98年のW杯フランス大会では決勝で2得点を挙げて優勝に貢献。2001年にスペインの「レアル・マドリード」へ移籍し、その際の移籍金は約81億円(推定金額)と史上最高額を記録した。2004年にいったんフランス代表から引退するが、翌05年に復帰。今年5月のレアル・マドリードでの最終試合を経て、W杯ドイツ大会に全精力を費やしていた。
7月9日のW杯決勝トーナメントで、イタリア代表のマルコ・マテラッツィ選手(32歳)から暴言を吐かれたのに激高し、マテラッツィ選手の胸部に頭突き。ジダン選手はこの暴力行為のため退場処分を受け、結局フランスはイタリアに敗れて優勝を逃した。
ジダン選手はフランスのテレビに7月12日出演し、暴力行為に及んだ理由を「マテラッティ選手がとても耐え難い言葉を口にし、2度、3度と繰り返した。それは母と姉にかかわる極めて個人的な内容だ」と明かした。頭突きについては「許されない行為」と謝罪する一方で、「自分の行為を後悔するわけにはいかない。後悔すれば(マテラッツィ選手が)ああいう言葉を口にするのは正しかったということを意味してしまうからだ」と訴えた。その上で「本当に責められるべき人間を罰する必要があるということだ」と述べ、国際サッカー連盟に対してマテラッツィ選手への処分を求めた。
一方、イタリア紙の報道によると、マテラッツィ選手は暴言を吐いた理由を「ジダンのシャツをつかんだら、彼が横柄に『そんなにシャツが欲しいなら後でやるよ』と言ったので、侮辱の言葉で答えた」と話したという。
国際サッカー連盟(FIFA)の規律委員会は7月20日、ジダン選手に対してフランス代表の国際試合3試合の出場停止と罰金7500スイスフラン(約70万円)の処分を決めたが、現役から引退するため出場停止を3日間の社会奉仕活動に変更。マテラッツィ選手には「ジダン選手に対する侮辱的発言があった」として国際試合2試合の出場停止と罰金5000スイスフラン(約50万円)を科した。また、FIFAはマテラッツィ選手の暴言について「ジダン、マテラッティ両選手が事情聴取に対して人種差別的な内容はなかったと強調した」と表明したが、具体的な中身についての言及を避けた。
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