公正取引委員会が、日用品や家電製品をはじめとする一般商品などの不公正取引を禁じた独禁法による規制(一般指定)が、新聞業にはなじまないとして特別に禁止行為を設けた規定。新聞社と販売店が地域や読者によって異なる価格設定をしたり、定価を割り引いたり、新聞社が販売店に注文部数を超えて新聞を供給したりすることを禁じている。独占禁止法は1947年7月に施行され、同時に公正取引委員会が発足。独禁法は「新聞業における特定の不公正な取引方法」(新聞特殊指定)を55年12月新設したほか、新聞社が販売店に小売り価格を指定できる「再販売価格維持」を認めている。それらが、新聞の戸別宅配や全国一律価格を支える根拠になってきた。
公正取引委員会は昨年11月、新聞の特殊指定について「価格競争は競争の最重要な要素そのものであり、『公正な競争を阻害するおそれがあるもの』とは言えない。価格競争を禁止するような新聞特殊指定は、独禁法上の要件を満たしているとは言えず、消費者利益の観点から問題がある」などと指摘し、特殊指定を見直す方針を出した。
これに対し、新聞業界は「新聞は、他の商品とは異なり報道・言論のメディアであり、国民の『知る権利』に応え、民主主義の維持・発展に欠かせない商品である」「特殊指定がなければ販売店同士の価格競争になり、安定した戸別配達が困難になることや、一部の販売店はとうたされて経済効率の悪い地域には新聞が配達されなくなることも予想され、読者の情報に対する平等なアクセスが保障されなくなる」などと反発。日本新聞協会が今年3月に特殊指定の堅持を求める特別決議を採択したほか、各政党の国会議員や、地方自治体の議会なども特殊指定の見直しに反対した。
公正取引委員会は「新聞業界との間で議論を繰り返してきたが、議論がかみ合っておらず、議論を続けても特段の進展は望めない。また、各政党においても、新聞特殊指定を存続させるべきとの議論がされている」という状況を踏まえ、5月31日に新聞特殊指定の廃止を見合わせることにした。