フランスの大統領選挙に立候補するには国会議員や市町村長ら500人以上の推薦が必要で、第1回投票で過半数を得票した候補者がいれば当選となるが、過半数に達する候補者がいなければ上位2人が決選投票へ進み、1票でも多く獲得した候補者が当選する。1965年から今回まで7回行われてきた大統領選で、いずれも決選投票にもつれ込んでいる。選挙権は18歳以上に与えられており、大統領の任期は5年。
1995年から約12年間大統領を務めてきたジャック・シラク氏の任期満了に伴う大統領選挙は今年4月22日に第1回投票があり、保守系与党の国民運動連合(UMP)のニコラ・サルコジ党首、社会党の女性候補のセゴレーヌ・ロワイヤル元家庭担当相、中道フランス民主連合(UDF)のフランソワ・バイル議長、極右の国民戦線(FN)のジャンマリ・ルペン党首ら12人が争ったが、過半数に達する候補者がいなかったため、ともに大統領選挙に初めて挑んだサルコジ、ロワイヤルの上位2候補が5月6日投開票の決選投票に進んだ。
フランス内務省が発表した確定値によると、決選投票でサルコジ氏が得票率53・06%(1898万3408票)と、ロワイヤル氏の46・94%(1679万611票)に大差を付けて当選を決めた。投票率は83・97%。第二次世界大戦後に生まれた初の大統領となり、5月16日に就任した。
サルコジ氏は52歳の元弁護士で、父親がハンガリー系、母親がギリシャ系ユダヤ人の移民家庭出身。パリ大学卒で、シラク前大統領や対立候補のロワイヤル氏ら政界に多いグランゼコールの国立行政学院(ENA)出身のエリートと一線を画す。親米派としても知られる。2005年10月にパリで移民らの若者が自動車に火を付けるなどの暴動が起きた際は、暴動に加わった若者らを「社会のくず」「ごろつき」などと呼んで反発を招き、政府が非常事態宣言(2005年12月19日号参照)を出すほど騒動が全国に広がった。また、親日派で相撲観戦を好むシラク大統領との違いをアピールするためか、「相撲は知的なスポーツではない」と発言したこともある。
主な政策としては、経済のグローバル化が進む中で競争原理に基づいた雇用制度や、受け入れる移民の選別と治安強化などを掲げている。フランスは雇用創出などを目指してゆとりのある週35時間労働制を採用してきたが、サルコジ氏はこれを見直して労働時間を延長できるように改め、企業が社員らを解雇するのも従来より容易にする。また、犯罪の常習犯や少年犯に対する刑罰を従来より重くすることや、移民の受け入れでは「フランスにとって役立つ」かどうかで選別する方針だ。
一方、ロワイヤル氏は低所得労働者の待遇改善といった社会的弱者の保護政策を打ち出したが、左派勢力の支持基盤が弱まっている中でサルコジ氏に及ばなかった。
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