インターネットの普及や若者の活字離れ、広告の落ち込みといった出版不況、さらに王子製紙や日本製紙といった製紙大手が印刷用紙を相次いで値上げしたのを背景に、大手出版社の月刊誌などの休刊が相次いでいる。新聞が祝日などに発行されない「休刊日」とは定義が異なり、雑誌の休刊はそのまま復刊されることなく、事実上廃刊になることが大部分となる。かつては各出版社やその部門の“看板雑誌”だった媒体の休刊も多く、出版社の経営環境が深刻さを増していることをうかがわせる。
朝日新聞社は、オピニオン月刊誌「論座」を9月1日発売の2008年10月号をもって休刊した。1989年に創刊された「月刊Asahi」を引き継ぐ形で1995年に「Ronza」として創刊され、97年に漢字の「論座」に変更した。発行部数(日本雑誌協会による2007年8月末までの1年間の平均発行部数、以下同じ)は2万433部と低迷し、赤字が続いていたという。ともに週刊誌の「週刊朝日」や「AERA」などを発行する朝日新聞社の出版部門は、今年4月に設立された朝日新聞社全額出資子会社の朝日新聞出版に移されたが、「論座」の発行は朝日新聞社に残っていた。
また、講談社は1966年12月に創刊された総合月刊誌「月刊現代」を、12月1日発売の2009年1月号をもって休刊して42年の歴史を閉じる。政治や経済、スポーツ、教育など幅広い分野の硬派のノンフィクション記事や、社会ではほとんど知られていない業界話や裏話などを取り上げるコラム「早耳・空耳・地獄耳」などを掲載しており、筆者も署名入りで記事を書いたことがある。発行部数は8万5833部だが、講談社社員によると「長年赤字が続いていた」という。
講談社はほかにも不採算雑誌の整理を進めており、昭和時代の人気総合誌「キング」の誌名を復活させて2006年9月に創刊した月刊男性誌「KING(キング)」(発行部数8万8333部)と、01年創刊した月刊女性誌「Style」(発行部数10万416部)をともに9月発売号で休刊した。さらに月刊クロスワードパズル誌「クロスワードin」(発行部数7万2833部)を11月14日の発売号、月刊漫画誌「月刊マガジンZ」(発行部数2万7375部)を09年1月26日発売号でそれぞれ休刊する。
一方、集英社は1972年から続いてきた月刊映画誌「ROADSHOW」(発行部数6万5000部)、米プレイボーイ・エンタープライズとライセンス契約を結んで75年に創刊した男性向け月刊誌「PLAYBOY日本版」(発行部数5万4166部)をそれぞれ今年11月発売の2009年1月号で休刊する。広告を大衆文化の視点から紹介する月刊誌「広告批評」(マドラ出版)も、創刊30周年となる2009年4月号で休刊する。
ほかに今年になって、1917(大正6)年から約91年間続いてきた家庭誌の草分け的存在だった月刊女性誌「主婦の友」(主婦の友社、発行部数16万1166部)が今年5月発売の2008年6月号で休刊した。女性の社会進出など時代の変化に対応し、1990年代に大幅なリニューアルをするなどてこ入れを図ったが、主婦の友社は「近年は家庭生活のスタイルの変化と読者の皆様の要望にこたえることができず、部数が低迷していた」と打ち明ける。小学館も、1987年に創刊され「クロサギ」や「Dr.コトー診療所」などの人気作を連載していた週刊漫画誌「週刊ヤングサンデー」(発行部数20万2541部)を今年7月31日発売号、女性向け月刊漫画誌「Judy」(発行部数10万6166部)を8月23日発売の2008年10月号でそれぞれ休刊。
電通によると、雑誌広告費は2006年にインターネット広告費に逆転され、07年は前年比4・0%減の4585億円だった。中には、NHK出版が年2回発行の若手論客によるオピニオン誌「思想地図」を今年4月に創刊するなど新たな雑誌誕生の動きもある。だが、出版社社員からは「景気悪化も響いて広告出稿量は低迷しており、今後も雑誌の休刊は続くのではないか」との厳しい見方も出ている。
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