米国大統領選挙は、大統領の任期が満了する4年に1回の11月に実施される。ジョージ・ブッシュ大統領の後任を決める今年の大統領選挙は、11月4日に投票がある。米国は共和党と民主党の「二大政党制」になっており、両党はそれぞれの大統領候補を正式に指名する党大会を大統領選挙の年の夏に開く。党大会では、州の人口に応じて割り当てられている代議員が投票を実施、過半数を得た候補が大統領候補となる。その上で、8月の党大会で指名された両党の大統領候補が、11月の投票で大統領の座を争う。
実際には各州ごとに候補者を絞り込む予備選と党員集会が開かれていき、序盤戦で支持を広げられなかった候補者が次々と脱落し、党大会で指名争いを受ける候補者が党大会の前に事実上絞られる。とりわけ予備選と党員集会が集中する「スーパーチューズデー」は、候補者の座をを争う“天王山”となる。火曜日(=チューズデー)に設定される場合が多いため、予備選と党員集会が集中する日を慣例的に「スーパーチューズデー」と呼ぶ。
前回大統領選挙を取り上げた「社会をよみとくキーワード」2004年11月29日号の「ブッシュ米大統領が再選」の「キーワードの解説」では、このようにご説明していた。
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イラク戦争やテロ対策が焦点となった米国大統領選の投開票が11月2日にあり、2000年から大統領を務める共和党のジョージ・ブッシュ氏(58歳)〈筆者注:現在は61歳〉が、民主党上院議員のジョン・ケリー氏(60歳)〈筆者注:現在は64歳〉を破って再選を決めた。共和党の大統領が再選されたのは1984年の故ロナルド・レーガン氏(7月5日号参照)以来20年ぶりで、来年1月20日に就任式が執り行われる。米国の民間調査機関によると投票率は約60%に上り、1968年の62%に次いで高い割合だった。
米国の各種世論調査が投票日前日までの1週間に発表した平均支持率はブッシュ氏が48・4%、ケリー氏が46・9%とわずか1・5ポイント差で、史上まれに見る大接戦となった。しかし、2001年9月11日の米中枢同時テロを経験した米国民は、国際世論が反対する中で「大量破壊兵器の脅威がある」と標ぼうしてイラク戦争へ突入するなど強硬姿勢を崩さないブッシュ氏を信任したと言えよう。
選挙戦で、ブッシュ氏は地盤のテキサス州をはじめ米国南部を着実に押さえた。また、有権者登録名簿に名前が載っていない市民に投票を認めた「暫定票」の取り扱いをめぐって論議を呼んだオハイオ州も制し、激戦となったオハイオ、フロリダ、ニューメキシコの3州すべてを制覇。当選に必要な選挙人270人を上回る274人を獲得した。1億1000万人を超える一般投票でもケリー氏を約359万票上回った。
2期目を迎えるブッシュ政権は、反米武装勢力による攻撃や自爆テロ、外国人の拉致が続いているイラクの戦後復興や、イラク戦争に反対したフランス、ドイツなどとの関係改善が課題として待ち受ける。ブッシュ氏がイラクとともに「悪の枢軸(Axis of evil)」と名指しした北朝鮮とイランの核開発問題も存在する。ブッシュ大統領は当選後に「あらゆる国力を動員してテロとの戦いに全力を尽くす」と演説した。
一方、大統領選と同時に実施された上下両院選挙(日本の衆・参議院同時選挙に相当)でも、共和党がともに過半数を維持した。
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「キーワードの、その後」
共和党のブッシュ政権下で2003年3月に開戦したイラク戦争は泥沼化し、米国兵を含めて大勢の犠牲者を出したことなどへの反発も強く、ブッシュ大統領の最近の支持率は低迷している。また、ブッシュ政権は京都議定書から離脱するなど、二酸化炭素(CO2)の排出量削減といった地球温暖化防止への取り組みが不十分との批判が出ている。このため今年の米国大統領選挙の候補者は、ブッシュ政権とは一線を画した路線や政権公約(マニフェスト)を打ち出せるかがポイントになっている。
2008年のスーパーチューズデーは2月5日にあり、民主党が22州、共和党が21州で一斉に予備選・党員集会を開いた。共和党はジョン・マケイン上院議員(71歳)が3月までに、経済界出身のミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(61歳)、聖職者の経歴も持つマイク・ハッカビー前アーカンソー州知事(52歳)らを破って共和党大統領候補に決まった。
民主党は、ビル・クリントン前大統領の妻で初の女性大統領を目指したヒラリー・クリントン上院議員(60歳)と、初の黒人大統領を目指すバラック・オバマ上院議員(46歳)が歴史的な激戦を繰り広げ、スーパーチューズデーでも決着がつかなかった。6月3日にオバマ氏の獲得代議員数が指名に必要な過半数に達し、クリントン氏を破って指名を確定した。ヒラリー・クリントン氏は6月7日に選挙戦からの撤退と、指名争いを制したオバマ氏を支持することを表明した。
共和党は9月1日からミネソタ州、民主党は8月25日からコロラド州でそれぞれ党大会を開き、マケイン氏、オバマ氏とそれぞれ組む副大統領候補を正式に決める。オバマ氏は、民主、共和両党を通じて史上初の黒人大統領候補となる。
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