自動販売機でたばこを購入する際、喫煙可能な20歳以上の成人であることを識別するために用いる集積回路(IC)カード。タスポのローマ字表記は「taspo」で、「たばこのパスポート」の略から名付けた造語。たばこは健康を損なう恐れがあるだけに、未成年者のたばこ購入を防ぐのが狙い。
タスポ対応自動販売機が今年3月1日から宮崎、鹿児島両県で稼働したのを皮切りに順次広げ、6月1日から中部、北陸、関西各地方の2府13県にも導入したことで計38道府県になった。7月1日から関東地方と沖縄県の1都8県に広げ、全国47都道府県すべてに普及する。タスポを発行する日本たばこ協会(東京都)によると、5月27日時点でたばこの自動販売機は全国に43万8753台あり、うち94・8%に当たる41万5958台がタスポ対応になった。
タスポは氏名と会員番号、顔写真を載せており、他人への貸与や譲渡を禁止している。タスポをたばこ自販機の読みとり部分にかざすと、たばこを購入できるようになる。また、タスポに電子マネー「ピデル」を蓄積し、金銭の代わりにピデルを使って購入することもできる。タスポに申し込めるのは日本国内在住の20歳以上の成人。申込書に記入し、3カ月以内に撮影した縦45ミリ、横35ミリの顔写真と、運転免許証や健康保険証など本人確認できる書類のコピーで申し込む。日本たばこ協会は宮崎、鹿児島両県では昨年12月1日から、全国で今年2月1日から受付を始めたが、5月27日時点の発行枚数は470万168枚と、喫煙者の約18%にとどまっている。
未成年者がたばこを購入する場合、7割以上は自販機を使っていると推定され、未成年者でも比較的容易に購入できる自販機は問題視されていた。たばこ業界は、対策として従来は午後11時から翌日午前5時までたばこ自販機での販売を自粛していたが、たばこに未成年が手を出すのを防ぐには不十分との見方も根強かった。社会で未成年者の喫煙防止の取り組み強化を求める気運が高まったのを受け、たばこ業界はタスポの導入と対応自販機の設置に踏み切った。
一方、福岡県で未成年の息子にタスポを貸した母親が未成年者喫煙禁止法違反で書類送検されたほか、一部の業者がたばこ自販機にタスポをぶら下げる問題も起きた。こうした問題を受けて日本たばこ協会は6月13日、未成年者にタスポを貸した場合は、会員資格を取り消してカードの機能を停止すると公表した。ただ、未成年者が無断で持ち出した場合は管理の徹底を要請し、同じような行為が再発した場合は会員資格を取り消すという。
日本たばこ協会は2月1日から、タスポのPRと申し込みを呼び掛けるイベントを展開した。これに対し、日本たばこ産業(JT)は、子会社のジェイティフーズ(東京都)が輸入した中国製冷凍ギョーザを食べた消費者がおう吐や下痢などの中毒症状を訴えた中国製ギョーザ中毒事件(
Z会ブログ「
社会をよみとくキーワード」3月11日参照)を受け、自社で計画していたタスポの普及イベントを当面中止した。
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