中華民国(台湾)の総統選挙が3月22日投開票され、台湾最大野党の国民党の馬英九(ば・えいきゅう)氏が、与党の民主進歩党(民進党)の謝長廷(しゃ・ちょうてい)氏(61歳)を大差で破り、初当選を果たした。台湾の中央選挙委員会の確定集計によると、馬氏が765万8724票と、得票率で過去最高となる58・45%を獲得。敗れた謝氏は544万5239票と、得票率は41・55%だった。投票率は76・33%となり、陳水扁氏が再選された2004年の総統選挙を約4ポイント下回った。
馬氏は5月20日、故蒋介石(しょう・かいせき/「しょう」は正確には左漢字の旧字体)氏から始まり7人目となる第12代総統(1期を「1代」と数える)に就任し、任期は4年間。台湾は1996年3月に初めて直接選挙による総統選挙を実施し、親日家としても知られる国民党の李登輝(り・とうき)氏が圧勝。「中台統一」を国家目標としている中国は、台湾近海にミサイルを撃ち込むといった大規模な軍事演習で台湾を威嚇し、双方を挟む台湾海峡に緊張が走った。2000年の総統選挙で陳水扁氏が当選し、政権が初めて民進党に渡ったが、今回の総統選挙で8年ぶりに国民党が政権を奪還した。
台湾と中国の関係は、1999年に当時の李登輝総統が中台関係を「特殊な国と国の関係」と位置付けた「2国論」を唱えたのを契機に、双方の関係がさらに悪化。陳前総統も中国からの独立を志向して対中強硬路線を推進し、02年に中国と台湾は「一辺一国(それぞれの国)」と発言して中国が猛反発するなど中台関係は冷え込んだ。
これに対し、馬氏は中国との関係強化を公約に掲げ、中国と台湾を結ぶ直行航空路線の定期化や、台湾の上場企業などの中国投資額を資本金の40%を上限とする投資制限の緩和、人民元との両替の解禁、台湾への中国人観光客の受け入れ解禁などを訴えている。併せて、台湾語で話し掛けるなど「台湾人アイデンティティー」に訴えかけた。今年夏の北京五輪や2010年の上海万国博覧会(万博)を控えて経済成長が続いている中国とのビジネスチャンスを求めたり、台中関係の緊迫化回避を望む人々らの支持を集めた。
馬氏は57歳。1950年に香港生まれの中国大陸出身者(外省人)2世で、台湾の名門国立大学の台湾大学の法律学科を卒業後に渡米し、米国ハーバード大学
大学院で博士号を取得。台湾に帰国後は日本の法務相に相当する法務部長、台北市長、国民党主席を歴任してきた。端正な顔立ちで、女性の人気も高いという。1998年に台北市長選挙では現職だった陳水扁氏を破って初当選しており、台北市長の座に続き、総統のポストも陳氏の次に就任することになった。
一方、馬氏は政治的には独立せず、統一せず、武力を行使せずという「三つのノー」を公約とし、総統在任中は中国との統一交渉をしないと明言。「中台統一」を目指す中国との意識の隔たりは依然大きい。だが、馬政権で台湾副総統に就くことが決まった蕭万長氏が訪中して今年4月12日に中国海南省で中国共産党の胡錦濤(こ・きんとう)総書記と会談するなど中台間の交渉が活発化しており、今後は中台関係の改善と人々の交流が進んでいくとみられる。
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