旧日本国有鉄道(現JR)の首都圏や関西の路線で高度成長期の主力だった通勤電車「101系」が、2013年ごろに営業運転から完全に退く見通しになったことが27日、明らかになった。101系の譲渡を受けて唯一走らせている埼玉県北部の私鉄の秩父鉄道(埼玉県熊谷市)が私の取材に対し、保有する全車両を今後5年程度でほかの車両と置き換え、廃車にする計画を明らかにした。101系は登場から半世紀がたち、老朽化が進んでいるのが理由だ。旧国鉄で“高性能通勤電車の草分け”として通勤通学の足として活躍した名車で、鉄道愛好家らに人気があるだけに引退を惜しむ声も出てきそうだ。
(文・写真:大塚 圭一郎)
○JRからは03年に消滅
101系は1957年に当初は「90系」の呼称で登場し、58年から量産が始まった。とりわけ通勤通学時の大量輸送で力を発揮するため、片側に両開きの4扉を備えており、旧国鉄で初めて中空軸平行カルダン駆動を採用するなど画期的な高性能電車だった。主に路線別に色とりどりに塗装され、首都圏の中央線はオレンジ色、山手線はウグイス色、京浜東北線はスカイブルー、関西の大阪環状線や桜島線はオレンジ色、関西線は視認性を高めるために正面の窓の下に黄色のラインを入れたウグイス色がそれぞれ採用された。
101系は1969年にかけて1500両強が生産されたが、冷房がないことや老朽化したのが響き、主要路線では70―80年代から後継車両の103系や201系に置き換えられた。87年の分割民営化後、JR東日本が南武線の支線である浜川崎―尻手間(神奈川県)でワンマン化と冷房化改造を受けた2両編成、3編成が営業運転を続けていたものの、2003年11月に引退したためJRから一掃された。
これに伴い、秩父鉄道は旧101系の“最後の牙城”になった。秩父鉄道は85年から89年にかけて101系を購入し、「1000系」と呼称して3両編成、12編成を保有している。当初の塗装は正面の窓の下に茶色のラインを入れた黄色だったが、現在は白地に青や赤のラインを入れた塗色に改めている。また、12編成のすべてについて、3両編成のうち中間車を除く2両に94年から98年にかけて冷房を取り付けた。
△秩父鉄道長瀞駅のしだれ桜と旧国鉄101系の「1000系」(長瀞駅で筆者撮影)
○旧国鉄色の復活で人気健在
秩父鉄道は1000系の4編成を旧国鉄時代の塗装に塗り替え、「リバイバルカラー」として昨年9月から順次走らせて鉄道愛好家らの人気を呼んでいる。オレンジを皮切りに、スカイブルー、総武・中央緩行線や鶴見線で見られたカナリアイエローを順次導入。今年4月5日からは、正面の窓の下に黄色いラインを入れたウグイス色の関西線仕様を運転している。
1000系の置き換えが始まる時期や、代わりに導入する車両は今のところ分かっていない。ただ、旧国鉄時代をしのばせるリバイバルカラーが登場したこともあり、休日になるとカメラを抱えた愛好家が押し寄せるなど旧101系(秩父鉄道1000系)の人気ぶりは健在。引退後も車両保存を求める声が高まるとみられ、秩父鉄道社員は「今のところは全く白紙だが、(秩父鉄道終点の)三峰口駅近くの鉄道車両公園などに保存することも考えられるのではないか」と話している。
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