印刷用インキは、雑誌やポスター、チラシなどに幅広く使う「平版インキ」、新聞の印刷に用いる「新聞用インキ」、菓子の袋や通信販売用カタログに使う「グラビアインキ」、紙袋や包装用紙向けの「樹脂凸版インキ」、看板やCD、DVDなどに使われる「スクリーンインキ」、薄型テレビや電子基盤向けの「特殊機能インキ」などに大別される。印刷用インキの原材料は顔料と、合成樹脂や油脂類、溶剤といったワニス、滑剤や硬化剤などの添加剤で構成されている。
業界団体である印刷インキ工業連合会(東京)の統計によると、2006年の印刷用インキの出荷量は前年比0・8%増の50万1274トン、出荷額は1・7%増の3371億5600万円で、近年は頭打ちになっている。日本の大手メーカーにはDIC(旧大日本インキ化学工業、4月1日に社名変更)や東洋インキ製造、サカタインクスなどがある。環境に配慮した製品には、石油系溶剤などの配合率を一定水準以下にした製品に認定する日本環境協会の「エコマーク」や、大豆油の比率を一定以上にした製品にアメリカ大豆協会が認定している「ソイシール」などが付けられている。
製紙会社が再生紙(「社会をよみとくキーワード」08年2月4日号と翌日のブログ参照)の古紙配合率を偽装していたのが発覚後、ザ・インクテックが2月1日にエコマークやソイシールを表示した製品で偽装しており、昨年4―12月にソイシールの月平均300トン、エコマークの月平均84トンが基準を満たしていなかったと公表。これを受けて経済産業省は、印刷インキ工業連合会に対して調査を指示した。
印刷インキ工業連合会は2月8日、傘下の印刷インキ工業会(東京)と印刷インキワニス工業会(大阪市)の会員企業を対象に調べたところ、エコマークやソイシールの認定を受けた製品を手掛けている28社の半数に当たる14社が基準を満たしていない製品を出荷していたとの調査結果を発表。印刷用インキでも“エコ偽装”がまん延していた実態が明らかになった。偽装していた14社のうち、社名が判明している大手・中堅9社はザ・インクテックのほかDIC、サカタインクス、東洋インキ製造、大日精化工業、東京インキ、「T&K TOKA」、日本新聞インキ、富士インキ製造。
2007年の月間の平均出荷量でみると、エコマークを表示した製品の1・0%に当たる205トンが基準を満たしていなかった。用途別では、新聞用インキの3・4%、出版物などに使う平版インキのオフセットインキの0・1%、グラビアインキといったその他インキの0・7%がそれぞれ偽装品。ソイシールを付けた製品では、07年の月間平均出荷量の3・8%に相当する455トンが大豆油の含有率基準を満たしていなかった。うち新聞用インキは51・8%に達したほか、オフセットインキの2・5%、グラビアインキなどその他インキの0・2%を偽装していた。
印刷インキ工業連合会は原因について、大豆油インキを多く使うと印刷時の乾燥に時間がかかるなどの問題が起き、品質改良の過程で環境基準順守の認識が希薄になったとの見方を示した。報告を受けた経済産業省は印刷用インキメーカーなどに対して、偽装していた会社に対して内部管理の徹底と再発防止策の策定を求めた。
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