社会をよみとくキーワード

共同通信社記者の大塚圭一郎氏執筆、Z会の人気メルマガ「社会をよみとくキーワード」(毎週月曜日配信)より、
キーワードの説明部分を、配信翌日の火曜日に本ブログにて公開していきます。
メルマガでは、筆者の見解・考察も御覧いただけます(右側の「リンク集」より登録できます)。

     
« ブルートレイン | Main | HD DVD »
中国製冷凍ギョーザ中毒事件
[2008年03月11日(火) ]

 中国河北省の「天洋食品」の工場で生産し、日本たばこ産業(JT)子会社のジェイティフーズ(東京都)が輸入した冷凍ギョーザ(餃子)を食べた千葉県と兵庫県にそれぞれ住む家族らが昨年12月以降におう吐や下痢などの中毒症状を訴え、うち千葉県の当時5歳の女児が一時意識不明の重体となった事件。1月29日に厚生労働省に一報が入り、ジェイティフーズなどが1月30日に発表した。

 食べ残した冷凍ギョーザからアブラムシなどの駆除に使われる有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出され、千葉県警と兵庫県警は中国での製造過程などで混入したとみて業務上過失傷害や食品衛生法違反の疑いで捜査に乗り出した。メタミドホスは日本で既に使用が禁止されており、中国はかつて広く使われていたものの中毒被害が続いて起きたことから、2007年1月以降は使用禁止になっている。

 これらの冷凍ギョーザは、ジェイティフーズが販売した「中華deごちそうひとくち餃子」と、日本生活協同組合連合会(日本生協連)の「CO・OP手作り餃子」。昨年10月に天洋食品の工場で製造、包装して商品の状態で輸入された。ジェイティフーズや日本生協連は天洋食品で製造された冷凍食品の自主回収を始め、厚生労働省は天洋食品からの食品の輸入自粛を求めた。

 兵庫県警の捜査によると、「中華deごちそうひとくち餃子」のうち6袋のパッケージ外側からメタミドホスを検出し、1袋はギョーザの皮とパッケージ内側からも検出。また、日本生協連が「CO・OP手作り餃子」について検査したところ29袋から有機リン系殺虫剤を検出し、うち27袋がメタミドホス、2袋が農薬などに使う「ジクロルボス」だった。ほかに会員生協が他の機関で検査したところ、5袋からメタミドホスを検出した。

 日本側は密封されたギョーザの袋の内部からメタミドホスが検出されたことなどに基づき、中国での生産工程で混入したの見方を強めている。吉村博人長官は2月21日の記者会見で「捜査経過からすれば、日本国内で混入した可能性は低い」と明らかにした。

 報道によると、中国公安省刑事偵査局の余新民副局長は2月28日の記者会見で、中国製冷凍ギョーザ中毒事件は残留農薬が原因でなく「人為的な個別事件」と断定した上で、メタミドホスが「中国内で混入された可能性は極めて低い」と訴えた。中国側が中国での混入説を否定したことに日本側からは批判的な意見が相次ぎ、泉信也国家公安委員長は2月29日の閣議後の記者会見で「中国側から特段の情報、分析結果の提供がない中、突然会見し、考え方を公にすることは問題解決にならない」と反発した。

 流通関係者によると中国製冷凍ギョーザ中毒事件の発覚後、日本国内では冷凍食品の売り上げが低迷しているという。JTは食品大手の日清食品とともに昨年11月、既に大株主となっている冷凍食品最大手の加ト吉を株式公開買い付け(TOB)などで完全子会社化した後、今年3月をめどに日清食品に加ト吉株の49%を譲渡し、今年4月をめどに3社の冷凍食品事業を統合することで合意していた。

 しかし、中国製ギョーザによる中毒事件の影響で統合計画の方針などで対立し、JTと日清食品は2月6日冷凍食品事業の統合計画を白紙撤回すると発表。JTは「冷凍食品事業を中核にしたグローバル食品メーカーへの飛躍」を目指していたが、中国製ギョーザ中毒事件の発生と日清食品との冷凍食品事業の統合撤回により、事業環境が厳しくなった。

〜標題のキーワードに関する「筆者の見解」は、Z会の人気メルマガ「社会をよみとくキーワード」で好評配信中!〜
Posted at 01:23 | この記事のURL

この記事のURL
http://www.zkaiblog.com/zkai04/archive/107