太田房江知事(現在は前知事)の任期満了に伴う大阪府知事選の投開票が今年1月27にあり、テレビのバラエティー番組などで活躍していたタレントで弁護士の橋下徹(はしもと・とおる)氏=無所属、自由民主党大阪府連推薦、公明党大阪府本部支持=が183万2857票と過半数を大きく上回る票数を獲得し、いずれも無所属の元
大阪大学大学院教授の熊谷貞俊氏=民主党、社会民主党、国民新党推薦=、弁護士の梅田章二氏=日本共産党推薦=ら4人に大差を付けて圧勝、初当選を果たした。投票率は48・95%。敗れた候補の獲得票数は熊谷氏が99万9082票、梅田氏が51万8563票、元中学校教諭の高橋正明氏が2万2154票、保護司の杉浦清一氏が2万161票だった。橋下氏は2月6日に就任し、任期は4年。
橋下氏は38歳で、現職知事では初当選を決めて昨年12月7日に就いた高知県の尾崎正直知事を抜いて最年少となった。第二次世界大戦後で30歳代の知事就任は4人目。与党の自民、公明両党は、昨年11月18日投開票の大阪市長選(「
社会をよみとくキーワード」2007年12月3日号、翌12月4日のブログ参照)で推薦した現職の関淳一氏が、民主党と国民新党の推薦を受けたTBS系列の民放準キー局、毎日放送(大阪市)の元アナウンサーである平松邦夫氏に敗れたものの橋下氏の圧勝で巻き返し、年内に予想されている次期衆議院議員選挙に向けて好材料となった。
大阪府にとって、全国有数の危機的な状況にある府財政を立て直し、民間企業ならば経営破たんに相当する財政再建団体への転落を防ぐことが喫緊の課題になっている。大阪府によると、府財政はバブル崩壊後に府税収入が幅に落ち込む一方、歳出が増加したため多額の財源不足が続いている。財源として使える貯金に当たる基金残高は2008年3月末でピークだった1991度の約14%まで落ち込む見通しで、借金に当たる府債発行残高も約5兆円と91年度の3倍以上に膨らんでおり、97年度からは9年連続の赤字決算が続いている。大阪府は、府債の一部に当たる約2900億円の返済を先送りすることで財政再建団体への転落を回避していたことが発覚しており、「赤字隠し」との批判が出ている。
このため大阪府知事選では財政健全化が大きな焦点となり、橋下氏は財政再建に向けて不必要な公共施設の民営化や売却を掲げた。また、自身が7人の子どもの父親であることを生かして少子化対策を前面に出しており、子どもがいる若い夫婦向けの公営住宅の家賃見直しや家賃補助、乳幼児医療制度や不妊治療補助の助成拡大、産婦人科・小児科などの医療施設と保育施設の充実などを掲げた。橋下氏は大阪府知事選出馬を「2万%ない」と全面否定しながら、昨年12月に一転して出馬を表明した変節が批判を浴び、過去に日本の核武装を提唱したことなどが問題視された。だが、バラエティー番組への出演を通じた高い知名度や、38歳という若さを武器に選挙戦を終始優位に進めた。
橋下氏は東京都生まれで、その後大阪市東淀川区に移り住んだ。名門の大阪府立北野高校でラグビー部の選手として活躍し、卒業後は
早稲田大学政治経済学部に進んだ。1994年に司法試験に合格し、97年に弁護士登録している。
大阪府知事選では当初、2000年に初当選した太田氏が3選を目指していた。しかし、太田氏が中小企業経営者らで構成する「関西企業経営懇談会」が主催する飲食会で2003年以降に11回講演し、1回当たり50万―100万円の多額の謝礼を受け取っていたことや、自身の政治団体を東京都江東区の親族が住むマンションを主たる事務所として届け出て事務所費を計上していたことなど「政治とカネ」問題が表面化。さらに大阪市長選で民主党と国民新党の推薦を受けて初当選した平松氏と一緒に万歳したことなども批判を浴び、前回選挙で推薦を受けた自民、民主、公明各党が見限って別の候補者を探したため太田氏は出馬を断念した。
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