社会をよみとくキーワード

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スイッチOTC
[2008年01月29日(火) ]

 消費者が薬局・薬店のカウンターで購入できる一般用医薬品(OTC)で、医師に処方してもらう医療用医薬品から一般用医薬品に転用(スイッチ)した医薬品のこと。発売にはほかの医薬品と同様に厚生労働省の承認が必要で、開発期間は一般的に4―5年とされ、承認申請には多くの臨床試験データも必要なため「多額の開発費がかかる」(製薬メーカー)とされる。

 一般用医薬品全体を指すOTC医薬品のOTCは「Over The Counter」の略で、薬局などのカウンター越しに一部の医薬品を売ったのが語源とされる。従来は「大衆薬」と呼ばれることが多かったが、製薬会社の業界団体の日本大衆薬工業協会などは「OTC医薬品」の呼称を普及させようとしている。

 スイッチOTCは医療用医薬品と同じ成分のため効き目が強く、厚生労働省は「医療用医薬品として使われて大きな副作用がなかった実績があり、消費者の選択肢も広がる」と指摘する。風邪の諸症状を緩和する総合感冒薬に用いられている成分ではイブプロフェンは85年、せきを鎮める成分「塩酸ブロムヘキシン」は87年にそれぞれ承認されており、ほかに水虫薬や胃腸薬などに使われる成分も認められてきた。

 また、昨年11月にはたんの排出を促進する効果のある成分「アンブロキソール塩酸塩」がスイッチOTC成分として承認された。この成分はドイツ製薬大手のべーリンガーインゲルハイムが開発、医療用医薬品として展開してきた。アンブロキソール塩酸塩を配合した総合感冒薬として、べーリンガー傘下のエスエス製薬が「エスタックイブファイン」を昨年12月26日、一般用医薬品で国内最大手の大正製薬が「パブロンエースAX」を今年1月に発売した。

 消費者サイドとしては、従来は医療機関で診察を受けなければ手に入らなかった医薬品を、薬局・薬店に足を運べるようになれば買える利点がある。一方、高齢化に伴う医療費増大を抑えようとしている厚労省は、保険適用の対象にならないスイッチOTCを含めた一般用医薬品の役割を重視している。

 厚労省の統計によると国内の一般用医薬品の出荷額は1997年の9655億円をピークに減り続けており、2005年は6672億円と8年間で3割強も落ち込んだ。成長する健康食品に顧客を奪われたうえ、コンビニエンスストアや小売店でも販売できるようにする医薬品の規制緩和で1999年に15製品群が医薬部外品へ移行し、2004年7月も一般用医薬品の15製品群、計371品目が医薬部外品へ移行した影響も大きい。調査会社の矢野経済研究所は、2007年は前年比微減の約6500億円となり、08年はスイッチOTCの拡大も貢献して6600億円と増加に転じると推測している。

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