生物担当です。
東大入試の3問を通して、生物学のおもしろさが感じられるかも?!という角度から分析?してみました。
第1問
キイロショウジョウバエ、ゼブラフィッシュという2種類の生き物が出てくる胚発生の問題でした。
どちらもマウスと並んで、発生過程の研究によく用いられる生き物です。
「母性効果因子」というものが登場しました。
母親から卵のなかに受け継がれた物質が、卵のなかのこどもが個体へと発生していく手助けをするというものです。
胚の前後軸(頭から尾まで)など、種によって共通の整然とした構造をつくるしくみは実はすごいと思いませんか?
そんな働きをしている遺伝子たちの名前がまたかっこいいのです。
セグメントポラリティー、ヘッジホッグ、ハンチバック…
なにかの技みたいですね。
アルマジロ、フシタラズ(日本語です!)なんてのもあります。
いろいろ雑多に並べましたが、これら遺伝子の機能、階層性、作用機構などなど面白いことばかりです。
こういう問題を通して、発生生物学への興味関心が(さらに)深まるかもしれないですね
第2問
植物の茎が光の当たる方向に曲がる、根が重力の向きに伸びる、ということは
一般的な現象であり、高校生物でもそのような性質があることは学びますが、
「なぜ重力の向きがわかるの?」と思っていた方いませんか?
この問題ではそこのところのしくみが簡単に扱われています。
(光の当たる方向に曲がる(正の)光屈性のしくみは、高校生物でも学びますね。)
シロイヌナズナ(高等植物では初めて全ゲノムが解読された、研究材料界植物部門のエースです)の茎と根では、アミロプラストという細胞小器官が重力にしたがって沈んでいくのを感知することで重力の向きを感知しているのですね。この問題を解いてはじめて知りました。
人間をはじめとした動物でも、耳の中にある「前庭」(まえにわでもなかにわでもない、ぜんていです)という器官で、からだの傾きに合わせて平衡砂(空欄5の答えですね)が動き、それを感覚細胞という専門の細胞が感じ取ることで、からだの傾きを感知しています。
似たようなしくみを植物ももっているわけですね。
植物と動物など、一見かけ離れた生き物が、同じ目的のために似たようなしくみをもっているということは、そこで採用されているしくみが、とても効率的で目的に適っている、ということですよね…
逆に、同じ目的でも、全く違うしくみで生きている生き物もいます。
なんとダイナミック!うまくできてる!!
ちなみに空欄5の答えであるところの「平衡砂」は、「平衡石」でもよいのではと思います。
無脊椎動物では石のような固形物ですが、脊椎動物では石というより砂状なので、よばれ方が違うそうです。
ちなみにちなみに、ここで扱われているような内容は、植物生理学の分野にあたるかと思いますが、植物生理学の研究室では、まるいシャーレに透明のゼリーみたいな培地をしき、そこにシロイヌナズナなどの植物を植えて育てていたりします。
ずらりと並んだ透明なゼリーから緑の植物が育つ光景は、かなり
ファンタスティック
です。
(個人的な印象です…)
第3問
文1は、ヒトの起源の研究に関して、ミトコンドリアDNAが登場しました。
ミトコンドリアDNAといえば、
早稲田大学理工学部の第1問では、
ネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの全塩基配列が2008年に解読されたことが出てきました。
むろん教科書になんて載っていない最新の話題…
新聞や雑誌、インターネットで科学関連ニュースをチェックするのも、じゅうぶん入試対策に有効です。
第3問のメインは、ABO式血液型の遺伝子頻度でしたが、
まず目を引くのは図3−1。なんと、現代(20世紀中頃)の日本では、南に行くほどA型が多いというではないですか。
思わず、友人の血液型にさっと思いをめぐらした人もいるのではないでしょうか…。
なぜ南ほどA型が多いのかという理由は、設問のひとつになっています。
文2では、ABO式血液型の遺伝子のもち方について2つの仮説が登場し、それぞれの妥当性を検証していくという形式になっていました。
このような問われ方だと、自分自身で何かを明らかにしたような気がして、問題が解けたときに納得感、充実感がありませんか?
もしかして、単純に「仮説2が正しい」と覚えるより頭に入るのでは。
後半は遺伝子頻度の問題で、計算問題が並んでいます。
生物Uで「生物の集団」や「生物の分類と進化」を学ぶと、
思いもよらず?「数式を駆使して生物を研究する」という分野を垣間見ることができますよね。
たとえば、ミツバチの働き蜂(すべてメス)が、自分ではこどもを生まず、
自分たちの姉妹である女王蜂がこどもを生むための手助けばかりしているのはなぜか?
なんてことが、数式を駆使すると説明できたりするのです。
生物は好きだけど数字はキライ!という(私のような)人も、食わず嫌いせず数字に親しんでみるのも一興です。
それでは
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