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銃、脳、そして孤独。

最近、Z会新入社員ブログはオタクブログ化している。
(↑誰のせいだよというツッコミ禁止。)

オタクついでなので言ってしまうと
オザワは図書館マニアである。

本が醸しだすあの匂い。
独特の時間進行。
そして「私語厳禁」という異空間。

その魅力に憑かれて以来、私は図書館に篭る人間となった。
小学では読書部として篭り
中高では図書委員として篭り
大学では他学部の図書館にまで足を延ばして篭った。
大学院では国内外の学会会場(多くは大学)で
必ずご当地図書館を巡礼することを旨とした。

余談だが、大学図書館からはその大学が透けて見える。
学生がどれほど学びに対して貪欲か、
公的な場での秩序を守っているか、
こういったものが良くも悪くも露呈される。
(机の落書きがひどい時には悲しい気分になる。)
もしこれから大学見学に行く高校生がいれば
ぜひ図書館観察をしてみてほしい。



前置きが長くなったが今巡のテーマは 【好きな本・映画】 

人生、底まで沈む時もある。
その時に心が欲する本がある。
これは非常に幸せなことだと思う。
そしてこの類の書は、やはり文豪の作品に多い。
(個人的には漱石や太宰が相当する。)
しかしながらこの手の感性のチャンネルは
本当に人それぞれなので、ここでは敢えて触れないことにする。

代わりに、今回は
高校までに読めば、人生の方向性変わり得る
大学以降に読めば、人生の価値観変わり得る

というテーマで選んだ3冊を紹介しようと思う。



まずは私の歴史観を根本から変えた、人類史の本。

【銃・病原菌・鉄】 ジャレド・ダイアモンド 著

こんなところで露呈するが、私は昔から歴史がキライだった。
些細な事実を羅列しそれを覚えるだけ、という印象が強かったのだ。
でもこの本を読んで『実は歴史は必然である』、
そう感じることが出来るようになった。

なぜ現代、世界は富と権力がかくも不均衡な状態にあるのか。
これが本書を貫く最大の疑問である。
有史以前から人類の歴史は持てる者と持たざる者の衝突の連続だ。
この衝突の最たる例が、16世紀半ばピサロ率いる神聖ローマ帝国の168名の兵士が、インカ皇帝率いる8万の軍隊に勝利したときだろう。

この驚くべき出来事の直接的な原因は
ピサロが「銃や、欧州の者には免疫のある病原菌、
鉄製の武具、馬、優れた航海技術」を持ってからであることは
少し考えればわかる。(これが本の標題の由来。)

しかし、ここで著者は問いかける。
「なぜこの時点でピサロ(=ローマ帝国)は銃・病原菌・鉄を持っており、アタワルパ(=インカ帝国)は持っていなかったのか」

そしてこの壮大な問いかけに対する、究極の要因はこれに尽きる。
「大陸が東西に伸びているか、南北に伸びているか」。

この「人類史は環境的要因の帰結である」という主張を
本書では豊富な実例から詳細に検討している。
同じ著者の【文明崩壊】では、栄えた文明が崩壊の途を辿る
必然的理由を探ってもいる。こちらも驚愕の書。




2冊目。
以前、物理オタブログで「自分が死ぬまでにどれほどのパラダイムシフトがあるか妄想するのが好き」と書いた。
個人的にはこの最有力候補は脳科学の分野だと思っている。
そう確信させてくれたのが、新進気鋭の脳科学者が書いたこの本。

【単純な脳、複雑な「私」】  池谷祐二 著

この本は、本当に面白すぎる。
著者の肩書きから予想する堅苦しさと無縁であることは、
この特設サイトをご覧頂ければ一目瞭然だろう。

しかし親しみやすい一方で
脳科学特有の哲学的な内容にまで
ずけずけと踏み込んでいるのは破格である。

上記サイトのピンクが緑になっちゃう錯視では
「存在とは何か」について語りかけてくる。

また、アリさんが歩いていっちゃう白黒ゲームでは、非常にシンプルなルール(物理法則を想起してもあながち間違いではないだろう)から自発的秩序形成が起こるさまに、正直鳥肌が立った。

同著者の【進化しすぎた脳】では、脳に電極をさしたラジコンネズミや
意志と脳活動との順序性の話題にも触れている。
自由意志に興味がある人にはよい入門の書。




最後は敬愛する齋藤さんの著書から一冊。

【孤独のチカラ】  齋藤孝 著

現代人は異常に孤独を恐れる。
その反動として、不必要なまでに人とつるみたがる。
あなたがもし一人でいることの意味を肯定的にとらえられず不本意ながらつるんでいるならば、その莫大な無為は、ものすごくもったいない。

単独者という基本姿勢。
これが何かを学ぶときに必須の条件である。
何かを成し遂げようとする時には、頭の良し悪しよりも単独者になれるかどうかが決定的である。

周りの人ともうまくやれるし、自分ひとりでも充実している。
このような単独者たれ、というエールに溢れる
孤独の威力を実感してきた著者による、孤独礼賛の書。



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この記事へのコメント

  • 1,
  • さかもとさん
  • 2010/08/13 23:25
こんにちは、お邪魔するのは初回以来ですね。

以前文庫コーナーで目にした『進化しすぎた脳』が気にはなっていたのですが、オザワさんの紹介に後押しされ(積読があるにもかかわらず)昨日購入しました。

読了しましたら、<リンク:http://www.zkaiblog.com/ob03/>こちら</リンク>で報告します。

  • 2,
  • にょ。さん
  • 2010/08/14 20:55
おお~。さかもとさん、お久しぶりです。
コメントありがとうございました!!

PS>入社以来、mt.flatさんにはとてもお世話になってますよ~。この前はお宅におしかけました笑。

「進化しすぎた脳」に「単純な脳、複雑な私」、おススメです。ネタも本当に興味深いものばかりです。ちなみに著者はさかもとさんと同じ薬学系の方なんですよ。(脳科学研究者としてはちょっと珍しい?)

読了された際の感想、楽しみにしていますね!

  • 3,
  • オザワさん
  • 2010/08/14 20:56
↓すみません。にょ。というのはオザワの俗名であります(笑)。

  • 4,
  • さかもとさん
  • 2010/08/23 21:38
『進化しすぎた脳』の前に『脳は何かと言い訳する』があったことに思い至り(笑)、<リンク:http://www.zkaiblog.com/ob03/archive/855>読み終えました</リンク>。
 ※『進化しすぎた脳』は後日。

医学系が多い領域ではありますが、薬学で神経科学・脳科学は決して珍しくはありませんよ!

p.s. 偉大な先輩mt.flatさんによろしくお伝えください!笑

  • 5,
  • オザワさん
  • 2010/08/24 23:43
>さかもとさん、

「脳は何かと言い訳する」、私まだ読んでません!!というかこれが一番最初だったんですね!
「科学とは」「科学的とは」という項目には非常に興味をそそられます。本屋で探してみまーす。

因みに、単純な脳~、を読まれる機会があれば、特設の動画サイトも併用してお楽しみください(むしろこちらを先に見て頂いても楽しいです)。こちらも一気に読み進んでしまう恐るべき本です。

#脳科学研究が薬学系、というのは最初はちょっと違和感覚えました、がそんなに珍しくはないんですねー。

PS>われわれ30同期の間では、mt.flat熱がじわじわと浸透しつつありますよ笑。
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オザワさんのブログ記事にinspireされて購入し、積読を差し置いて夏休みの間に読みました。 『脳は何かと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?』。 恥ずかしながらこれまで知らなかったのですが、池谷先生は東大の薬学部の先生で、しかも大きな括りで見ると研...