2007.11.09 15:52

 「メディア・リテラシー」という言葉があります。
これは、情報を載せる媒体(=メディア)が正しい情報を過不足無く伝えているかどうかを見極める能力のことです。

 しかし、日本ではまだメディア・リテラシーに関する教育が十分に行き届いているとは言い難く、それゆえに身近なメディアについて、その内容が事実かどうかを検証する基準を持ち得ないまま、「みんながそう言うのだからたぶん正しい情報なんだろう」という空気を読むことのほうが優先され、事実かどうかの検証が置き去りにされたまま、自分が面白いと感じる妄想をそのまま鵜呑みにして、独りよがりな世界観を構築してしまうことが珍しくありません。

 たとえば、学生にとって身近なメディアといえば、教科書とインターネットでしょう。

 もっとも、その2つにしても、誰が、どういう意図で、どんな内容を選んで、そこにその情報やメッセージを載せているのかについて、あまり深く考えないのが、日常的なメディアとの付き合い方だろうと思います。

 そうした付き合い方が、自分自身に不利益をもたらすことの恐ろしさをなかなか実感として覚える機会がないことも、メディア・リテラシー教育が浸透しない一因だろうとは思うのです。

 本当は負けているのに、あたかも勝ち続けているかのような報道一色だった第2次世界大戦の大本営発表は、形を変えてこの国を覆っているのかもしれないのですから。

 竹宮恵子さんのマンガ『地球(テラ)へ…』を知っていますか?

 20年以上ぶりに今年テレビ・アニメ化されましたが、これはメディア・リテラシーを考える上でとても興味深い作品です。

 主人公ジョミーは14歳で「成人検査」を受け、それまでの記憶を消されそうになります。

 これが超能力者の集団によって邪魔されると、自分が住んでいたところが地球ではなく、両親だと思っていた人も血のつながった関係ではないことを初めて知らされるわけです。

 「今まで誰かに教えられてきたことと、自分の目で確かめたことには違いがあるかもしれないぞ」というのが、まさにメディア・リテラシーというものの考え方なんですね。

 たとえば、「誰が」「どのように」情報を伝えているかということを一つとっても、多くの市民は知らされていないはずです。

 ふだん見ている雑誌・新聞の記事、テレビやラジオの番組を、誰がどのように作っているか、具体的にイメージできますか?

 これは、マスコミの仕事を10年以上していないと、ちゃんと説明することはできないでしょう。

 それらは、その新聞社やテレビ局といった社内の正社員が承認した企画を社外の制作プロダクションやフリーのスタッフが下請けとして制作することが多いんですね。

 しかし、一つの番組内容や新たな新聞記事が作られる際に真っ先に考えられていることは、その番組や記事を制作するコスト(経費)です。

 特定の事実を取材するには、取材するスタッフの人件費がかかりますし、交通費や飲食費、宿泊費、資料代などの細々とした経費もかかります。

 こうしたコストを支払ってもなお利益を出さないと、メディアの仕事はビジネスとして成り立たず、持続不可能になってしまいます。

 それゆえに、あらかじめそうしたコストを補填して余りあるだけのお金を調達するっ必要があり、そのためにスポンサー(広告主)を募り、TVCMや紙面での広告スペースを設けて、広告媒体料金をスポンサーの企業や団体から受け取るわけです。

 新しい雑誌を創刊するような場合は、当然、最初に広告ページのページ数を先に決めて、スポンサーが支払う額面(=ページ単価)を決め、そこに広告費を出してくれるスポンサー(=出稿先)を探すことになるわけです。

 社内の編集会議で、たとえば「新・常識マガジン」というコンセプトが決まると、それに見合ったスポンサーを探し、そういうコンセプトに沿った記事の企画を考えるようになるわけです。

 ところが、編集会議では、「新・常識として考えられるような現実があったらいいよね」という抽象的で骨太な方針だけが決まるのであって、その方針を裏付ける具体的な事実や取材先が決まっているわけではありません。

 そこで、そのコンセプトに合うような事例(=ネタ)を外注のライターたちに探させます。

 フリーのライターは、自分の収入になる仕事が欲しいので、コンセプトに合う記事を夢中で探します。

 新聞社やテレビ局などの正社員であれば、ネタが探す能力なくても毎月、固定給をもらえます。

 しかし、自営業者であるフリーライターは、自分がネタを探せなければ、記事を書けないため、ギャラが出ません。

 ですから、社内の編集者たちがデスクワークでひねり出した妄想に限りなく近い現実を血眼になって集めてくるのです。

 これは言わば、無茶振りです。

 現実の裏付けがなくても、そうした妄想を面白いと編集者が思っている以上、多くの外注のライターは「そんな妄想は勘弁してくれよ」とは思いません。

 たとえば、特集記事で「お金をまったく使わないすごい人々」みたいな魔法遣いのような人間を集めてこいと言われても、とにかく締め切り日までに集めるわけです。

 これは、社内ではコンテンツが作れず、社外のスタッフの存在なしには記事や番組が作れないということを意味しています。

 妄想に見合った現実を探す能力は、「それを見つけることなしには食えない」という切実さで毎日動いている外注スタッフにしか無いのですから。

 ですから、「14歳の少年が殺人を犯した」などという第一報が編集部に入った時などは、編集者はライターに頼んでその少年の写真を調達します。

 実際、週刊誌のライターなら、少年の卒業した学校関係者から卒業写真をもらうとか、少年の友人・知人筋から携帯カメラの画像を買うなどして、とにかく1両日中にそうした画像を集めてしまうのです。

 それだけフリーライターにはリサーチ能力が問われ、実際にリサーチ能力を身につけているライターならメディア業界で生き残れるわけですが、こういうコンテンツの作られた方が延々と今日まで続けられていること自体、メディア・リテラシー教育が浸透していない証拠なのかもしれません。

(つづく)
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2007.11.02 10:00

 今年(2007年)4月から、東大(駒場キャンパス)で毎週、自主ゼミ「オルタナティヴ・スタディーズ ~自分を知るための当事者学」が始まりました。

 講師を担当する僕自身、自身の進路の選択の間違いから、大学を3か月で自主退学した者ですし、そもそも一人の先生が一方的に話す講義を毎週1年間も黙って聞き続けること自体に僕自身が魅力を感じませんでした。

 そのため、この自主ゼミでは、僕がファシリテーター(司会者)として毎度「ゲスト講師」を紹介し、大学では教わらない社会的な問題、それ も解決が遠ざけられているマイノリティ(少数派)の問題を優先的にテーマに掲げ、その問題解決に従事している「当事者」の方々の声を学生に届けることにしました。

 そうすることで、 世の中が今どうなっているのか、目の前に横たわる問題に対して自分にできることは何かを考える機会を学生や一般の方に提供・共有したいと考えました。

 ですから、テーマは毎週違うのですが、必ず「当事者」の方をお招きし、受講者自身もその時のテーマにおける「当事者」として向き合う構えを学んでいただきたいですし、僕自身も受講者と同様に自分自身が「当事者」として関心を抱けるポイントを探っていきたいと考えています。

 現実の問題につきまとう無関心という厄介な問題も、自分がそれに興味を持てるポイントを発見し、どんなことも自分の生活とつながっているのだという視点を発見するだけでも、このゼミには価値があると考えています。

 つまり、知識をただ頭にインプットするための勉強ではなく、次のアクションのための「知恵」を共有しようというのが狙いなのです。

 そこで、前半45分はゲスト講師にご自身の活動やテーマについて話していただき、後半45分はゼミ生(レギュラーゼミ生20名)を交えて、各自に自分の今すぐできること、関心を抱けたポイント、発展的なアイデアなどの意見交換や議論を行います。

 この討議は、ゲスト講師の話を受けて、ゼミ生がそのテーマにおける自らの当事者性を発見するためのものです。

 たとえば、討議では貧しい人を目前にした時に自分に何ができるのかを語ってもらってもいいでしょうし、ゲスト講師の活動について自分が具体的に支援できることを各自ゼミ生に発言してもらってもいいかもしれません。

 20歳そこそこの学生が多く、これから本郷で専門的な研究をしていく卵たちなのですが、僕は社会人の論理で講義をし、彼らと接しています。

 このゼミでは「まだ学生だから世の中のことはわからない」という言い訳は通用せず、ゲスト講師の方からもぜひ容赦なく、突っ込んでいただければ、面白くなると思っています。

 前期では、こんなプログラムとゲスト講師が組まれました。
(以下は、随時このブログで講義内容のダイジェスト版を報告していきます)


【前期ゼミ内容】

★第1回□「『私』を知るオルタナティヴ・スタディーズとは何か」
 今一生(以下、ゲスト講師)
★第2回□ 「『私』を生きる、という困難を超えるために」
 with石井政之(ジャーナリスト。合同会社「ユニークフェイス」代表)
★第3回□「ネオニートはなぜ親より稼げるのか」
 with矢代竜也(有限会社「ネットサプライ」代表。月収300万男)
★第4回□ 「ゲストハウスの可能性 ~人生をシェアする」
 with山中武志(業界最大手の「株式会社オークハウス」代表取締役)
★第5回□ 「演出されるメディア」
 withわたなべけんいち(映像ディレクター。株式会社「nabex」代表)
★第6回□「SNS開発の裏側で」
 with横濱悠平(株式会社「ローハイド」CEO)
★第7回□「人を幸せにして稼ぐソーシャル・ベンチャーの現在」
 with山本繁(NPO「コトバノアトリエ」代表理事)
★第8回□「ナーシング・フリーダム ~私と子ども、どっちも大事」
 with光畑由佳(授乳服の製造・販売「mo-house」代表)&杉山貴子(同スタッフ)
★第9回□「『私』という性(さが) ~居場所がないという安心」
 with今多千絵(フリーライター)
★第10回□「心の病は不幸か?/ひきこもりからの脱出体験」
 with月乃光司(「こわれものの祭典」代表)&市野善也(ひきこもり経験者)
★第11回□「『私の人生』は『私』らしいか? /自分史持ち寄りディベート」
 withレギュラーゼミ生全員
★第12回□「分散恋愛とフレンド・セックス ~人格から関係へ」
 with新崎もも(作家。『分散恋愛』著者)


 既に始まっている後期ゼミのプログラムは、下記の通り(※10月28日時点)。

【後期ゼミ内容】

★第1回10/15(月)□「中卒からのハローワーク」  ※終了
 with澤田晃宏(『SPA!』編集者&ライター)
★第2回10/23(火)□「身体障害者の生活と性」 ※終了
 with熊篠慶彦(バリアフリー・アドバイザー。NPO「ノワール」代表)
★第3回10/29(月)□「ソーシャルベンチャーとプライドワーク」 ※終了
  with今一生(フリーライター。『プライドワーク』著者)
☆第4回11/05(月)□「触れる美術 ~批評の現在」
 with樋口ヒロユキ(美術評論家。『死想の血統 ~ゴシック・ロリータの系譜学』著者)
☆第5回11/12(月)□ ※現在、ブッキング中
  with ゲスト打診中
☆第6回11/19(月)□「女性は困ったことを事業化する」
 with奥谷京子(ソーシャルベンチャー「WWB/ジャパン」代表) 
☆第7回12/03(月)□※現在、ブッキング中
  with ゲスト打診中
☆第8回12/10(月)□「ネット売買で気軽に社会貢献」
 with関根健次(「ユナイテッドピープル」代表)
☆第9回12/17(月)□「16歳からの起業」
 with本部えりか(株式会社ドゥーイットCEO)
☆第10回01/07(月)□「ビジネスの手法による地域再生」
 with筒井啓介(LET’Sきさらづ代表)
☆第11回01/15(火)□ ※現在、ブッキング中
  with ゲスト打診中
☆第12回01/21(月)□「振動力発電の将来性」
 with速水浩平(音力発電)
☆第13回01/28(月)□「ソーシャル・ビジネスのシミュレーション」
 with任意のレギュラーゼミ生2名による40分発表×2 ※日程変更有



○基本的に、ゼミの時間帯は午後4時20分~5時50分の90分です。

○月曜日の教室は東京大学駒場キャンパス(駒場東大前駅下車)の1号館2階の163教室ですが、火曜日は随時変わりますので、事前にコミュでチェックしてください。
 以下は教室マップへのリンクです。
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam02_01_01_j.html

○13回の日程すべてに参加できる方のみ、レギュラー生(※議論&質問が可能)として参加します。
 レギュラー生以外は、ビジター生(※質問&議論への参加が不可能なオブザーバ)となり、レギュラー生の外側の席があてがわれます。

 現在、レギュラー枠には3名の空きがありますが、先着順で埋まります。
 埋まらない場合、当日に出席したビジター生から先着順でレギュラー枠内に入ることを申し出ることもできます。

○受講希望者は東大生を中心に呼びかけていますが、東大生しか受講できないのではなく、一般の方も無料で受講できるようにしています。

 mixiのコミュ「conゼミ@東大」で受講希望者に対して事前予告をし、参加希望者からの予約を受け付けています。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2040296

 これから受講したい方は、上記のmixiコミュに参加してください。

 mixiに参加していない方で、mixiに入りたい方は、僕(今一生)の公式サイトからメールをくだされば、mixiにお誘いします。

●今一生の公式サイト
http://www.createmedia.co.jp

 東大生でなくても構いませんし、1回限りの参加(=ビジター生)も歓迎しています。
 ぜひ、お気軽にmixiコミュから参加予約してください。
 (※18歳未満の方はmixiに参加できませんので、メールでご相談ください)
 
 なお、後期ゼミでは、ソーシャルベンチャーを中心にプログラムを組んでいます。
 これから参加される方は、拙著『プライドワーク』(春秋社)を儀お購読の上、参加予約をしてください。

●amzonで今すぐどうぞ!
http://astore.amazon.co.jp/con-isshow-book-22

●関連イベント
http://mixi.jp/view_event.pl?id=24403311&comment_count=0&comm_id=3755
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2007.10.26 21:04

 僕はこのゼミを始めるにあたり、僕は若いゼミ生に対してこんな望みを持っていました。

 「今の自分には関係ないと思っても、世の中にはさまざまな弱者が常にいることを忘れないでいてほしい」と。

 現実に経済的な弱者を救うセーフティネットとして機能する持続可能なビジネスの一つとしてゲストハウスの運営があり、フリーター支援に一役買っている点は大いに注目すべきところであり、厚労省や経済産業省なども積極的にゲストハウス業者を支援してほしいところです。

 しかし、現状ではむしろ既存の法律に縛られる点も少なくない、と山中さんは言います。

「保健所から(素泊まりの)旅館業はしちゃいけないという指導が来るんです。
 建築についても消防法の規制があるんです。
 ドヤ街にあるような1泊1500円の簡易宿泊所はそれなりに許可をとっているんでしょうが、 日本のゲストハウスだけがアパート扱いなんですよ。
 いったん物件を建てたら、その当初の目的でそのまま使い続けろというのが日本の法律なんです。
 都心のビルの物件さえ余っているのに、ビジネス物件を住居用にするようなコンバージョン(用途変更)が法的に難しいんですね。
 『ゲストハウスといえば、日本ではマンスリー・アパートですよ』と言うと、外国人はみなビックリします。
 タイでも、ジャカルタでも、ゲストハウスといえば旅館なんですから」

 まさに、「制度疲労」の問題が横たわっているわけです。

 新築物件を増やせば、そのぶん建材に使用される木や土が新たに消費され、環境にいいわけがありません。

 ですから、「もったいない」精神を行政が音頭をとって再発見しようとするなら、既存の建築物件を再利用するゲストハウスに着目し、1泊のみの利用を自由化してゲストハウスの経営を支援したり、ビジネス用の物件も住宅用に容易にコンバージョンできるような建築基準へ見直しを検討するなど、国の制度改革も必要でしょう。

 もっとも、「共同生活」による実現する格安賃貸物件について、まだまだ一般人に認知されていないという逆風もあり、ゼミ生からも素朴な質問が飛び出しました。

 「共有して利用される廊下や玄関などの掃除やお風呂の準備などは、誰がやるんですか?」

 山中さんが答えます。

「住んでいる人にやってもらうか、うちの会社のスタッフにやってもらうか、スタッフが支援できる範囲でやるか、とさまざまに対処しています」

 ハウス内の家事は、ゲストハウス業者によっても、その担い手が異なります。
 管理人がハウス内に同居している場合は、管理人に任せることが多いですが、そうではない場合、利用者全員が交代で掃除をしたり、気のついた人がやるなど、自分が満足する清潔さを自己責任で実現させるという暗黙のルールがあるようです。

「ゲストハウス業者どうしの交流はあるんですか?」

「業者を中心に日本ゲストハウス協会が立ち上がりましたが、まだ、活発じゃないですね。
 弱小業界なんで」

「保証人を立てられなくなった時の選択肢かなと思いました。
 体一つで上京した友達には、ゲストハウスだといいかな。
 畑がついてるとうれしいな」

「0円でも上京できるように、仕事をくれる会社と組んでオークハウスのゲストハウスの家賃を作れる仕組みを作ろうとは思っています。
 地方から来てすぐ住めることには意義があると思ってます」

「お風呂やキッチンが混んだりしないんですか?」

「朝仕事に行く人もいれば、夜学校に行く人もいて、そのへんは大丈夫ですよ。
 キッチンもね、みんなでわいわい作ったり、コンビニで買って部屋で食べたりと、困ってないみたいです」

「子どもの利用は何歳からですか?」

「赤ちゃんは困るけど、うちでは10歳以下は受けつけてません。
 でも、働く女性で赤ちゃんがいる方、ペットのいる方でも入れるハウスがいいかなと思うんですが、嫌いな人もいるんで、なかなか大変ですね。
 ただ受け入れたいなとは思っているんですよ。
 身体障害者の方も来て、一度は断ったんです。
 物件は持ち主(大家さん)から預かっているので、段差の加工もできないので。
 それでも入りたいと言うので、入居してもらったら、『お風呂などはなんとか這ってでも入る。みんなといると楽しいから』と言いながら半年間いたことがありますね」

「若い技術者たちを育てる場所を大企業は放棄しちゃってるんで、駆け出しの20代では20万程度の月収で、いっそ一緒に住んでしまえば、何かトラブルがあってもお互いに技術的な支援ができるし、夜勤や日勤などバラバラなので、ゲストハウスという住まい方はちょっと面白いかな。
 海外、とくにアメリカのハッカーは10人程度が1軒家をシェアしてたり、技術的にわからないことがあっても、教え合ったりして、そういうところからセキュリティの会社を立ち上げたグループも出てきましたし」

「1割以上、技術者がいますよ、うちのゲストハウスには。
 でも、男性専用ハウスって人気ないんですよ。
 入りたいと思わないでしょ(笑)。
 完全にその仕事だけにしちゃうより、実質的には違う人がたくさんいてワイワイやるのが楽しいんですよ」

「疲れた顔して帰ってきた時に、そんな顔を人に見せたくないというか、気の抜けた顔を見せたくないんです。
 そういう人はゲストハウスに向いてないのかな?」

「トイレとかシャワールームなどの既存のスペースは共同で使ってますが、新築部分は個人用のものを足していくことは可能は可能ですけどね。
 ただ、コストをかければかけるだけ、『安く東京に住む』というコンセプトからは外れていくんですね」

 もっとも、本郷には、住人が入口から部屋までは顔を合わせずに済むデザインのシェアハウスがあります。

 下記リンクに、そのハウスを設計した建築士の田中友章さんの説明があります。

http://www.asahiglassplaza.net/kaiteki/architect/ar/topic/400.htm

 こうして考えると、共同生活を前提とする建築物件におけるプライバシー設計については、今後の建築デザイン上の課題になってくるんだろうと思います。

 中流層の家庭の資産が下流化している昨今では、若い頃には安い居住空間に住んで親の経済的負担を軽減し、勉強やコミュニケーションのチャンスと時間を増やすほうがリーズナブルだと思います。

 実際、大学進学までさんざんお金をかけてきたのですから、上京したら子どもをゲストハウスに入れて、お金のありがたみを実感させたほうが、社会に出る前の良い勉強になると思います。

 もっとも、会社単位ではなく、個人的にゲストハウスを運営し、家賃収入で暮らしている若い人も増えているので、東大生なら「受験生向けの宿」として運営して、家庭教師をブッキングすれば、教師紹介料と家賃収入で時給のアルバイトをやるよりもはるかに効率的に儲かると思うんですが、20歳そこそこの東大生諸君はピンと来ていない様子でした。

 通常の家賃より高くても、現役東大生が勉強を教えてくれて、しかも格安で住めるゲストハウスが駒場や本郷などにあれば、全国から問い合わせが殺到するんじゃないかと思うんですけど、勉学に忙しくて、それどころではないのかもしれませんね。
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2007.10.19 04:08

 株式会社オークハウスは、2007年9月現在で都内中心に80か所でゲストハウスを運営し、1300室を貸している日本最大のゲストハウス業者です。

 その代表取締役である山中武志さん(55歳)をこのゼミにお招きする前に、人生年譜をいただいたところ、山中さんは1974年に京都大学経済学部を卒業し、日本IBMに入社したそうです。

「世界一のコンピューターの会社です。給料が高い、実力主義の会社だということで決めました。
 その後、1981年に退職しコンピューターソフト会社を創業しましたが、1992年に倒産させてしまいました。
 それから偶然、ゲストハウスという仕事を始めたわけです」

 「偶然」というのは、経営していた会社の保有する物件が利用者がなかったため、友人の外国人に貸したところ、これが喜ばれたという一件から、遊休物件の再利用に「天職」を見出されたようです。

 不動産賃貸業者に預けても借り手が現れない老朽化した木造アパート、壊して更地にするコストをかけるぐらいなら固定資産税を支払える以上の利益を生み出したい社宅や学生寮などの時代の遺物のような物件、それらが都心では少なからず余っていることに山中さんは気付きます。

 そして、それらの物件を丸ごと1棟安く借り上げることで敷金・礼金を受け取らずにマンスリー単位で貸すビジネスモデルで、経済的に余裕のない人でも気軽に利用できる物件を次々に開発していったわけです。

 しかも、連帯保証人も不要で利用できるようにしたことから、当然のように外国人や身寄りのない人なども集まってきました。

 ゼミ生から、「保証人なしで貸し倒れは?」という当然の疑問がぶつけられました。

 山中さんが答えます。

「昨年は15人、こちらから出ていってもらったんですけど、そのうち10人くらいは払えない人なので、1件5万円だとして、年間で50万程度のロスにすぎないんですよ。
 1300室の中で10人ですよ。
 もっとも、本当にお金のない人や収入が不安定な人には、アルバイトを紹介するケースもあります。
 『オークハウスでもアルバイトの口がありますから。そういう困りごとは逃げずにスタッフにしてください』と言っているんです。
 このように実際は保証人なしでも安心して運営できるんですが、そもそも日本の不動産業界は地主・家主などの代理業者で、供給側のロジックが続いているんです。
 不動産屋は入居者募集して、仕事先などを確認して、礼金・敷金とっているのに、クーリングオフの制度もないですよね。
 マンションに入って昼間に10分くらいチェックしても、いざ入居して夜になったら上の階では子どもがドタドタ歩き回ったり、隣の部屋がやくざだったりしても、礼金も敷金も返ってこないですよね。
 戦後、物件が少ない時代に、供給側の論理がまかり通ってしまったんですね。
 今はkakaku.comのように消費者側が価格を決めているのに、不動産業界だけはまだ改善されてないってことなんです」

 最近は、20~30代のネットカフェ難民や低賃金にあえぐフリーターも少なからずいますが、月に3万円程度から入居できるゲストハウスはネットカフェを利用するよりも安く、同時に定職に就くうえで好都合でしょう。

 不動産賃貸会社で紹介されるようなマンションやアパートには高くて住めない低所得層にとっては、ゲストハウスの認知度が上がり、彼らの耳や目に届くこと自体が社会的に意義のあることのように感じました。

「これまでに、社会の底辺にいる人や人生に失敗した人、ドメスティックバイオレンスの方とか、いろんな人が利用されました。
 今でも生活に困って『ゲストハウスは安いから』と言って入ってくる人もいます。
 それでも、このビジネスを始めようとしていた15年前の頃は、ヤクザがビルを不法占拠してやっていたような、スクォッティング(※廃屋の不法占拠)のようなゲストハウスがあったんですね。
 外国人さんを放り込んで、逃げないようにしていたりね。
 最近はありませんが。
 そうではなくても、自由気ままにやってるゲストハウスもありましたよ。
 床を10年以上掃除せずに、灰皿みたいになってたりね。
 兵役が終わって世界放浪するイスラエル人(ユダヤ人)が日本で始めたゲストハウスもありましたが、めちゃくちゃでしたね。
 それらは『外人ハウス』と呼ばれていたのでイメージが良くなくて、僕は『ゲストハウス』と呼び始めたんですね」

 このように、ゲストハウスの物件数を増大させてきたこと自体が、経済的弱者を救うという点では「ソーシャルベンチャー」的と言えます。

 ソーシャルベンチャーについては、下記サイトをご覧ください。
http://gogo-socialventure.blogspot.com/

(つづく)
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2007.10.12 00:06

 もっとも、居住者たちの均質性を保ちたいと考える業者もあります。

 それは、たった3人の若者が12件ものゲストハウスを運営している「国際交流協会」(borderless-tokyo.com/index.htm)です。

 彼らは物件をすべて一戸建ての民家にし、入居希望者を共通の話題に事欠かない10~20代までに限定し、人付き合いが上手な者のみを面接で選んで入居させています。

 でも、多くのゲストハウスでは、運営業者から公共料金の頭割りや共有スペースでの禁煙などの最低限度のルールを約束させる以外は、たとえば「トイレットロールが切れた時に誰が補てんするか」「セックスの声を薄い壁の向こうにいる隣人に聞かせていいのか」などの細々とした生活上のルールは、そのつど当事者どうしで解決させるように指導したり、「住人BBS」のようなオープンな場所で意見交換させては解決を図っています。

 それでも駄目なら、入居者は退出するでしょうが、別室も入居希望者も多いため、自分らしく住める場所に移動するだけです。

 こうして見ると、同じ共同生活スタイルの住環境といっても、ゲストハウスは中流資産層によるコレクティブハウスとは趣きが違いますね。

(※コレクティヴハウス=自立している個人が自由に生活できることを前提に、住人どうしで食事や掃除、保育などの生活の一部を共同で行ったり、設備を共有しながら賃貸住宅をシェアして暮らすライフスタイル。東京・日暮里に日本初の多世代・賃貸コレクティヴハウス「かんかん森」が2003年6月に完成した)

 ゲストハウスは、まるでインターネットを利用する時のように居住者自身による自己責任の住まい方であり、自分と感性の違う他者と折り合いをつけられるだけのコミュニケーション・スキルを育てる培養基ともいえます。

 いつでも入れて自由に出ていける「家」だから「今、ここ」にある関係と自分自身の今後を考えることが日々強いられるし、同じ屋根の下に住んでいれば恋愛も異業種間の交流も自然に生まれます。

 ゲストハウスに関する認知がもっと広がれば、交際上手な人が集まる物件と、その対極の吹きだまりのような物件の二極化が進むでしょう。

 ハッキリ言えるのは、新築用の建材を消費せずに既存物件を再利用する日本型ゲストハウスは、下流層の人が住むだけでロハスを実現させているということです。

 従来の住宅が同一の所有者にしか利用されなかったことを考えると、ゲストハウスは建築の新たな地平を感じさせます。

 それは、ダンボールハウスのホームレスたちが公園を共有しながら暮らしているような住まい方を関心外にしてきた建築家たちの課題でしょう。

 ネットカフェ難民や若年ホームレスなどの「ワーキングプア」層の若い失業者たちにとっても、1か月3万円前後で滞在できるゲストハウスは生き直しのチャンスになると期待できますし、国の福祉対策や失業対策を待つよりも、具体的かつスピーディーな住居支援になるように思います。

 ゲストハウスは、今後もっと福祉の面から期待されて行くと思いますが、東京大学の自主ゼミだからこそ、学歴も、学力も、稼ぐ力も、就業の経験値もない「ワーキングプア」層にとってどれほどゲストハウスが有益なのかを知ってもらうためにも、このテーマを設けました。

 なお、ゲストハウスの全貌に関する詳細は『ゲストハウスに住もう!/TOKYO非定住生活』(晶文社)を、個人経営者の語る運営の詳細については『親より稼ぐネオニート ~「脱・雇用」時代の若者たち』(扶桑社新書)を読んでいただきたいです。

 また、最寄りのゲストハウスを見学したい場合は、下記サイトで検索するといいでしょう。

●ゲストハウス検索
http://guesthousenews.seesaa.net/

●『ゲストハウスに住もう』 『親より稼ぐネオニート』を買う
http://astore.amazon.co.jp/stayinguestho-22

 ゼミでは、業界最大手のゲストハウス運営業者「株式会社オークハウス」の代表取締役である山中武志さんをお招きし、最先端のゲストハウス事情についてお話いただくことにしました。

 また、なぜ山中さんがゲストハウスの物件開発に10年以上力を注いで来られたのかについてもお話いただこうと思っています。

(つづく)
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2007.10.05 09:15

 最近、日本の住居で注目を集めているものに、ゲストハウスがあります。

 これは、老朽化したアパートや不要になった社宅や学生寮、民家などを丸ごと1軒格安で大家から借り上げて、入居希望者たちに戸別に又貸しされる賃貸物件のこと。

 都市圏では1か月単位、地方の観光地や島などでは1日単位で借りられる「宿」(短期滞在仕様の住宅)として人気を集めており、物件数は増える一方です。

 2007年2月13日現在、全国では300件以上のゲストハウスが運営され、そのほとんどは首都圏(東京・千葉・神奈川・埼玉)に集中しているが、利用者の総数は少なく見積もっても1万人以上に上るだろうと推定されます(参考:guesthousejapan.net/)。

 このようにバックパッカーが格安で滞在できる宿や、金さえ出せばどんな国籍の人も滞在できる賃貸住居は、欧米やアジアなど国外では当たり前に数多くあったんですね。

 でも、他者を受け入れることが苦手な日本では、不動産賃貸業者は「連帯保証をしてくれる人を探せ」と強いてきたため、この条件をクリアできない外国人などは長らく通常の賃貸物件への入居を拒否されてきたわけです。

 しかし、バブル景気がはじけつつあった80年代末から一部の不動産業者が少しずつ外国人を受け入れる物件(=外人ハウス)を増やしてきました。

 それが、日本におけるゲストハウス誕生の契機といわれています。

 ゲストハウスでは、礼金・敷金・紹介料(仲介手数料)・更新手数料は0円。

 中には公共料金も(家賃に含めてあるので)0円という物件が珍しくなく、1ヶ月分の家賃さえ前払いすれば、部屋にはベッドもエアコンも常設されているので即入居できるうえに、居心地や隣人が気に入らなければ別室やべつの物件にすぐに移動できます。

 東京都内の6畳ほどの個室を借りてもゲストハウスなら毎月の家賃が6~7万円で入居できる物件がありますし、6畳の部屋に2段ベッドを2つ置いて4人用の相部屋として利用する「ドミトリー」(雑居)なら1人頭2~3万円台もザラにあります。

 ゲストハウスの物件は総じて、レオパレスや月単位や週単位などの短期滞在仕様のマンション・アパートよりも安く、中には1泊1000円程度の簡易宿泊施設よりも安く利用できる物件すら珍しくありません。

 しかも、居間などの共用スペースにあるテレビやパソコン、冷蔵庫は使い放題。コインシャワーやコインランドリーも設置してあるので大荷物で引越する必要もなく、超低予算で暮らせるんです。

 その安さと手軽さが受けて、今日では国内外のバックパッカーや学生はもちろん、連帯保証を頼む面倒が嫌な人、職場が変わって会社に近い物件に素早く移動したいフリーターなど広いニーズで集客できるようになり、ほとんど広告費をかけずに済むほど需要に供給が追いつかない好況ぶりです。

 ここ10年はインターネットの普及と海外渡航を経験する日本人の増加によってゲストハウスの認知と人気は若者たちの間に広まっており、ビジネステナントが埋まらないオフィスビルのワンフロアをゲストハウス仕様にコンバージョンする若い建築コンサルタントも急増しています。

 2006年2月には業界団体「日本ゲストハウス協会」が正式に立ち上がりました(www.guesthousekyokai.org/)。

 その参加者には20~30代の個人事業者も散見されました。

 mixiにもゲストハウスを個人経営したい若者の集まるコミュニティ(BBS)が乱立し、イギリスやジャマイカなど海外でハウスを営む日本人も増えていることがわかります。

 それほどゲストハウスが日本人に支持された第一の理由は、中流資産層の下流化にあります。

 居住者たちの素性を聞けば、雇用の機会が乏しくなった地方から出稼ぎに来る10~20代、夫に殴られて家にいられなくなった主婦や子ども、生活費を切り詰めて起業したい若者、親から仕送りを満足にもらえない上京学生など、ゲストハウスが社会的弱者の受け皿として機能していることは歴然としています。

 もう一つの魅力は、安さを実現するために自己責任の住まい方を採用している点。

 30年以上前に建てられた社宅では鉄筋コンクリート建築でも外壁ははがれているし、耐震構造にも難点はあるでしょう。

 でも、短期間なら資産が減るリスクよりも住環境のリスクを自己責任で選ぶほうが安心できる人が増えているのです。

 最大の魅力は、共有スペースにおける居住者どうしの長屋的なコミュニケーションでしょう。

 都心のゲストハウスに暮らす地方出身者は「(台所などで)隣近所に住んでる人に『おはよう』と声をかければ、ふつうに『おはよう』って返ってくる」と喜んでいました。

 隣人の素性に関心を持たないで暮らすマンスリー・マンションにはない光景です。

 高校生の娘と一緒に入ってきた母親は、「娘は自力で学費を稼ぐことに目覚め、留学が決まりました。『お姉さん』のような居住者たちが娘と話をしてくれたおかげ」と言いました。

 ゲストハウスでは、居住者の入・退出時や誕生日、クリスマスなどのシーズン・イベントには居住者やその友達が共用スペースに集まってパーティが開かれたり、日常的には家事当番やお互いの部屋の出入りがあるなど、「疑似家族」的な親しみを覚える機会が少なくありません。

 地域共同体や家族といった単位でのコミュニケーションが困難になってしまった今日の日本では、ゲストハウスへの入居を通じて自分とウマの合う人間を探したり、国籍も習慣も違う隣人と仲良くすることで、単身独居では知り得ない社会の豊かさにふれたい人が増えているのかもしれません。

(つづく)
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2007.09.28 03:28

 ほかの東大生からは、こんな感想も聞かれました。

「僕は『3年になって就職活動の時期が来たら就職活動を始めよう』みたいに感じて、今は4年生で、就職先も決まった状態でなんですね。
 就職を大前提にしてて、起業するとかを選択肢に入れてない気がしました。
 でも、リスクとは雇用されても自営してもどこに行ってもあるわけで、選択肢が見えてなかったこと自体が怖いなと感じました」

 会社に就職することのリスクと、自分で起業することのリスクの違いを、十分に説明されないまま、周囲の空気に流されるように就職活動や進学を考える人が大半ですが、それは従来の教育が会社に雇われることを前提にしたものだったからです。

 会社員になれば、会社都合でリストラされるリスクがありますが、自営業にはそんなリスクはありません。

 また、自営業には新しい仕事を自分で作り続けていけなくなったら収入が途絶えるリスクがありますが、会社員にはすぐさまそういうリスクに直面することがありません。

 他にも、たとえば会社員として働く場合は安定生活を前提に薄給も覚悟しなければなりませんが、自営業なら不安定生活を覚悟すれば、自分の能力とやる気次第でいくらでも年収をアップさせていけるチャンスがあります。

 正社員が60歳の定年まで働くことを前提とした人生設計をしているのに対し、自営業者はもっと若い年齢までに蓄財できるだけの資産を稼ぎ出し、労働から解放されることを目指すことも自由です。

 このように、働き方の異なる2つのあり方を選ばせるようなプログラムが、これまでの教育課程にはありませんでした。

 しかし、今日では、公立の小・中・高校では「キャリア教育」と称して自営業のセンスを小さい頃から習得させるプログラムが始まっています。

 そもそも会社に雇われるという選択肢は、自分で事業を起こせない人向けのものであって、自分で仕事を作り、収入を得られる能力を持っている人には、狭き門の就職戦線を勝ち抜くような競争に参加する必要がないんですね。

 矢代さんは言いました。

「リスクを恐れて事業を起こさないほうがやばいかな」

 すると、専業主婦のゼミ生が、こう言いました。

「学校は行くもんだ、就職はするもんだ、というのがみなさんの中にすごくあるんだって感じました。世
 の中の普通路線に刷り込まれちゃって、外れた時にどうしていいかわからなくなっちゃうんだろうなと」

 これにうなづく東大生も現われました。

「自分で稼ぐ力を日ごろから考えておかなきゃ、と思いました。
 矢代さんはネット以外の収入を考えていくつもりはないんですか?」

「今はネットを使ってしか考えてないです。
 なんらかの形でネットを使ってビジネスをすると思います」

「矢代さんの成功は、ご自身の能力だと思いますね。
 それは、みんなができることだと思いますか?」

「人よりちょっと努力できるかどうかってことだと思います」

 もっとも、小遣い稼ぎの感覚だけだと、矢代さんの得ている収入を実現するほどまで動かないのではないかと思います。

 僕には、矢代さんが100社に入社を断れて「あせり」があったことが、自ら収入手段を作る大きな契機だったように思うのです。

 すると、IT会社の専務を務めるゼミ生が、面白い質問をしました。

「5年前からIT企業の専務をやってます。
 前は2年間ヒモで生活してました。
 矢代さんは、『天然キャラですね』と言われたことありますか?」

「けっこう言われます」

「そういうのほほんとしたところが、経営者向きだなと思いました。
 すごいなと思うのは、何もないところからお金を産むことを経験値として積み上げていって、その方法を他の人にチャンスに与え、利益を分配していますね。
 矢代さんを見てニートがネオニートになっていけば、それは社会貢献としていいことだろうと思いました」

 事実、拙著『親より稼ぐネオニート』を読んでからブログを作り、アフィリエイトを始めたニートたちが続出しています。

 それは、Yahoo!のブログ検索などで検証すれば、わんさか出てくるので、どれだけ「ネオニート」の存在がニートの当事者たちに勇気を与えたかが理解できるでしょう。

 労働者全体に占める正規雇用の割合(正社員率)が年々低下している現状を思えば、現在中高生の世代が大人になる頃には、「2人に1人が正社員」の時代が到来しているかもしれません。

 しかし、働き方には、自営業や会社を作ることさえあるのだと気付けば、学歴や受験学力よりも、早いうちから「稼ぐ力」を身につけることこそが生き方の選択肢を広げていけます。

 さまざまなネット・ビジネスを始めて親より稼げるようになった先輩たちの動向を見れば、働くこと=自分の能力で仕事を作れることの面白さに気づく人も増えるように思いますし、それが正社員に多くの人があぶれてしまう時代でも生きていける切り札になっていくだろうと思うのです。
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2007.09.21 03:24

 ゼミ生からの質問が続きます。

「やる気のない人をニートと呼んでる風潮があるけど、ネオニートとカテゴライズされるのを矢代さん自身はどう思ってますか?」

 矢代さんは既に会社を設立しているので、「ネオニート」ではありません。

 「ネオニート」は、あくまでもニート同然の暮らしから自営業を意識し、不労所得から自覚された営業収入に移行するまでの一定期間の呼称なのです。

 そもそも、「ニート」の定義自体には、「やる気」を問う条件はありません。

 本来、雇用されておらず、就職のための訓練をする学校にも通っていない状態のことを「ニート」と呼んでいるのであって、その状態から就職(雇用)を目指さなくても、自営業として自立してしまえば、「やる気」を問われる必要すらなくなるんですね。

「では、実際にアフィリエイトなどに要する実働時間は?」

 矢代さんが答えます。

「アフィリエイトで儲けるためのサイトを構築する日数は、1サイトで1か月程度です。
 『冬ソナ』のサイトを作った時は、関連のDVDや書籍を全部見てサイトを作ってたんで、1日がかりでした。
 それを1週間に一度くらいメンテナンスして、更新情報を足していくので、だいたい1か月くらいになるんです」

「せどりからアフィリエイトなどへ収入手段が変わってきていますが、会社を興した後で、また新たなビジネスに関心が移ったら、どうするんですか?」

「今は一人じゃなく、スタッフを雇っているので、新規事業は一緒にやってるスタッフと話をして決めます」

 自営業あるいは法人での営業では、多角経営を志向するのは自然の流れです。

 たとえば、雑誌記者を長く続けていけば、ライティング(執筆)以外に、編集のノウハウも身に付きますから、編集業務を請け負うこともできますし、出版には他にもデザインや写真撮影など他の職務もありますから、それを自前でできるだけのスキルを身につけていけば、ライターから出発して編集者、カメラマン、デザイナーなどと職域を増やし、同時に自分が職業能力を売り込める分野が増えることになります。

 矢代さんの場合も、せどり、アフィリエイト、それらのノウハウの情報販売(データの有料ダウンロード)、そして現在ではライター仕事の仲介サイトを運営してマージン収入を試みたり、講演や書籍の執筆など、営業分野を開拓してきたわけです。

 しかし、自営業を試みたことのない人にとっては、不安に映る人もいるでしょう。

 世間を知らない学生からは、当然のようにこんな質問が出ました。

「バイト代わりにアフィリエイトなどをやったり、事業を大きくするという動機は、最初の頃は遊び代などの短期的な視野で働いてきたと思うんですけど、10年先の長期的な視点に立つと、そのつど新規事業を考える必要に迫られますよね。そんな新規事業を次々に生み出せるか、少し不安を覚えるんですけど」

「長期的に見たらまったくわかりませんし、アフィリエイトが1年後に無くなってもおかしくない流れなので、そうなったらまったく別のことをしなきゃいけないと思ってます。
 ネットは半年で激変するので、あまり細かな動向を読まないようにしてます。
 大局的な流れは考えますが、そうじゃない取り越し苦労は足かせになるだけで、考えてもしょうがないと思っちゃいますから」

「そんな不確定な中で、雇っている人の生活を守る社会的な責任があると思うんですけど、どう考えていますか?」

「10年は続かないビジネスかもしれないとは、スタッフに言ってます。
 安定はわからない、リスクを背負って働くことに納得したうえで働いてくれと言ってます」

 学生と矢代さんの問答を聞きながら、僕自身はいらだっていました。

 というのも、質問した学生には、自分がこれから入っていくだろう大企業や官庁に問うべきことを矢代さんにぶつけているような気がしたからです。

 僕は質問者にこう言いました。

「君がこれから入る会社だって、10年後はわからないんだぜ。
 君が就職したい企業は、それをちゃんと君に言ってる? 言ってないだろう。
 うちはこんなに歴史がある会社ですよと言うことはあっても、誰も10年後のことなんてわからない。
 矢代くんはそれを素直に言ってるだけマシだよ。
 会社に入れば、君は自分の運命を会社に預けるようなものなんだよ。
 地方に左遷されようが、減給されようが、リストラ対象になろうが、君が拒む権利はほとんどないし、会社と談判できるだけの力を君が持てる保証すらないわけだからさ」

 逆に、自営業から出発し、会社の経営者になれば、苦境に陥った時に自分の責任で自由に解決法を生み出し、突破していけます。

 誰かに自分の身の振りの決定権を預けなくていいわけです。

 こういうリスクヘッジの方法に鍛えられている自営業に対して社会的責任を問うあたりは、自分の頭の上のハエも追えないのに他人に口を出すという恥ずかしい行為であることを、この学生は学んでこなかったのでしょう。

 しかも、年収が4000万円近い矢代さんに対して、「10年後」の責任を問う前に、年間3千万円を3年以上キープすれば約1億円の蓄財になり、サラリーマンの生涯賃金である3億円の3分の1を達成してしまう点に気づくべきでしょう。

 少なくとも、質問した学生が定年退職をするより短い期間で、矢代さんは労働そのものから解放される可能性が高く、一度の作業で自動的に入金が続くインセンティヴ収入の爆発力を正視する必要がありそうです。

 もっとも、就職する(=雇用される)しか収入手段を得られないと思っている学生ならば、むしろ自分自身が就職先の会社にとって手放したくないほどの有益な人材になることを目指すか、官僚になっても中年になる頃に簡単に天下りできるような時代状況になっていくかどうかを調べたほうが身のためでしょう。

 もちろん、こんなことを言ったところで、東大生ですらピンとこないだろうことは先刻承知です。

 「大学新卒者の3割は最初の就職先を20代で離職する」なんて統計数字を言っても、自分が失職者になるなんてどうしても信じられず、想定外のことにしたいのだろうと思うのです。

 おそらく、東大生という自分の身分が、国民の税金を投入された国策の大学として、どこの大学の学生よりも社会的責任を負わされている立場であることにも鈍感なのかもしれません。

 しかし、自分よりいろんな面で弱者である存在が社会には多いのだ、ということに気付かないことは、とても罪深いことです。

 矢代さんにぶしつけな質問をした学生は、ニート不安から這い上がってきたという事実の重みに関心を寄せることもないまま、また同時に自分自身の職業能力についての自身の有無を語らないまま、いきなり相手に「社会的責任」なんて言葉を出すくらいに、自分の問題としてとらえていませんでした。

 世の中に出てもいないのに、「社会的責任」なんて青臭い言葉を持ち出してしまうのも仕方ないのでしょう。

 しかし、世の中には中卒で大工見習いになり、20歳の頃には「この足場をちゃんと作らないと建物の構造が乱れて、住む人が困るからちゃんと仕事をしよう」と思いながら鉄骨を組み立てている人間だっていることを知る必要があるように思います。

 それが社会的責任の実感であることを知るには、時間がかかるでしょう。
 今はまだ頭でっかちな教育環境しか知らないからです。

 でも、就職にあぶれて社会的弱者に陥り、そこから自分の力で稼ぐ力を身につけて這い上がってきた人間が目の前に来た時に、「この人は自分の知らない苦労を負ってきたのかもしれない」と想像できないようでは、人を思いやるという気持ちの点であまりに劣っているとのそしりを免れません。

 働き方とは、生き方そのものです。
 学生だからそれを知らなくていいという理屈は、世間では通りません。

 家庭でも学校も教わらない世の中の仕組みを知ることを、僕のゼミでは大事にしたいと思うのです。

(つづく)
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2007.09.14 03:20

 ゼミ生から質問の手が挙がりました。

「僕もアフィリエイトをやっていて、一つのブログで月に5万ほどの収入になっているんですけど、アフィリエイトで儲けるにも、広告単価の高いところって怪しい会社が多いのでは?」

 矢代さんが答えます。

「確かに薦めたくないところもありますよね。もっとも、儲かっているFX(外国為替)のようなところは、本業で儲かっているから成功報酬も高いんだろうとは思います」

「みんなが就職活動をしている中で、一人でせどりとか始めて不安じゃなかったですか?」

「面接で落ちると、さすがにへこむじゃないですか。
 だから1年休学したんですね。
 『就職しなくてもバイトを週5でも入れれば自分は大丈夫かな』と思ってましたし、やりたいジャンルしか受けなかったので、自分の働きたいクリエイター業界に行けなかったからしょうがないと思ってたのかもしれません。
 不安というより、コンプレックス的なのはありました。
 同期の友達はみんな1年前に卒業して就職してましたし。
 だから、新卒で就職していった人よりも絶対稼ぐぞという気持ちはありましたね」

「ネオニートになって、さらに金を余らせているぐらいの人は少ないと思うんです。
 一つのことにどれだけエネルギーを集中できるかってことなんですけど、他の人と比べて自分はどう違うと思いますか?」

「1点集中はすごい大事なんですけど、月収20~30万円に達する頃までは、コンプレックスだけで頑張ってましたね。
 同期に負けられないみたいな気持ちでした。
 サークルの飲み会に出ても、アフィリエイトで生活しているというあり方は、やっぱり説明しにくかったですからね。
 ライバルがいると強いかも」

「せどりは、稼ぎ方がうさんくさいと思いました。
 古本屋ならいいのだけど、ふつうの人が買える場所で買って転売するのが、どこかうさんくさい感じが抜けないです」

 中古市場にも、一定の売買のルールがあります。
 しかし、それはネットでの売買を想定したものではないため、昨今のようにネット上で中古品を売買する人が増えてしまうと、市場が荒れ、既存の相場価格にも影響が出かねません。

 それでは、中古品売買で生計を立てている人の生活を圧迫し、ひいては価値のある商品も品薄になったり、原型のまま保存する経費も捻出できなくなり、最後は処分を余儀なくされ、貴重な本やお宝グッズが失われてしまうことにもつながりかねないのです。

 もっとも、矢代さんは、せどりで儲け始めてほどなく、古物商の免許を取り、会社法人化も済ませて税務処理もきちんとできる体制を整えていました。

「ブックオフは一部のエリアにしか店舗がなくて、amazonはネット上ですから全国どこでも買えるわけです。
 せどりは、欲しい本を欲しい人に届けるビジネスなんですよ。
 読みたい人に届けているという点では役立っていると考えています」

 確かに、小売店の古書店よりも安く本を売るチェーン店のブックオフで105円コーナーに置かれた本が売れ残れば、最後は断裁してゴミにするしかないでしょう。

「それでも、良い本を見つけて売らないといけないわけでしょ?
 売り先を見つける情熱って、どこから来てるのですか?」

「がんばって売り上げの数字を上げれば、がんばっただけの成果(収入)があるので、それがやりがいですね」

「自分の仕事がどう社会と関わっているのかについては、考えませんか?
 たとえば、パチンコ屋を営んで生活させてもらっていても、客の中には借金してまでギャンブルをやって、身を持ち崩す人もいますよね。
 すると、なんだか社会的に悪いことをしているような…」

 自分の仕事が社会的にどんな影響があるのかは、経営者はもちろん、雇用されている人も考えてほしいことです。

 たとえば、精神科医は「医者だから悪いことはしないだろう」という世間のまなざしに支えられていますが、現実には医者の処方する薬を自己管理できずに薬漬けになって死んでしまっている患者も少なくないのです。

 逆に、新しい稼ぎ方であるがために誤解も多く、世間的にはうさんくさく見られる「ネオニート」も、ニート自身に希望を与えています。

 世間や2ちゃんねるなどからの評判よりも、その当事者のありのままの姿をちゃんと自分の目で見ることが大事でしょう。

 矢代さん自身は先の質問にこう答えました。

「たとえば、アフィリエイトで儲けるノウハウとして(成約すればキックバックの大きい)消費者金融を多くの人に勧めたとして、その広告を見て消費者金融でお金を借りて不幸になる人が出てくるのを辞めさせられるかどうかと考えると、難しいですね」

 インターネット上にある情報を利用する際には、その結果起こることをすべて利用したユーザの責任として引き受けなければいけません。

 そもそも、ネット利用には自己責任という基本原則があるため、自分の能力の範囲を超えて借金できてしまうような消費者金融に手を出して問題が生じても、それはユーザ自身が情報の吟味を怠ったことにすぎないのです。

 ネット上には、合法の顔をした広告もあれば、一見違法な顔をしているまともな主張もあります。

 それを吟味し、自分の利害を考えることは、すべてのネット・ユーザに課せられた最低限度のルールといえるでしょう。

 もっとも、そういうルールを知らない子どもやネット初心者をわざわざ消費者金融に導きたくない気持ちがあれば、消費者金融のアフィリエイトがたとえ儲かるものであっても自粛するという選択肢も採用できるはずです。

 それはアフィリエイター各自に課せられた厄介な問題ですが、自分の返済能力を超えた借入をする人まで想定しなければ、広告やパチンコ店の営業などが許されないのだとしたら、それはそれで問題なのかもしれないという点に気付いてほしいと、僕は思いました。

(つづく)
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2007.09.07 00:15

「せどりのノウハウは当初メール・マガジンで情報配信してたんですが、『サイトに表示させておけばいつでも見られる』と思って、サイトの作成の仕方を本で学びながら作ったんですね。 
 それが2005年頃です。
 大変でした。
 しかも、SEO対策(※検索エンジンの上位に表示されるための工夫)をやるのとやらないのとでは、少なくとも3倍は成約率が変わるんですよ」

 ここでいう成約率とは、情報販売のサイトを観る人が実際にその情報商材を買う確率のことです。

 矢代さんは、試行錯誤の果てに独自のSEO対策を生み出し、それをネット上で売る以外に、翔泳社からノウハウ本も出版し、印税による収入も確保しました。

「大学を卒業する頃には、せどりで月に20万、情報販売で10~20万の売り上げはコンスタントに出していました。
 そこで、本腰入れて1年間くらいやってみようと思っていたんですね。自分が働きたい業界の会社には入社面接を断られていたけど、ネットビジネスのほうが面白く感じてきたので。
 それから1年間が経ったら、月収で300万くらい儲かるようになってたんですよ」

 この「月収300万」に至るまでには、せどりと、せどりのノウハウの情報販売以外に、アフィリエイト、そして、アフィリエイトのノウハウの情報販売を加味してきた経緯がありました。

 アフィリエイトは、リンクをクリックしたり、リンク先の商品を買うとポイントや現金が配当される「成功報酬型広告収入」のことです。

 メール・マガジンでもサイトでも、それを観る人が多ければ、そこに貼り付けたアフィリエイトのリンクに飛んでくれる人も比例して多くなります。

 しかも、アフィリエイトには、リンク先の商品を購入した人が1人いるだけでアフィリエイトを貼り付けた人に1万円ほど配当されることも珍しくないので、SEO対策を万全にし、購買欲のある読者を増やせるような内容のサイトを作っていく必要があります。

「当時は韓流ブームで、『冬ソナ』(※韓国の人気ドラマ『冬のソナタ』)が日本で流行っていたので、『冬ソナ』の紹介ブログを作って、そこに本やネットから集めた情報を集めて、総合サイトにしたんですね。
 すると、『冬ソナ』ファンの人はちゃんとそのサイトを見てくれると見込めるので、そこに『冬ソナ』の関連商品の広告バナー(=アフィリエイト・リンク)を貼ったんです。
 そこでそのブログの読者がバナーをクリックして、リンク先の商品を買ってくれれば、僕の銀行口座に売り上げの一部である配当金がちゃんりと入ります。その仕組みがアフィリエイトなんです」

 アフィリエイトを始めると、矢代さんにとって「せどり」が効率の悪いものに見えてきたようです。

「最初はせどりを面白い収入手段として見ていたんですが、せどりでは、仕入れを止めると売り上げも止まってしまいます。
 つまり、稼ぎ続けるためには、何度も延々と仕入れ作業を続けなければいけないわけです。
 その点、アフィリエイトのほうが、1度バナーを貼れば、あとは自動的に稼いでくれますから、2度手間がない。
 そこで、アフィリエイター(※アフィリエイト・バナーを貼る人)に移行していったんですね。
 しかも、アフィリエイトは、必ずしも単価1万円の収入を狙わなくてもいいんです。
 読者が1個買えばアフィリエイターに100円が入る商品で、1万クリックさせた人もいるので、額面がすべてじゃないんです」

 矢代さんの方法は、理にかなったものです。
 まず、世間に流行っている話題をテーマにブログを作れば、確実にそこに市場があると見込めますから、どんな人がその流行を支えているのかが見えていれば、amazonアソシエイトやGoogle Adsなどのアフィリエイト契約し、彼らの欲しい情報や商品の広告を自分のブログに貼り付けておけばいいだけです。

 しかも、いま流行っているものに関する既存のサイトが、多くのユーザを満足させるサイトとは限らないことはよくあるもの。

 そこで、多くの人に有益なサイトを作ってしまえば、アフィリエイトで儲けられるかもしれない、というわけなんですね。

「検索していって、自分のほしい情報がない場合、自分と同じように困っている人が少なからずいると思ったほうがいいんですよね。
 困った時に、それに応えられるサイトを作るのが一番いいってことですよね。
 情報がありそうでないサイトがいいんです」

 このようにして、せどり、情報販売、アフィリエイトなど、収入手段そのものを増やしていくのが、自営業者の収入アップの基本です。

 ネオニートは、まさに、この自営業の基本をなぞることで収入を短期間にアップさせ、「自営業者」としての自覚が生まれてくるわけです。

 実際、ニートと同様の暮らしでも、「不労所得」に相当するネット・ビジネスによる収益にも税金はかかりますから、あまりに莫大なものだと、節税対策が必要になってきます。

「個人でやってたら収入が増えてきて、税金対策もあるし、社会的に親を安心させられるので会社にしたんです。
 ネット・ビジネスの可能性も考えていたので、有限会社を作ったんです。
 会社の事業としては、『ウェブライター.jp』という、ライターと企業をマッチングさせるサイトを作りました。
 全国のライターと、発注する出版社などを結び付けるサイトで、執筆契約が結ばれると、紹介マージンをいただいています。
 将来的にはクリエイティヴな仕事もしてみたい。
 ライターさんも含めていろいろ会えるのも財産だなと思います」

(つづく)
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