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「座游」の外国人サポート・サービスの対象エリアは開始当時は東京都のみでしたが、現在では電話とメールですべて対応する形で全国にまで広げています。
入国管理局の統計によると、既に200万人以上の外国籍の人が日本に住み、年間7万人以上が新たに日本に住み始めているといいます。
「全国で同じ問題があって、地方ほど深刻です。
日本はもう外国人を受け入れるしかないのに、いつまでも偏見なんて持っていられないでしょう。
住宅を借りられない『住宅弱者』には外国人だけでなく、障害者、母子家庭、単身高齢者と4者がありますが、それぞれ対応策が違います。
行政の支援が行き届かないことが多いので、うちとしても取り組みたい課題です。
自社の売上を伸ばすことより、多くの方々に協力していただき、最短距離で目的を達成することが大切だと考えています」
同年10月、川田さんはアパ・マン経営のスペシャリストとして有名な浦田健氏と業界向けセミナーを開き、ゲスト講師として外国人入居のノウハウを話したり、法務省が2015年までにニューカマー(※1945年以前から日本に住んでいる外国人を「オールドカマー」と呼ぶのに対して、それ以後に日本に住んだ外国人をこう呼ぶ)を300万人に増やす方針だと説明しました。
現在、日本に住んでいる在日外国人は160万人ですから、7年後には外国人向け住居市場は約2倍に増えるのです。
12月には東京ビッグサイトで行われた「賃貸住宅フェア」(主催:全国賃貸住宅新聞社)で外国人座談会を開き、在日外国人たちと一緒に家主や不動産会社向けに入居をめぐる現状を説明しました(この内容は全国賃貸住宅新聞に見開きで紹介されました)。
外国人入居についてのノウハウを身につけておけば、大家さんにとって頭の痛い空室問題も怖くありません。
そこで川田さんは、そのノウハウをインタビューに答える形で明かした『高収益!ノントラブル!外国人入居の新潮流』というCDも5千円の安価で売り出したほか、自社サイト上でもノウハウの一部を公開しました。
ノウハウがより多くの大家に共有されれば、外国人の入居問題の解決はそれだけ早まるからです。
また、英語圏の外国人に対しても賃貸住宅を借りる際の流れを教えるコンテンツを日英バイリンガルサイト『ひらがなタイムズ』へ提供しました。
2008年8月には、2万人が来場する賃貸住宅フェア(東京)で講演する予定です。
「座游は、外国人が日本人と同様の条件で住居を借りられる社会を構築するため、家主や不動産業者の意識改革を行うのと同時に、外国人の優良顧客化を目指しています」
20代の若き社会起業家の挑戦は、まだまだ続きます。
(つづく)
2007年5月。
川田さんは在日外国人の生活や地位の向上を図るために住宅支援事業などを行っているNPO法人「在日外国人情報センター」(ICFJ)で仲介業者や家主向けの勉強会を開催し、在日外国人のマーケットの魅力や外国人の接客・応対時の留意点、管理テクニックなどを話しました(川田さんは同団体の参事を務めています)。
こうした活動が認められ、7月に川田さんは『Newsweek』誌で「世界の社会起業家100人」の一人に選ばれました(ちなみに同誌で紹介された日本人はたった6人)。
でも、家主に管理コストを負担してもらうビジネスモデルは、9月末頃まで5カ月ほど試みたものの、広く支持されませんでした。
それでも外国人客のニーズは高く、多少余計に金を払っても賃貸物件に入居したい人は少なくありません。
そこで川田さんは、11月からは入居時に3万円(翌年度からは1万円)を外国人自身から受け取り、入居から退去までのトラブル解決を一手に引き受けて多言語で対処することで大家を安心させて入居可能物件を増やすというサービスを始めてみました。
外国人であれば誰でも無審査で受け入れ始めると、3ヶ月間でなんと約300件の契約が成立したのです。
「外国人の多くは日本人の連帯保証人をつけられず、滞納保証会社に月額賃料の半分程度を支払って連帯保証人の代わりになってもらうのですが、日本語を話せないと契約できません。
弊社は彼らに同行して保証の審査を通りやすくすると同時に、滞納しても保証会社の代わりに入居者の話す言語で督促するので滞納率も下げられますし、弊社はその際の緊急連絡先にもなるので日本人を探す必要もありません。
実際、最初に契約の中身やゴミの分別、騒音などの生活上のルールの理解させておけば、後はほとんど手間がかからないんですよ。
外国人を入居させて、外国人が嫌になった人はあんまりいません。
貸したことがなく、慣れてないだけなんです」
このサービスはたちまち都内の外国人たちの知るところとなり、急速に契約数を伸ばしているため、川田さんは2008年12月までには五千件、三年後には三万件にまで広げたいといいます。
「新しいモデルなので、軌道に乗るには三年くらいかかるでしょう。
それに乗じてスタッフも増やしていきます。
当初は僕以外に中国人・韓国人・アメリカ人・スイス人の社員が一人ずついましたが、社員自体を増やす考えはなく、NPOを通じたボランティアの力を借りたいです。
たとえばスワヒリ語を話す客がいても、一年で一回しか出番がなく、需要がないので雇えないからです。
現在はすべてボランティアやアルバイトの外注スタッフにし、20名程度のスタッフで13言語に対応しています。
みなさん、『同国人のために何か手伝いたい』というモチベーションの高い人たちです。当事者ですからね」
つまり、座游は、同国人が同国人を助ける場を提供しているのです。
(つづく)
川田さんは、外国人を賃貸物件に入居させる困難について、こう言います。
「外国人客が増えたといっても、一日に一人程度の客しか契約が成立しないという規模では問題は解決できないし、大家さんの外国人に対する偏見はなくならないんですよ。
問題は偏見です。
『家賃を滞納するのでは?』
『言葉が通じないのでは?』
『無断で帰国するのでは?』
こうした不安が、仲介業者や大家には根強くあります。
でも、調べてみると滞納率は日本人が4%で、外国人は2%。
外国人に貸すほうが安心ですし、外国の方はお客さんを紹介してくれることが多く、いいお客さんつかまえると友人も一緒に入居されるので広告費もかからず、紹介で入ると友人に迷惑かけられないのでトラブルも少なくなります。
しかも、日本語をほとんど話せない外国人は全体の11%なんですよ」
そのように外国人が入居するメリットの大きさを知りながら、なかなか変わらない業界の現状にイライラしていた頃、彼は「NEC社会起業塾」の存在を知りました。
この塾はNPO法人ETIC.が運営するソーシャルベンチャー創出プロジェクトで、事業立ち上げ期の社会起業家を募集し、塾生の提案するビジネスモデルが認められれば、資金とパソコンが提供されます。
そこで2006年8月、川田さんはこの塾の半年間のプログラムに参加し、ビジネスプランを磨きました。
「最初に出したモデルは、外国人自身に不動産を買わせて、そこに外国人を住まわせるもの。それは今でも良いビジネスになると思う」
同年9月には外国人の日本での不動産売買が活発になってきている現状から中国系の新聞「陽光導報」で日本での不動産投資について注意事項を伝える記事を連載し始め、翌10月にはアーク森ビルの国際交流基金国際会議室で「在日外国人の住宅問題を考えるシンポジウム」を開催。
仲介業者の立場としてパネリストを務めました。
そして11月。
川田さん自身が100%出資し、在日外国人の賃貸住居への入居をスムーズにする支援事業を行う株式会社「座游」(http://www.the-you.com/)を設立すると、全国賃貸住宅新聞で連載を始め、「近い将来14兆円になる在日外国人マーケット」と書いて外国人に対して不安がる家主に対して関心を煽りました。
もっとも、設立当初は仲介業を行わず、NEC社会起業塾を通じて出会った「OK Wave」(※同名の日本初、最大級のQ&Aサイトを持つIT企業)に営業に行き、「外国人が日本での生活で困らないようにするためのポータルサイトを作らせてください」と社長と交渉を続けていました。
2007年1月にようやく提案が承諾され、「OK world」(http://world.okwave.jp/)というサイトのコンテンツを制作し始めると、すぐに春がやって来ました(※同サイトは同年7月から運営開始)。
4月から日本の不動産を買いたい台湾人に仲介業を行いましたが、儲けが出ても川田さんは不満でした。
こうした業務はバイト時代と同じで、条件に合う物件を探すだけだからです。
「そもそも外国人に貸したい大家さんの不安を根本的に解消していくのが基本的なミッション。
だからその後、一世帯に対して5000円を月額の管理料として大家さんからいただいて外国人の入居をめぐるトラブルを何でも対処するという業界初のサービスを始めたんです」
(つづく)
外国人が日本でアパートやマンションなどの賃貸物件を借りて住みたい時に、不動産屋に行くと、断られてしまうことが少なくありません。
「日本人の連帯保証人をつけてくれ」
「アジア人はダメ」
「日本語を話せない人はお断り」
不動産屋は、物件のオーナーである大家さんから、そのように言われているため、なかなか仲介窓口で日本人と同等に外国人を受け入れるということができずにいます。
大家さんにとっては、文化や習慣も違う外国人と付き合って、想定外のトラブルに対処していく面倒を負いたくないというのが本音なのでしょう。
そこで、入居中のトラブルの解決をすべて請け負うことで大家を安心させ、すみやかな入居を実現させた会社があります。
東京・高田馬場にある株式会社「座游」(The-You)です。
http://www.the-you.com/index.html
社長の川田利典さん(24歳)は東京生まれ。
2003年に明治大学に入学した後、実家の家具会社を手伝う必要が生じ、1年間休学して仕事をしていると不動産ビジネスを知りました。
復学してからも学校へはあまり行かず、宅建(※宅地建物取引主任者。不動産を取引したい人に宅地や建物の売買、交換・貸借の契約を成立させるまで説明などを行う国家資格)を勉強し、新大久保の不動産会社でアルバイトをしました。
「そこの社長さんは韓国人で、お客さんも全員外国人でした。大家さんに『外国人の方は入居できますか?』と聞くと、当時の新大久保では9割の人が『外国人は全部ダメ』っていう現状でした。
連帯保証や滞納保証を肩代わりする仕組みもなかったんです。
大家さんより年収が高くてちゃんとしたところで働いてる黒人さんが来店した時も、通常その条件だと日本人なら100%通るのに、大家さんに『黒い方はダメ』とか『アメリカ人は戦争で負かされたからダメ』とか言われてしまいました。
不動産業界の常識と一般常識はかけ離れてて、大家さんもお山の大将という意識が抜けません。
外国人というだけで9割の物件が候補から消え、日本語がしゃべれないだけで残り1割の候補の9割が消えてしまうんです。
全物件の1%の中から入居先を選ぶしかないと、それは必ずしも良い物件ではないです。
『なんで外国人というだけでこんなに住めないんだ』と理不尽さにだんだん腹が立ってきて、これを解決したい、解決にはビジネスライクじゃなくて、NPOや行政と仲良くする必要を感じました」(川田さん)
そこで彼は、NPO法人「東京エイリアンアイズ」(高田馬場)が公募していたボランティアスタッフに参加しました。
同団体は在日外国人の人権擁護や日本の内なる国際化に寄与することを目的とし、在日外国人の保証人ボランティアや留学生向けアパートの紹介、アルバイト・就職支援、留学生活トラブル相談などの事業を行っていました。
川田さんは3人の外国人スタッフと共に外国人に住宅を提供する役目を請け負いました。
そして、アルバイトを池袋の不動産屋に変えてみました。
すると、店長から外国人専門の担当者に命じられました。
順調に外国人客を増やしていくと、外国人専門の店舗が新設され、店長を任されました。
でも、しばらくすると、川田さんは外国人に賃貸仲介する仕事に飽きてきたのです。
(つづく)