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1965年生。早稲田大学第一文学部を3か月で勇退。広告業界を経て25歳でフリーライターに。企画・編集した『日本一醜い親への手紙』はベストセラー。『完全家出マニュアル』で造語した「プチ家出」が流行語に。2007年春から東京大学(駒場キャンパス)で自主ゼミの講師を始める。著書に『親より稼ぐネオニート』(扶桑社新書)、『ゲストハウスに住もう!』(晶文社)など多数。
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第24回 メディア・リテラシーC (2008年09月01日)
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第5回 ユニークフェイス@ (2008年08月06日)
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お父さんの育児 (2008年06月22日)

第37回 ファザーリング・ジャパンC[2008年02月29日(金) ]

「このパパ検、今奥さんが妊娠中という『プレパパ』(※これからパパになる人)たちにものすごい食いつきがいいんですよ。
 日本は毎年110万人の新生児が生まれてるんだよ。
 第二子、第三子をのぞいても40万から50万が毎年生まれてるんだ。
 すごい数だよね。
 それが僕らのマーケット。
 しかも、楽天ブックスで働いていた頃、いまちょうど子どもが生まれるナナロク世代(1976年に生まれたファミコンゲーム世代)の男性社員たちは、僕みたいなライフスタイルでいきたいってみんな言ってましたよ。
 そんな時代にワークライフ・バランスに注目してない企業は力を失っていくわけで、これはパパを楽しむという啓蒙活動にとってはチャンス!」

 私生活を大事にしたい人が増えていけば、自然と自分の趣味を大事にし、それを自分の子どもと分かち合えば、もっと楽しいと気づくパパたちも増えるでしょうからね。

「自分の趣味は子どもとのコミュニケーションツールになりうるから、父親業って案外シンプルなものなんです。
 自分が楽しいと思っていたり、よく知っていることはコミュニケーションの武器になるんです。
車が好きだったら、子どもと一緒に車雑誌見て楽しめばいいわけなんだから。
 昔、自分の父親にしてもらった楽しかったことを思い出せばわかると思いますが、肩車をして、話しかけてあげれば、子どもは喜ぶし、自分だって楽しくなる。
 そこに気付いてもらいたいんです。
 子どもと一緒に過ごす時間を増やして私生活を充実させると、忘れていた自分らしい人生に気がつくことが多いんですから」

 現在、ファザーリング・ジャパンは、父親業を楽しむためのセミナーを開催したり、ワークライフ・バランスに関心の高い企業のコンサルティングなどを行っています。

 「パパ力検定」のお申し込みは下記サイトまで。
http://www.kentei-uketsuke.com/papaken.html

 なお、「ファザーリング・ジャパン」についての情報は、下記リンクにもあります。

●安藤さんのブログ
http://ando-papa.seesaa.net/

●講談社mouraでのインタビュー
http://mopix.moura.jp/?p=346

●父親の子育てを考える 〜第1回ファザーリング・ジャパンセミナーレポート
http://www.wmstyle.jp/archives/2007/05/25_114538.php

●父親の育児休業 〜第2回ファザーリング・ジャパンセミナーレポート
http://www.page1.ne.jp/ktblog/2007/06/post.html

●記者発表のようす
http://yuchanroom.blog68.fc2.com/blog-entry-139.html

●ファザーリング・フェスタのようす
http://xihuan.exblog.jp/6465856

●素敵なパパfile
http://mamas.stylful.jp/contents/face2/071113/index.html

●安藤哲也さんインタビュー
https://blog.benesse.ne.jp/bizmom/blog/interview/post.html


※この原稿を執筆中、安藤さん一家に3人目のお子さんが誕生しました。
 おめでとうございます!

第36回 ファザーリング・ジャパンB[2008年02月22日(金) ]

 実際、どんなことをしたら、安藤さんは「父親業」が面白くなったんですか?

「3歳くらいまではなんといっても質より量でね、一緒にいる時間をできるかぎり長くして、スキンシップで 愛情をかけてあげる。
 その時期は自分の人生を考えずに、“今はそういう時期なんだ”と思ってね。
 娘のオムツは4400枚も換えました。その量は娘との絆の太さに比例してるって自信が持てる。
 お互いのことを理解する時間をこれだけもったんだから、彼女は思春期に何が起きても、僕を悲しませることはしないだろうと思います。
 娘はかわいいもんでね、僕がいないとき、僕のマクラを抱いて寝てるんだって。『パパの匂いがして、安心する』って。
 そんな娘の靴を洗ってるとね、『出産時は3000グラムだったのが、もう足のサイズ21センチかよ。ヒー!』って一人バルコニーでむせび泣いたり……。
 でも、そうやって育児に積極的に関わっていくと、子どもも奥さんも喜んでくれる。
楽しいし、気持ちがいいですよね。
 そんな快感が3〜4回続くと価値観が変わってくるんです。
 『父親業も面白いじゃないか』と。
 育児は辛いこともあるし、子どもは悪魔になるときもあるし(笑)、それは大変なんですよ。
大変なんだけど、『それも含めて総合的に楽しいよ』って言っていかないと。
 実際、楽しくてやりがいのある仕事なんです。
 もっとも、NPOを立ち上げるときに最終的な引き金になったのは、奈良で起きた長男放火殺人事件でした。
 仕事ばかりして子どもに関心を持たない父親の身には、わが子に殺されるような事件がいつ起きてもおかしくないんじゃないかって……」

 「父親業」に関心を払わずに親子関係がまずくなっていけば、親が老いて弱くなり、子どもに介護される頃には大変なことが起きそうですね。

「団塊の世代の人たち(60歳前後)が、あと15年くらいで要介護の人たちになる。
 今30歳の自分が介護保険を払いながら面倒見るって形になるよね。
 その時に45歳の時って中間管理職とかだから、なかなか介護休暇もとれないってことになると困る。
 誰も先達たちの面倒を見れなくなる。
 本当は家族が見ればいいんだけれども、そうもいかないって中で、ワークライフバランス、子育てだけじゃなくて、実は介護の問題も含んでるっていう部分が大きい。
 だからその時に子育てをしてた人のほうが介護もしやすいじゃないか。
 子どものオムツも代えられない人が、自分の親だからってオムツも代えられない。
 先日朝日新聞でも発表されてたけれども、介護中にストレスがたまって虐待しちゃう人の70%は息子、および旦那さんなんです」

 「ファザーリング・ジャパン」は、具体的にどのような活動をしているのですか?

「全国で、ファザーリングやワーク・ライフ・バランスについてのセミナーを開催したり、そういったことに関心を持った企業のコンサルティングなどを行っています。
 啓蒙活動ですね。
 ほかにも、水面下で、いろいろなプロジェクトを推進中です。
 社会に意識改革を起こしたいと思っていますから、10年、20年の長い活動が必要になるでしょうね」

 3月16日には、『パパ力検定』(略して「パパ検」)という全国一斉試験が開催されるみたいですね。

「ええ。これは育児に関する知識を試す検定試験ですね。
 ファザーリング・ジャパンのホームページ(http://www.fathering.jp/index.html) で、練習問題にトライできるので、やってみてください。
 この検定はNPOの事業としてやっていて、インフラのコストがかかるために銀行からお金を借り入れてるんです。
 会場は東京は法政大学、大阪は大阪商業大学など。
 5000人を集めようとしてます。
 問題は、結構難しいですよ。
 3分の1正解すれば、優秀だと思います。
 でも、高い点なんて取れなくたっていいんです。
 本質的に父親業をやるために知識が必要なんじゃない。
 『この知識があったほうが子育てが楽しめますよ!』っていうものなの。
 『子育てのこと、あまり知らなかったな』ということに気づいてほしいんですよ。
 子育てにコミットしていくきっかけになってほしいんですよね。
 『子育てパパ力検定 公式テキスト&問題集』(共著。小学館)という本を出しているので、参考にしてほしいのですが、『ウルトラの父は何歳?』なんて問題もあるんですよ。
 ちなみに正解は16万歳。
 これって大人が社会で生きていく上では不必要な知識かもしれないけど、息子に『知ってるか?』って聞くと、『知らない。パパ、知ってるの?』『あったりまえだろ』『すげー、パパ!』ってなるでしょ?
 それだけでもビールが旨いわけ」

(つづく)

第35回 ファザーリング・ジャパンA[2008年02月15日(金) ]

 それでも、父親であることを楽しむ方法がわからないパパも少なくないということ?

「子どもとファッションで楽しみたいとか、遊び趣味で楽しみたい、一緒にキャンプ行って楽しみたいとか、みんな普通に思いだしたんです。
 そうしてやりたい。
 でも、一方で、企業社会の中での評価主義の中で非常に熾烈な競争をしていかければいけない。
 ちょうどその責任が重くなってくる、30歳前後ってそういう時期なんですね。
 そのはざまですごく苦しんでるお父さんたちがたくさんいるんです。
 子どもが生まれて早くうちに帰りたいんだけど、長時間労働が当たり前。
 やりたいと思ってるお父さんの背中を押してあげる場を作ってあげたい、そういう情報を提供していきたい。
 それが、ファザーリング・ジャパンなんです」

 つまり、お父さんたちが自分自身や子どもと向かい合うことを楽しめるための啓蒙活動が、「ファザーリング・ジャパン」の活動なんですね。

「『お父さんの家族サービス』っていう言葉があるじゃないですか。
 この言葉がすごく嫌で、この言葉を撲滅して、はじめて日本の父親は主体的に子育てを楽しめるんだろうなって思ったんですね。
 じゃあこの言葉のアンチテーゼとして『父親を楽しむ』っていう言葉があると。
 主体的にパパになること=笑えるってことだし。
 確かに子育ては義務って部分もあるんだけど、義務である前に楽しい権利であり、自分が子どもと一緒に育つチャンスであると気づいてほしいんです。
 子どもは色んなことを教えてくれますよ。
 みなさんもたぶん自分の親御さんたちにいろんなこと教えてきたと思うんだけど、子どもを育ててるといろんなことに気づきます。
 子どもの体とか心の健康のこともあるし、子どもを取り巻く社会のことについてもすごく敏感になってゆく。
 それがある種のシチズンシップ(市民性)に繋がっていく。
 でも仕事ばかりして子育てにコミットしないお父さんがここに気づいてない」

 安藤さんは、いつ頃から自分が「子どもと一緒に笑ってるパパ」になりたいって思ったんですか?

「僕も20代の頃は、子どもはまだ全然好きじゃなかったんですよ。
 仕事がやっぱりおもしろくって、全然そういうのは眼中になかった。
 でも30歳で本屋さんになった時、平日ベビーカーを押したお母さんとか来るじゃないですか。
 で、子どもとかあやしてるうちに、『なんか子どもっていいなー』とか思い出して、ちょうど35歳の時に往来堂っていう自分の店を持てるようになったのね。
 『よし、じゃあここで子どもでも』と思って、当時同棲してたパ−トナーも、ちょうど仕事が一段落した時だったので、『まあ、じゃあ、そろそろかな』ということで。種族保存の本能も男は33、4くらいで来ますから、1回目の種族保存の本能。まあ自然な流れで、できましたと。
 35歳の時に、パパになったんだけれども、その時にね、『父親ってなんだ、何をしたらいいのかな?』って考えたんですね。子どもが生まれる前、妻が妊娠してから一週間くらいずっと。
 僕の場合はそこで、『自分のOSを入れ替えなきゃダメだな』って思ったんですね。
 つまり今までの価値観や考え方では無理」

 安藤さんのお父さんは、どんなパパだったんですか?

「僕の父親は昭和3年生まれで、高度成長期でバリバリの父親。
 まったく家にいないし、いても全く関与しない父親だった。
 そこで僕は僕なりに、自分らしく父親であればいいんだなーって。
 『じゃあ自分らしくあるためにはどうすればいいか?』って考えた時に、僕はやっぱり主体的にコミットとしていけば、必ず自分の世界が広がって、必ず自分これからの父親として一人の男として市民として一人の人間として、もっと面白いことが待ってるに違いないと思ったんですね。
 そのためには自分が主体的にパパとしてコミットできる環境をまず作んなきゃなと思った。
 でも、通勤時間が1時間半だったら、保育園に子どもを迎えには行けないじゃないですか。
 僕、保育園にすごくいきたかったんですよ。
 キンダーガーデンにはなんかあるに違いない、何かトレジャーランドなんじゃないかなーって予感があったんですよ。
 その時、僕がやったOS入れ替えは、自宅と保育園と職場を自転車15分圏内って決めちゃったこと。
 3点を自転車で15分で回れる距離にと思った。
 家は引っ越せるんだけど、気に入ってるエリアだったんで引っ越したくない。
 保育園も決まるじゃないですか。
 じゃあ職場作っちゃえばいいんだと思って。
 当時ちょうど書店を出すっていうタイミングだったんで、オーナーを騙して『ここがいいですよ!』と(笑)」

(つづく)

第34回 ファザーリング・ジャパン@[2008年02月08日(金) ]

 安藤哲也さんは、10歳の娘と7歳の息子のパパです(2008年1月末現在)。

 安藤さんは、1962年に東京・池袋で生まれ、大学を卒業した後は出版社を渡り歩き、書店営業・音楽雑 誌・楽譜等の販売・宣伝などの仕事に従事していました。

 1994年には大塚・田村書店の3代目店長になり、1996年には千駄木の往来堂書店をプロデュースし、初代店長になりました。

 2000年にはオンライン書店bk1へ移籍し、その後、糸井重里事務所を経て、2003年にはNTTドコモの電子書籍事業へ参画。
 2004年には楽天ブックスの店長に就任しましたが、2007年10月に退社しました。

 こうして書くと、あたかも仕事ばかりが安藤さんの人生のように見えてきますね。

 しかし、他の多くのパパと同様に、実際には「哲也」さんという名前を持った個人の趣味に生きる時間があったり、「2人の子の父親」という時間があったり、愛するパートナーと一緒に過ごす「夫の時間」があるわけです。

 他にも、安藤さんのご両親の前では「子ども」「息子」になる時間があるでしょうし、わが子の先生の前では「PTA」になったり、趣味の仲間からは「○○友達」として生きる時間があったりするわけです。

 このように、会社の履歴では語り尽くせない私生活の時間をもっと大事にし、仕事時間とのバランスを考えることで、もっと豊かな暮らしがあることに気づこうという動きが最近、大人の世界では叫ばれ始めています。

 「ワークライフ・バランス」と呼ばれる仕事と私生活の両立を大事にする生き方を採用すると、個人として仕事の能率も良くなるだけでなく、そのように私生活を大事にすることで仕事の能率を上げられる有能な人材を確保することは企業にとってもメリットがあります。

 日本のサービス残業時間は先進国19ヵ国の中で一番長く、生産性(作業効率)が一番低く、仕事にばかり時間を取られている人の生産性は決してよくないというデータもあり、「ワークライフ・バランス」に配慮しない会社は優秀な人材を確保できなくなるかもしれない時代に突入しているんです。

 しかし、日本ではまだまだこの言葉も一部にしか流通しておらず、世の中の多くのパパも、仕事以外の時間を楽しむことの豊かさや、「父親業」の面白さや奥深さについて気付いているとは言えず、会社に命じられる仕事を中心に生きるというモデル以外の人生の豊かさになかなか踏み出せずにいます。

 そこで安藤さんは、娘と息子の通う小学校のPTA会長を務めるほか、2003年からはパパ’s絵本プロジェクトのメンバーとして、全国の書店・図書館・保育園・自治体等でパパの出張絵本おはなし会を始めました。

 「パパ」を楽しむ試みの始まりです。
 しかし、安藤さんによると、当初は反応が薄かったようです。

「全国の図書館とか自治体に呼ばれて、毎週週末にボランティアで絵本を読んでるんだけど、最初の頃は山梨県の市立図書館とかに行っても、子どもたちとママしかいなかったんです。
 ところが、3年くらい前からお父さんがポツポツと入り始めたんです。
 急にお父さんが増え始めたの。
 その頃、『日経キッズプラス』とか、『プレジデントファミリー』とか、お父さん向けの子育てメディアがすごく創刊されていったと。
 海外ではたとえば、デビット・ベッカムとかブラッドピッドとかジョニー・デップとかが子どもとの2ショット写真を公開し始めた頃だったの。それにともなって、『なんか、パパっていうのもいいな』みたいなふうに…」

 時代の風が吹いてきたようです。

 そこで安藤さんは、2006年11月には父親の子育て支援・自立支援事業を展開するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」を立ち上げ、その後、代表になり、2007年10月からは子育て応援とうきょう会議(東京都)の実行委員にもなったんですね。

 「ファザーリング」(fathering)という耳慣れない言葉が出てきました。
 安藤さんに聞いてみましょう。

「『ファザーリング』とは、お父さんであることを楽しもうよ、という意味です。
 理想的なパパ像としては、“子どもの手本となるような良き父親”ではなく、“子どもと一緒になって笑ってるパパ”ってところですね。
 毎日、通勤電車にボーッとしながら揺られて、住宅ローンを返すためだけに働いて いるようなパパたちに、熱い心や人間らしい生き方、少しでも楽しいと思えるような毎日を思い出してほしい。
 パパたちに、『この24時間で、一番楽しかったことは?』って尋ねると、『朝、子どもに“パパ”って起こされたとき』、と答える人が結構いるんですよ。
 なんだ、答えあるじゃないか、と」

(つづく)

第33回 ナーシング・フリーダムD[2008年02月01日(金) ]

 2006年の頃から百貨店でも授乳服の取扱いが少しずつ始まり、翌2007年に地元・つくばの西武でも始まると、モーハウスでは当然のように子連れ出勤を始めました。

「モーハウスには社員、子連れスタッフ、ボランティアスタッフ、そしてパートスタッフがいます。
 ふだんはそんな区別をせず、45人全員を『スタッフ』と呼んでます。
 ほとんどが0歳〜5歳の子の母親で、半数近くは職場で子どもと一緒に仕事をしてます。
 朝出社してきて夕方まで働き、場合によっては残業する社員たちは今のところみんな独身。
 それからママスタッフとして子連れで短時間働く人。
 それから『モーハウスに興味はあるけど、仕事ではなく趣味で関わりたい』というボランティアスタッフ。
 そして、最もたくさんいるのがパートスタッフです。
 彼女たちなくしてモーハウスの仕事は成り立ちません。
 ほとんどは幼稚園、小学校や学童保育、保育所などに子どもを預けて朝10時から昼3時頃まで働いてますが、子どもの参観日や運動会、病気の際は気兼ねなく休めますし、場合によっては子どもを連れてくることもできます」

 こうしたママさんたちが、赤ちゃんや幼児の子どもを胸に抱いたまま電話を受けたり、ネットからの注文に応えたり、商品の発送準備をしたり、カタログを送ったりしているわけです。

「小さな会社ですし、『一人一人の力も小さくてもいいよ』という主義でやってきています。
 できるだけ無駄な労力は使いたくないので、目標ありきではなく、流れに沿っての目標設定が必要。
 あまりに力が入ってないのは、その時の流れに合わせた活動をしているからかも。
 授乳ショーもファッション・ショーも流れに任せた結果、実現できたんじゃないかな。
 自分に無理を強いながら仕事一筋で働くか、仕事をあきらめて育児をするかの二者択一じゃない、その間の働き方を提案したいのです。
 なので、『人を仕事に当てはめるのではなく、その人に合わせた仕事を作りたい』とよく言ってます。
 ピンチをプラスに変えよう。
 それが私の方針。
 最初のモーハウスサークルができたきっかけも、そんな方針からでした。
 月1回自宅を開放したり、町内の集会所などを借りては集まり、専門知識が必要な時にはモーハウスの助産婦が支援します。
 商品の委託を受けたサークル主催者には、販売を通じて活動資金を作れるようにしたいです」

 今日でも、モーハウスサークルは、服を試着できたり、授乳中のママたちがお互いに悩みを話し合える場として増殖中です。
(北海道から沖縄まで全国52ヶ所。2007年7月現在)

 2006年10月、モネット有限会社は経済産業省から「IT経営百選」の最優秀企業に選ばれました。

 子育て中の母親のストレスを軽減し、女性として充実した生活をしてもらうことを目指して、ユーザーである母親から直接ニーズをくみ取った製品を開発するとともに、メーリングリストによって子連れで働く母親どうしが仕事のスケジュール調整を行う「モーハウス型ワークスタイル」を作り上げたことが評価されたのです。

「母乳を与え始める時期から女性は障害者みたいに世間から虐げられて疎外されます。
 本人も上手く社会とつながっていかないんですね。
 だから、授乳期間中のライフステージを上手く利用できるライフスタイルを提案してきたんです」

 モーハウスの活動を始めて2007年で早10年。
 光畑さんは、母親たちを支援してきた手応えを感じています。

 青山ショップでは月2回程度イベントも催され、ママさんどうしの楽しみを提供しています。
 新潟の地震被災地には服やブラを送り、パパの育児をテーマにした集まりや母乳体験エッセイのコンテストも行いました。
 「学校」を作る動きすらあるようです。

 スタッフの杉山さんが、こんなことを言っていました。

「いつか子どもができたら、子連れ出勤で何ヶ月間かモーハウスに関われたらいいなと思ってるんです。
 そうなるとモーハウスってある種の通過点なのかな。
 自分でも何かできないか、ぼんやり考えたりしますもん。
 なにか面白いことができそうで」

 以上は、拙著『プライドワーク/自分をつくる働き方』(春秋社)からのダイジェスト版です。

 東大自主ゼミでは、光畑さんと杉山さんの両名をお招きし、もっと豊かな話をしていただきましたが、それは受講できた人だけのお楽しみとしておきましょう。

 なお、東大自主ゼミは、2008年春からも継続して行う予定です。
 ソーシャルベンチャーに特化した内容になるかもしれませんが、起業意欲のある方なら誰でも受講できますので、お気軽に下記までお問い合わせください。


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