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1965年生。早稲田大学第一文学部を3か月で勇退。広告業界を経て25歳でフリーライターに。企画・編集した『日本一醜い親への手紙』はベストセラー。『完全家出マニュアル』で造語した「プチ家出」が流行語に。2007年春から東京大学(駒場キャンパス)で自主ゼミの講師を始める。著書に『親より稼ぐネオニート』(扶桑社新書)、『ゲストハウスに住もう!』(晶文社)など多数。
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お父さんの育児 (2008年06月22日)

第19回 ゲストハウスB[2007年10月19日(金) ]

 株式会社オークハウスは、2007年9月現在で都内中心に80か所でゲストハウスを運営し、1300室を貸している日本最大のゲストハウス業者です。

 その代表取締役である山中武志さん(55歳)をこのゼミにお招きする前に、人生年譜をいただいたところ、山中さんは1974年に京都大学経済学部を卒業し、日本IBMに入社したそうです。

「世界一のコンピューターの会社です。給料が高い、実力主義の会社だということで決めました。
 その後、1981年に退職しコンピューターソフト会社を創業しましたが、1992年に倒産させてしまいました。
 それから偶然、ゲストハウスという仕事を始めたわけです」

 「偶然」というのは、経営していた会社の保有する物件が利用者がなかったため、友人の外国人に貸したところ、これが喜ばれたという一件から、遊休物件の再利用に「天職」を見出されたようです。

 不動産賃貸業者に預けても借り手が現れない老朽化した木造アパート、壊して更地にするコストをかけるぐらいなら固定資産税を支払える以上の利益を生み出したい社宅や学生寮などの時代の遺物のような物件、それらが都心では少なからず余っていることに山中さんは気付きます。

 そして、それらの物件を丸ごと1棟安く借り上げることで敷金・礼金を受け取らずにマンスリー単位で貸すビジネスモデルで、経済的に余裕のない人でも気軽に利用できる物件を次々に開発していったわけです。

 しかも、連帯保証人も不要で利用できるようにしたことから、当然のように外国人や身寄りのない人なども集まってきました。

 ゼミ生から、「保証人なしで貸し倒れは?」という当然の疑問がぶつけられました。

 山中さんが答えます。

「昨年は15人、こちらから出ていってもらったんですけど、そのうち10人くらいは払えない人なので、1件5万円だとして、年間で50万程度のロスにすぎないんですよ。
 1300室の中で10人ですよ。
 もっとも、本当にお金のない人や収入が不安定な人には、アルバイトを紹介するケースもあります。
 『オークハウスでもアルバイトの口がありますから。そういう困りごとは逃げずにスタッフにしてください』と言っているんです。
 このように実際は保証人なしでも安心して運営できるんですが、そもそも日本の不動産業界は地主・家主などの代理業者で、供給側のロジックが続いているんです。
 不動産屋は入居者募集して、仕事先などを確認して、礼金・敷金とっているのに、クーリングオフの制度もないですよね。
 マンションに入って昼間に10分くらいチェックしても、いざ入居して夜になったら上の階では子どもがドタドタ歩き回ったり、隣の部屋がやくざだったりしても、礼金も敷金も返ってこないですよね。
 戦後、物件が少ない時代に、供給側の論理がまかり通ってしまったんですね。
 今はkakaku.comのように消費者側が価格を決めているのに、不動産業界だけはまだ改善されてないってことなんです」

 最近は、20〜30代のネットカフェ難民や低賃金にあえぐフリーターも少なからずいますが、月に3万円程度から入居できるゲストハウスはネットカフェを利用するよりも安く、同時に定職に就くうえで好都合でしょう。

 不動産賃貸会社で紹介されるようなマンションやアパートには高くて住めない低所得層にとっては、ゲストハウスの認知度が上がり、彼らの耳や目に届くこと自体が社会的に意義のあることのように感じました。

「これまでに、社会の底辺にいる人や人生に失敗した人、ドメスティックバイオレンスの方とか、いろんな人が利用されました。
 今でも生活に困って『ゲストハウスは安いから』と言って入ってくる人もいます。
 それでも、このビジネスを始めようとしていた15年前の頃は、ヤクザがビルを不法占拠してやっていたような、スクォッティング(※廃屋の不法占拠)のようなゲストハウスがあったんですね。
 外国人さんを放り込んで、逃げないようにしていたりね。
 最近はありませんが。
 そうではなくても、自由気ままにやってるゲストハウスもありましたよ。
 床を10年以上掃除せずに、灰皿みたいになってたりね。
 兵役が終わって世界放浪するイスラエル人(ユダヤ人)が日本で始めたゲストハウスもありましたが、めちゃくちゃでしたね。
 それらは『外人ハウス』と呼ばれていたのでイメージが良くなくて、僕は『ゲストハウス』と呼び始めたんですね」

 このように、ゲストハウスの物件数を増大させてきたこと自体が、経済的弱者を救うという点では「ソーシャルベンチャー」的と言えます。

 ソーシャルベンチャーについては、下記サイトをご覧ください。
http://gogo-socialventure.blogspot.com/

(つづく)