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1965年生。早稲田大学第一文学部を3か月で勇退。広告業界を経て25歳でフリーライターに。企画・編集した『日本一醜い親への手紙』はベストセラー。『完全家出マニュアル』で造語した「プチ家出」が流行語に。2007年春から東京大学(駒場キャンパス)で自主ゼミの講師を始める。著書に『親より稼ぐネオニート』(扶桑社新書)、『ゲストハウスに住もう!』(晶文社)など多数。
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お父さんの育児 (2008年06月22日)

第16回 ネオニートE[2007年09月28日(金) ]

 ほかの東大生からは、こんな感想も聞かれました。

「僕は『3年になって就職活動の時期が来たら就職活動を始めよう』みたいに感じて、今は4年生で、就職先も決まった状態でなんですね。
 就職を大前提にしてて、起業するとかを選択肢に入れてない気がしました。
 でも、リスクとは雇用されても自営してもどこに行ってもあるわけで、選択肢が見えてなかったこと自体が怖いなと感じました」

 会社に就職することのリスクと、自分で起業することのリスクの違いを、十分に説明されないまま、周囲の空気に流されるように就職活動や進学を考える人が大半ですが、それは従来の教育が会社に雇われることを前提にしたものだったからです。

 会社員になれば、会社都合でリストラされるリスクがありますが、自営業にはそんなリスクはありません。

 また、自営業には新しい仕事を自分で作り続けていけなくなったら収入が途絶えるリスクがありますが、会社員にはすぐさまそういうリスクに直面することがありません。

 他にも、たとえば会社員として働く場合は安定生活を前提に薄給も覚悟しなければなりませんが、自営業なら不安定生活を覚悟すれば、自分の能力とやる気次第でいくらでも年収をアップさせていけるチャンスがあります。

 正社員が60歳の定年まで働くことを前提とした人生設計をしているのに対し、自営業者はもっと若い年齢までに蓄財できるだけの資産を稼ぎ出し、労働から解放されることを目指すことも自由です。

 このように、働き方の異なる2つのあり方を選ばせるようなプログラムが、これまでの教育課程にはありませんでした。

 しかし、今日では、公立の小・中・高校では「キャリア教育」と称して自営業のセンスを小さい頃から習得させるプログラムが始まっています。

 そもそも会社に雇われるという選択肢は、自分で事業を起こせない人向けのものであって、自分で仕事を作り、収入を得られる能力を持っている人には、狭き門の就職戦線を勝ち抜くような競争に参加する必要がないんですね。

 矢代さんは言いました。

「リスクを恐れて事業を起こさないほうがやばいかな」

 すると、専業主婦のゼミ生が、こう言いました。

「学校は行くもんだ、就職はするもんだ、というのがみなさんの中にすごくあるんだって感じました。世
 の中の普通路線に刷り込まれちゃって、外れた時にどうしていいかわからなくなっちゃうんだろうなと」

 これにうなづく東大生も現われました。

「自分で稼ぐ力を日ごろから考えておかなきゃ、と思いました。
 矢代さんはネット以外の収入を考えていくつもりはないんですか?」

「今はネットを使ってしか考えてないです。
 なんらかの形でネットを使ってビジネスをすると思います」

「矢代さんの成功は、ご自身の能力だと思いますね。
 それは、みんなができることだと思いますか?」

「人よりちょっと努力できるかどうかってことだと思います」

 もっとも、小遣い稼ぎの感覚だけだと、矢代さんの得ている収入を実現するほどまで動かないのではないかと思います。

 僕には、矢代さんが100社に入社を断れて「あせり」があったことが、自ら収入手段を作る大きな契機だったように思うのです。

 すると、IT会社の専務を務めるゼミ生が、面白い質問をしました。

「5年前からIT企業の専務をやってます。
 前は2年間ヒモで生活してました。
 矢代さんは、『天然キャラですね』と言われたことありますか?」

「けっこう言われます」

「そういうのほほんとしたところが、経営者向きだなと思いました。
 すごいなと思うのは、何もないところからお金を産むことを経験値として積み上げていって、その方法を他の人にチャンスに与え、利益を分配していますね。
 矢代さんを見てニートがネオニートになっていけば、それは社会貢献としていいことだろうと思いました」

 事実、拙著『親より稼ぐネオニート』を読んでからブログを作り、アフィリエイトを始めたニートたちが続出しています。

 それは、Yahoo!のブログ検索などで検証すれば、わんさか出てくるので、どれだけ「ネオニート」の存在がニートの当事者たちに勇気を与えたかが理解できるでしょう。

 労働者全体に占める正規雇用の割合(正社員率)が年々低下している現状を思えば、現在中高生の世代が大人になる頃には、「2人に1人が正社員」の時代が到来しているかもしれません。

 しかし、働き方には、自営業や会社を作ることさえあるのだと気付けば、学歴や受験学力よりも、早いうちから「稼ぐ力」を身につけることこそが生き方の選択肢を広げていけます。

 さまざまなネット・ビジネスを始めて親より稼げるようになった先輩たちの動向を見れば、働くこと=自分の能力で仕事を作れることの面白さに気づく人も増えるように思いますし、それが正社員に多くの人があぶれてしまう時代でも生きていける切り札になっていくだろうと思うのです。