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1965年生。早稲田大学第一文学部を3か月で勇退。広告業界を経て25歳でフリーライターに。企画・編集した『日本一醜い親への手紙』はベストセラー。『完全家出マニュアル』で造語した「プチ家出」が流行語に。2007年春から東京大学(駒場キャンパス)で自主ゼミの講師を始める。著書に『親より稼ぐネオニート』(扶桑社新書)、『ゲストハウスに住もう!』(晶文社)など多数。
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お父さんの育児 (2008年06月22日)

第14回 ネオニートC[2007年09月14日(金) ]

 ゼミ生から質問の手が挙がりました。

「僕もアフィリエイトをやっていて、一つのブログで月に5万ほどの収入になっているんですけど、アフィリエイトで儲けるにも、広告単価の高いところって怪しい会社が多いのでは?」

 矢代さんが答えます。

「確かに薦めたくないところもありますよね。もっとも、儲かっているFX(外国為替)のようなところは、本業で儲かっているから成功報酬も高いんだろうとは思います」

「みんなが就職活動をしている中で、一人でせどりとか始めて不安じゃなかったですか?」

「面接で落ちると、さすがにへこむじゃないですか。
 だから1年休学したんですね。
 『就職しなくてもバイトを週5でも入れれば自分は大丈夫かな』と思ってましたし、やりたいジャンルしか受けなかったので、自分の働きたいクリエイター業界に行けなかったからしょうがないと思ってたのかもしれません。
 不安というより、コンプレックス的なのはありました。
 同期の友達はみんな1年前に卒業して就職してましたし。
 だから、新卒で就職していった人よりも絶対稼ぐぞという気持ちはありましたね」

「ネオニートになって、さらに金を余らせているぐらいの人は少ないと思うんです。
 一つのことにどれだけエネルギーを集中できるかってことなんですけど、他の人と比べて自分はどう違うと思いますか?」

「1点集中はすごい大事なんですけど、月収20〜30万円に達する頃までは、コンプレックスだけで頑張ってましたね。
 同期に負けられないみたいな気持ちでした。
 サークルの飲み会に出ても、アフィリエイトで生活しているというあり方は、やっぱり説明しにくかったですからね。
 ライバルがいると強いかも」

「せどりは、稼ぎ方がうさんくさいと思いました。
 古本屋ならいいのだけど、ふつうの人が買える場所で買って転売するのが、どこかうさんくさい感じが抜けないです」

 中古市場にも、一定の売買のルールがあります。
 しかし、それはネットでの売買を想定したものではないため、昨今のようにネット上で中古品を売買する人が増えてしまうと、市場が荒れ、既存の相場価格にも影響が出かねません。

 それでは、中古品売買で生計を立てている人の生活を圧迫し、ひいては価値のある商品も品薄になったり、原型のまま保存する経費も捻出できなくなり、最後は処分を余儀なくされ、貴重な本やお宝グッズが失われてしまうことにもつながりかねないのです。

 もっとも、矢代さんは、せどりで儲け始めてほどなく、古物商の免許を取り、会社法人化も済ませて税務処理もきちんとできる体制を整えていました。

「ブックオフは一部のエリアにしか店舗がなくて、amazonはネット上ですから全国どこでも買えるわけです。
 せどりは、欲しい本を欲しい人に届けるビジネスなんですよ。
 読みたい人に届けているという点では役立っていると考えています」

 確かに、小売店の古書店よりも安く本を売るチェーン店のブックオフで105円コーナーに置かれた本が売れ残れば、最後は断裁してゴミにするしかないでしょう。

「それでも、良い本を見つけて売らないといけないわけでしょ?
 売り先を見つける情熱って、どこから来てるのですか?」

「がんばって売り上げの数字を上げれば、がんばっただけの成果(収入)があるので、それがやりがいですね」

「自分の仕事がどう社会と関わっているのかについては、考えませんか?
 たとえば、パチンコ屋を営んで生活させてもらっていても、客の中には借金してまでギャンブルをやって、身を持ち崩す人もいますよね。
 すると、なんだか社会的に悪いことをしているような…」

 自分の仕事が社会的にどんな影響があるのかは、経営者はもちろん、雇用されている人も考えてほしいことです。

 たとえば、精神科医は「医者だから悪いことはしないだろう」という世間のまなざしに支えられていますが、現実には医者の処方する薬を自己管理できずに薬漬けになって死んでしまっている患者も少なくないのです。

 逆に、新しい稼ぎ方であるがために誤解も多く、世間的にはうさんくさく見られる「ネオニート」も、ニート自身に希望を与えています。

 世間や2ちゃんねるなどからの評判よりも、その当事者のありのままの姿をちゃんと自分の目で見ることが大事でしょう。

 矢代さん自身は先の質問にこう答えました。

「たとえば、アフィリエイトで儲けるノウハウとして(成約すればキックバックの大きい)消費者金融を多くの人に勧めたとして、その広告を見て消費者金融でお金を借りて不幸になる人が出てくるのを辞めさせられるかどうかと考えると、難しいですね」

 インターネット上にある情報を利用する際には、その結果起こることをすべて利用したユーザの責任として引き受けなければいけません。

 そもそも、ネット利用には自己責任という基本原則があるため、自分の能力の範囲を超えて借金できてしまうような消費者金融に手を出して問題が生じても、それはユーザ自身が情報の吟味を怠ったことにすぎないのです。

 ネット上には、合法の顔をした広告もあれば、一見違法な顔をしているまともな主張もあります。

 それを吟味し、自分の利害を考えることは、すべてのネット・ユーザに課せられた最低限度のルールといえるでしょう。

 もっとも、そういうルールを知らない子どもやネット初心者をわざわざ消費者金融に導きたくない気持ちがあれば、消費者金融のアフィリエイトがたとえ儲かるものであっても自粛するという選択肢も採用できるはずです。

 それはアフィリエイター各自に課せられた厄介な問題ですが、自分の返済能力を超えた借入をする人まで想定しなければ、広告やパチンコ店の営業などが許されないのだとしたら、それはそれで問題なのかもしれないという点に気付いてほしいと、僕は思いました。

(つづく)