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1965年生。早稲田大学第一文学部を3か月で勇退。広告業界を経て25歳でフリーライターに。企画・編集した『日本一醜い親への手紙』はベストセラー。『完全家出マニュアル』で造語した「プチ家出」が流行語に。2007年春から東京大学(駒場キャンパス)で自主ゼミの講師を始める。著書に『親より稼ぐネオニート』(扶桑社新書)、『ゲストハウスに住もう!』(晶文社)など多数。
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お父さんの育児 (2008年06月22日)

第39回 コミュニティ・ビジネスA[2008年03月14日(金) ]

 「若女将塾」と称して「田舎の旅館を拠点に地域の問題を解決しよう」と呼びかけると、春には女将志望の女性が東京の仕事を辞め、修業のためにやってきました。

 大学生や社会人も続々と訪れ、山根さんが女将に就任した後から1年間で全国から約100人のインターン(※就業体験のためにスタッフになる無給のお手伝い)が集まってきたのです。

 こうして週休4日を始める頃には、「もったいない運送」の試みが始まりました。

 きっかけは、隣県の知り合いから「夏ミカンの収穫をする人手が足りず、出荷できずに腐りそうだ」との連絡を受けたこと。

 そこで山根さんは旅館スタッフと現地に出向いて収穫を手伝い、ミカンを旅館の風呂に浮かべてみたところ、旅客たちから大好評を得たんですね。

 これを機に、形の悪さや大きさ、傷の多さで「規格外」と判断されて買い取られずに捨てられている農作物を生産農家から直接買って再利用することも始めたんです。

 煮たり、揚げたり、出汁(だし)を取ったり、小さく切って使えば、規格外でも味は変わりません。

 「規格外の野菜を売るのは恥だ」と渋る農家と1か月ほど粘り強く交渉し、「値段をつけてほしい」と頼んでみました。

 しかし、そんな経験がなかった農家は、自分で額面をなかなか決められなかったのです。

 山根さんは規格内の野菜の一割高で買い取るところから始め、旅館の食材として使ったり、社会教育施設の給食用に販売を始めました。

 やがて買い取り額は月20〜30万円に上り、農家の新たな収入源に育て上げることに成功。

 今後はそうした規格外の野菜を加工する工場も設ける予定だそうです。

 この成功によって、「もったいない運送」は農作物以外にも波及しました。

「引っ越しの時には、家具や家電など不要品が出ることが多いでしょ。
その人にとっては不要なものでも、他の人には必要なものがもっとあるはず。
そこでブログで不用品の募集を始めたんです」

 車の提供や運び手はボランティア、ガソリン代はもらい手に負担にしてもらう形で、今では県内だけでなく、山口、福岡など10箇所の拠点で再利用候補品の回収が行われ、毎週トラック1台分が県内外に運ばれているほか、「もったいない運送」は新語としてYahoo! Japan辞書に登録されました。

 また、人手不足の農家の持つ休耕地に農作業に出向く援農隊「NOLO耕作隊」を結成・組織し、農業を営む農家25件を訪ね、農作業体験&農業事情を記事にする取材を行うと、農林水産省の「農村コミュニティ再生・活性化事業」に採択されました。

 さらに、世界遺産に登録されて観光の目玉になっている地元の石見銀山遺跡の付近で生い茂る竹に困っている人のために、伐採から運搬、加工、流通までの過程の流れ作りを作ろうと、一口10万円の「竹やぶSOS基金」を設立。

 こうした活動を地元の方に知ってもらおうと、廃材にされたレンガと伐採した竹の炭で火をおこし、規格外の野菜で作ったピザを実演販売するイベントも開きました。

 普通の発想なら邪魔者扱いされるものばかり集めても、素敵な野外ピザ・パーティはできるわけです。

 それは、山根さんがコミュニティ・ビジネスに賭ける思いをどこか象徴しているようですね。

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