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実際、どんなことをしたら、安藤さんは「父親業」が面白くなったんですか?
「3歳くらいまではなんといっても質より量でね、一緒にいる時間をできるかぎり長くして、スキンシップで 愛情をかけてあげる。
その時期は自分の人生を考えずに、“今はそういう時期なんだ”と思ってね。
娘のオムツは4400枚も換えました。その量は娘との絆の太さに比例してるって自信が持てる。
お互いのことを理解する時間をこれだけもったんだから、彼女は思春期に何が起きても、僕を悲しませることはしないだろうと思います。
娘はかわいいもんでね、僕がいないとき、僕のマクラを抱いて寝てるんだって。『パパの匂いがして、安心する』って。
そんな娘の靴を洗ってるとね、『出産時は3000グラムだったのが、もう足のサイズ21センチかよ。ヒー!』って一人バルコニーでむせび泣いたり……。
でも、そうやって育児に積極的に関わっていくと、子どもも奥さんも喜んでくれる。
楽しいし、気持ちがいいですよね。
そんな快感が3〜4回続くと価値観が変わってくるんです。
『父親業も面白いじゃないか』と。
育児は辛いこともあるし、子どもは悪魔になるときもあるし(笑)、それは大変なんですよ。
大変なんだけど、『それも含めて総合的に楽しいよ』って言っていかないと。
実際、楽しくてやりがいのある仕事なんです。
もっとも、NPOを立ち上げるときに最終的な引き金になったのは、奈良で起きた長男放火殺人事件でした。
仕事ばかりして子どもに関心を持たない父親の身には、わが子に殺されるような事件がいつ起きてもおかしくないんじゃないかって……」
「父親業」に関心を払わずに親子関係がまずくなっていけば、親が老いて弱くなり、子どもに介護される頃には大変なことが起きそうですね。
「団塊の世代の人たち(60歳前後)が、あと15年くらいで要介護の人たちになる。
今30歳の自分が介護保険を払いながら面倒見るって形になるよね。
その時に45歳の時って中間管理職とかだから、なかなか介護休暇もとれないってことになると困る。
誰も先達たちの面倒を見れなくなる。
本当は家族が見ればいいんだけれども、そうもいかないって中で、ワークライフバランス、子育てだけじゃなくて、実は介護の問題も含んでるっていう部分が大きい。
だからその時に子育てをしてた人のほうが介護もしやすいじゃないか。
子どものオムツも代えられない人が、自分の親だからってオムツも代えられない。
先日朝日新聞でも発表されてたけれども、介護中にストレスがたまって虐待しちゃう人の70%は息子、および旦那さんなんです」
「ファザーリング・ジャパン」は、具体的にどのような活動をしているのですか?
「全国で、ファザーリングやワーク・ライフ・バランスについてのセミナーを開催したり、そういったことに関心を持った企業のコンサルティングなどを行っています。
啓蒙活動ですね。
ほかにも、水面下で、いろいろなプロジェクトを推進中です。
社会に意識改革を起こしたいと思っていますから、10年、20年の長い活動が必要になるでしょうね」
3月16日には、『パパ力検定』(略して「パパ検」)という全国一斉試験が開催されるみたいですね。
「ええ。これは育児に関する知識を試す検定試験ですね。
ファザーリング・ジャパンのホームページ(http://www.fathering.jp/index.html) で、練習問題にトライできるので、やってみてください。
この検定はNPOの事業としてやっていて、インフラのコストがかかるために銀行からお金を借り入れてるんです。
会場は東京は法政大学、大阪は大阪商業大学など。
5000人を集めようとしてます。
問題は、結構難しいですよ。
3分の1正解すれば、優秀だと思います。
でも、高い点なんて取れなくたっていいんです。
本質的に父親業をやるために知識が必要なんじゃない。
『この知識があったほうが子育てが楽しめますよ!』っていうものなの。
『子育てのこと、あまり知らなかったな』ということに気づいてほしいんですよ。
子育てにコミットしていくきっかけになってほしいんですよね。
『子育てパパ力検定 公式テキスト&問題集』(共著。小学館)という本を出しているので、参考にしてほしいのですが、『ウルトラの父は何歳?』なんて問題もあるんですよ。
ちなみに正解は16万歳。
これって大人が社会で生きていく上では不必要な知識かもしれないけど、息子に『知ってるか?』って聞くと、『知らない。パパ、知ってるの?』『あったりまえだろ』『すげー、パパ!』ってなるでしょ?
それだけでもビールが旨いわけ」
(つづく)