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1965年生。早稲田大学第一文学部を3か月で勇退。広告業界を経て25歳でフリーライターに。企画・編集した『日本一醜い親への手紙』はベストセラー。『完全家出マニュアル』で造語した「プチ家出」が流行語に。2007年春から東京大学(駒場キャンパス)で自主ゼミの講師を始める。著書に『親より稼ぐネオニート』(扶桑社新書)、『ゲストハウスに住もう!』(晶文社)など多数。
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お父さんの育児 (2008年06月22日)

第34回 ファザーリング・ジャパン@[2008年02月08日(金) ]

 安藤哲也さんは、10歳の娘と7歳の息子のパパです(2008年1月末現在)。

 安藤さんは、1962年に東京・池袋で生まれ、大学を卒業した後は出版社を渡り歩き、書店営業・音楽雑 誌・楽譜等の販売・宣伝などの仕事に従事していました。

 1994年には大塚・田村書店の3代目店長になり、1996年には千駄木の往来堂書店をプロデュースし、初代店長になりました。

 2000年にはオンライン書店bk1へ移籍し、その後、糸井重里事務所を経て、2003年にはNTTドコモの電子書籍事業へ参画。
 2004年には楽天ブックスの店長に就任しましたが、2007年10月に退社しました。

 こうして書くと、あたかも仕事ばかりが安藤さんの人生のように見えてきますね。

 しかし、他の多くのパパと同様に、実際には「哲也」さんという名前を持った個人の趣味に生きる時間があったり、「2人の子の父親」という時間があったり、愛するパートナーと一緒に過ごす「夫の時間」があるわけです。

 他にも、安藤さんのご両親の前では「子ども」「息子」になる時間があるでしょうし、わが子の先生の前では「PTA」になったり、趣味の仲間からは「○○友達」として生きる時間があったりするわけです。

 このように、会社の履歴では語り尽くせない私生活の時間をもっと大事にし、仕事時間とのバランスを考えることで、もっと豊かな暮らしがあることに気づこうという動きが最近、大人の世界では叫ばれ始めています。

 「ワークライフ・バランス」と呼ばれる仕事と私生活の両立を大事にする生き方を採用すると、個人として仕事の能率も良くなるだけでなく、そのように私生活を大事にすることで仕事の能率を上げられる有能な人材を確保することは企業にとってもメリットがあります。

 日本のサービス残業時間は先進国19ヵ国の中で一番長く、生産性(作業効率)が一番低く、仕事にばかり時間を取られている人の生産性は決してよくないというデータもあり、「ワークライフ・バランス」に配慮しない会社は優秀な人材を確保できなくなるかもしれない時代に突入しているんです。

 しかし、日本ではまだまだこの言葉も一部にしか流通しておらず、世の中の多くのパパも、仕事以外の時間を楽しむことの豊かさや、「父親業」の面白さや奥深さについて気付いているとは言えず、会社に命じられる仕事を中心に生きるというモデル以外の人生の豊かさになかなか踏み出せずにいます。

 そこで安藤さんは、娘と息子の通う小学校のPTA会長を務めるほか、2003年からはパパ’s絵本プロジェクトのメンバーとして、全国の書店・図書館・保育園・自治体等でパパの出張絵本おはなし会を始めました。

 「パパ」を楽しむ試みの始まりです。
 しかし、安藤さんによると、当初は反応が薄かったようです。

「全国の図書館とか自治体に呼ばれて、毎週週末にボランティアで絵本を読んでるんだけど、最初の頃は山梨県の市立図書館とかに行っても、子どもたちとママしかいなかったんです。
 ところが、3年くらい前からお父さんがポツポツと入り始めたんです。
 急にお父さんが増え始めたの。
 その頃、『日経キッズプラス』とか、『プレジデントファミリー』とか、お父さん向けの子育てメディアがすごく創刊されていったと。
 海外ではたとえば、デビット・ベッカムとかブラッドピッドとかジョニー・デップとかが子どもとの2ショット写真を公開し始めた頃だったの。それにともなって、『なんか、パパっていうのもいいな』みたいなふうに…」

 時代の風が吹いてきたようです。

 そこで安藤さんは、2006年11月には父親の子育て支援・自立支援事業を展開するNPO法人「ファザーリング・ジャパン」を立ち上げ、その後、代表になり、2007年10月からは子育て応援とうきょう会議(東京都)の実行委員にもなったんですね。

 「ファザーリング」(fathering)という耳慣れない言葉が出てきました。
 安藤さんに聞いてみましょう。

「『ファザーリング』とは、お父さんであることを楽しもうよ、という意味です。
 理想的なパパ像としては、“子どもの手本となるような良き父親”ではなく、“子どもと一緒になって笑ってるパパ”ってところですね。
 毎日、通勤電車にボーッとしながら揺られて、住宅ローンを返すためだけに働いて いるようなパパたちに、熱い心や人間らしい生き方、少しでも楽しいと思えるような毎日を思い出してほしい。
 パパたちに、『この24時間で、一番楽しかったことは?』って尋ねると、『朝、子どもに“パパ”って起こされたとき』、と答える人が結構いるんですよ。
 なんだ、答えあるじゃないか、と」

(つづく)

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