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2011.09.27 14:41

~~これからの「未来」を生きる若い世代のみなさんへ、
大人たちからのメッセージをお伝えします~~


弁護士 紅山 綾香さん
(広島みらい法律事務所)
弁護士 紅山 綾香氏

■ 自己紹介が苦手だった私
 「紅山綾香です」「めずらしい名前ね!」と、毎回繰り返される相手の反応がいやで、子どもの頃の私は、自己紹介がとてもきらいでした。決して目立つタイプではない私自身と、「めずらしい名前」の間に大きなギャップを感じていたのです。
 母はよく、親子向けのステージイベントに連れていってくれました。バレエを習っていたこともあって、映画や音楽よりも、舞台の上に人が出てきて、目の前で演じる、舞台の魅力に惹かれました。中学では演劇部に所属していましたが、舞台に上がることよりも、演出をしたり、脚本を書いたりすることが好きで、将来は脚本家になりたいと思っていました。

■ 弁護士になった私
 法学部に進学しましたが、友人に誘われて参加した模擬裁判のサークルが、法曹の道を選ぶきっかけだったと思います。卒業後の進路を考えたとき、自分自身の成果や評価のために働き続ける自信が、私にはありませんでした。困っている誰かのために働く弁護士なら、自分のために働くよりも、やる気を持ち続けられるのではないかと考えたのです。
 私は、弁護士は通訳のような仕事だと思っています。依頼人の方は、大きなトラブルを抱え、精神的に混乱している場合もめずらしくありません。トラブルの状況や依頼人の言い分を、裁判所で公正に取り扱える言葉に翻訳すること。さらに、法律の専門家ではない依頼人が理解できるよう、状況を整理して説明することの両方が、弁護士には求められます。どんなに難しい法律の知識を持っていても、相手に伝わらなければ何の役にも立ちません。書類や弁論といった「ことば」を使って、相手の理解を得ることは、私が憧れていた脚本家の仕事にも通じる部分があるような気がします。

■ 私にとって未来とは
 現代の日本にも、社会的に恵まれない境遇の下で、手助けを必要としている人がたしかに存在します。まず、その現実に目を向けなくてはなりません。自己責任ということが強く謳われますが、なにかのタイミングで困難な立場に追い込まれてしまう可能性は、誰にでもあるのです。
 自分の力ではどうすることもできない状況にある人に、「あなたがしっかりしないからいけない」と言い立てることでは、解決に近づかないのではないかな、と思います。困難を抱えている人を、周囲が理解し、支援し、人と人がお互いに支えあっていく未来になるように。制度面を含めて、社会全体がそうなることを心から望んでいます。

■ 未来を生きる人たちへ
 私ははじめから「弁護士になりたい」という明確な希望を持っていたわけではありません。高校の先生が法学部を進路として薦めてくれたときも、友達の参加しているサークルを見に行ってみたときも、理屈はなにもありませんでした。ただ、今振り返って、特に根拠もないのに、意外と迷いなく決められた決断が、将来につながっている気がします。
 大切なのは、素直に「これだ!」と思えるタイミングを逃さないこと。そして、一度自分で決めたことは、決して他人のせいにしないでほしいと思います。様々なトラブルに直面して、誰かを恨んだり、憎んだりせずにいられない方も、何人も見てきました。そんなとき私は、恨んでも憎んでも、相手を100%自分の思い通りに変えさせることはできないんだ、と話します。お金でも、法律でも、人の心を思い通りにはできないのが現実。他人を責める気持ちを捨てたとき、人は、新しい未来へ前向きに歩き出せるのだと思います。

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あのころの未来

プロローグ
第1回 社長
第2回 シェフ
第3回 薬剤師さん
第4回 ミュージシャン
第5回 看護師さん
第6回 おかあさん
第7回 弁護士さん
第8回 お花屋さん
第9回 絵描きさん
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