「就社」も悪くないんじゃない?

[2008年09月30日(火) ]

インターネットで情報を集め、気になった企業に「エントリー」するという大学生の就職活動はもはや当たり前になりました。

そうした学生の動きを受けて、各企業は自社のホームページ、とくに採用サイトを充実させるべく人と時間と金を相当に注いでおります。

とくに最近の就職活動は「売り手市場」といわれ、売り手である学生のほうが、買い手である企業を選んでいる状態ですので、選ばれる企業側も必死です。


十数年前の自分の時代には、たしか「資料請求」といってハガキを大量に企業に送った記憶がありますが、バブル崩壊後で・・・。

いろんな意味で隔世の感があるのですが、優秀な学生を確保したいという企業、自分の能力を活かせる企業を選びたいという学生の思いは変わらないようです。



先日、ある商社に取材に行ってきました。

本社と支店の2カ所を回り、営業本部長と人事部担当者、営業職、事務職など社員数名の方に話を聞いてきました。

営業本部長はもうすぐ還暦を迎える大ベテラン、人事担当者は30〜40代くらい、社員さんは入社2年目の若手もいれば、10年目という中堅のバリバリな方もいます。


人事の方に話をうかがうと、

「うちの会社は営業職がメインなので、新入社員はまず営業関係の仕事に就く場合が多いのですが、営業推進部という営業をバックアップする部署だったり、マーケティング部という営業をサポートする部署もあります。

新人でも人事部や総務部、経理部に配属されることもあります。ですから『営業だけをやりたい』という人ではなく、いろんな部署を経験してみたいという人を求めています」


とのこと。


実際に社員の方に話をうかがったときも、入社2年目のMさんは

「私はまだ本社勤務ですが、いろんなところに転勤してみたいんです。いろんな経験をして自分を高めていきたい。そこでまた同じ部署に戻ってきたとしても、前よりは成長していると思うんです」

入社10年目でマーケティング部にいるKさんは

「入社以来10年営業職を経験しました。すごくやりがいもあって面白かったのですが、会社を別の角度からみたいと思って異動を希望しました。立場が変わると仕事の見え方も変わって来る。それが面白いですね」



こうして企業を取材していると、私はいつも

「若い頃に会社という組織に属して働くのも、悪くないのでは?」

と思います。

よく「日本の就職活動は『就職』ではなく『就社』だ」と揶揄されたりもしますが、同じ組織に所属する仲間がいて、上司や先輩、後輩という人間関係があって、いろいろな部署があって、それを経験できるという環境は、決して悪くないと思います。


「部長やっていました」「課長やっていました」という人がリストラされて、再就職しようにも難しいということがあり、

「一社で経験を積み重ねてきても、それで自分の市場価値が高まるわけではない。どの企業でも通用するような専門性や知識を身につけなければ」

ということで、資格を取ったり、業種を絞り込んで企業を選んだりという選択肢もありますが、一方で、

「会社に育ててもらう」

という経験は、若い人にとって何事にも代え難いものです。


受け身の姿勢だけではダメですが、

「この会社でいろいろな経験をして、自分を育てたい、育ててもらいたい」

という謙虚な気持ちになれる会社があったら、思い切って『就社』してみるのも、オススメです。