[2007年09月04日(火) ]
さて、新薬の開発のための行われる臨床試験=治験をサポートする機関としてSMO、CROという機関があることを前回お伝えしました。
私が取材したのは、医療機関側を支援するSMOの業務を行う会社ですが、
そこでお話を伺ったのが、入社2年目のTさんです。
Tさんは薬学部出身で、薬剤師の資格も持っています。
彼女に、なぜ病院や調剤薬局の薬剤師ではなく、SMOという業界を選んだのかを聞いてみました。
「入学前は、SMO業界のことなんて、まったく知りませんでした。
しかし、3年生になって校内で開かれた就職セミナーで、この業界に就職している先輩の話を聞くことができました。
薬学部に進んだときから、自分は将来病院か調剤薬局で薬剤師として働くか、製薬メーカーに行くんだろうなと思っていたのが、
それとは別の道があると、そのとき初めて知ったのです。
病院の中だけにいると意識が狭くなるし、社会人としてのマナーも身に付かないのでは…と思っていたので、
企業で働いてみようと思ったのです」
Tさん曰く、
病院では薬剤師なら薬剤師、看護師なら看護師、検査技師なら検査技師と業務が専門化、細分化されていて、「ここは私の仕事!」裏を返せば「私の仕事以外は知らない」という意識が強いように感じたといいます。
また、社会人としてのマナーということに関して言うと、病院は一種独特の世界なので、企業で働く人のようなビジネスマナーとは別のやりとりが多いのでしょう。
Tさんは、病院で働く人を否定していたわけじゃありません。
けれども、
「企業に入っていろんな人とかかわり合って、自分を成長させたい」という意識が強かったようです。
Tさんの仕事は、製薬メーカーなどから治験の打診があったとき、担当する医療機関の医師と相談し、治験を行うか否か、どのように行うかなどを取り決め、治験契約書を作成したり、治験の準備をすることです。医師とのコミュニケーションがとても重要だということです。
「先生によっては、治験に消極的な人もいれば、薬に対して研究熱心な人もいます。
先生のタイプに応じて、話の持って行き方をかえながら、治験に協力してもらうよう、交渉します。
最初、先生は気難しくてなにを話していいかわからなかったのですが、いまでは対等に話ができるようになりました」
薬学部卒ということで、薬に対する知識は十分なので、医師からの信頼も得やすいようです。
また、Tさんは新薬の開発ということにも興味があったので、いまの仕事にやりがいを感じるといいます。
「薬学部卒なので、医薬品メーカーの医薬情報担当者(Medical Representative、通称MRと呼ばれます)になる道もあったと思います。
けれども、MRの私であったならば先生はこんな風に対等に話をきいてくれなかったと思います。
MRの役割はとても重要なのですが、医薬品メーカーの人間なので、どうしても営業セールス的なところもあって、先生の中には苦手な人が多いのです」
SMO業務であれば、患者の治療に役立つかもしれない薬の情報を持ってくる人であるため、
医師から対等なパートナーと見なされるようです。
こんなところにも、入社2年目のTさんは仕事のやりがいを多いに感じているようです。