[2008年10月21日(火) ]
先日、高校で美術の非常勤講師をしている女性をインタビューする仕事をしてきました。
雑誌が発売になったら、詳細をお伝えしますが、インタビューとは別な話でとても印象に残ることがありました。
それは「彼女が絵を描く理由」です。
その先生(仮にNさんとしましょう)は、とってもかわいらしい20代の女性で、なんと男子校の美術の先生というのだから、生徒にはさぞ人気があるだろう、という感じの人です。
(実際、ラブレターをもらったり「デートして」なんて誘いはしょっちゅうだそうです、笑)
インタビューにもてきぱきと対応してくれて、本当にすてきな人だったので、
「私はすごくネガティブ思考で、人って苦手なんですよ」
といったときには意外で、びっくりしてしまいました。
ぜんぜんそんな風には見えないので
「じゃあ、それ(ネガティブなこと)を隠して生きているって感じなのですか?」
といったら、「ホントに、そうなんです」とのこと。
Nさんは言います。
「私の描く絵って、気持ち悪い絵が多いんですよ。例えば、人のからだの形をしているんだけれど、胴体が口だったりとか、この世に存在しないモノとかばっかり描いています。絶対リビングルームやベッドルームにはおけないようなものばかりなんです。
私は自分の絵を見て、前向きに明るくなってほしいとか、絵を志してほしいとかは一切思わないんです。それよりも、人間の内面のドロドロしたものを感じて『あ、自分にもこういうところがあるかも』と思ってほしい。それを指摘されてちょっと気持ち悪いって思ってほしいんです。
私は人間が苦手だし、人と話すのは緊張する。それをどうやって隠していこうかと思って大人になってきた。だから絵を描いているんだと思うんです」
絵を描くことは、彼女のコミュニケーションの一つの方法なんだと私は思います。
相手とコミュニケーションをとるとき、後ろ向きでネガティブなことばかりいうより、前向きでポジティブでいたいって人は思うでしょう。
でも、人間ってずっと前向きでポジティブでいるなんてあり得ません。
それは理想だけれど、実際はドロドロとした内向きな気持ちでいっぱいだったりします。
誰にでも、裏表はある。
芸術って、そんな中から生まれるのでしょう。
非常勤講師をしながら、自らの作品制作にも余念のないNさん。
来年の4月に展覧会が開催されるというので、詳細がわかりましたらこのブログでもお伝えしたいと思っています。