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「新脱亜論」と、国語力検定

[2008年07月11日(金) ]

渡辺利夫『新 脱亜論』(文春新書)読了。



明治維新から昭和の敗戦までの歴史をざっとさらった人には、それほど目新しい記述はないと思われます。事実関係のそれに関して言えば。

ただ、その事実関係の評価において、「この著者の見方は偏っとる!」という人もいらっしゃるでしょうね。リアルな認識という側面もある、と、ぼくなどは思いましたが。そのあたりの判断は、お任せしたいと思います。

ちょっとだけ引用しておきます。いずれも脇筋ですが。

《この闘争〔韓国併合に対する組織的反日闘争〕において、全軍の指揮官李麟栄がいまや進軍と見定めたところに、故郷から父親死去の報が入り、直ちに喪に服するために戦線を離脱してしまったという。「孝を第一の徳目とする李朝の伝統からすれば、それは当然のことだったのだが、全体を統率する指揮者を失った連合軍に、とうていソウル進攻などできるわけもなかった」》(p164)

鎌倉時代に元が日本へ攻めてきたとき、日本の騎馬武士が日本の作法に則り、「わぁれぁこぉそぉわー」と名乗りを上げている最中に、ピュンと弓で射られて戦死してしまった、という話を思い出してしまいました。元の兵士にしてみれば、「何だコイツは? 殺してくれと言ってんのか?」という感じだったんでしょう。

自分のルールというか価値観というか美学というか、それを貫いて、しかも勝利できれば、最もカッコいいんですけどね。

《グローバリゼーションとは、先進国企業の生産力が国内市場では収まり切れないほどに膨張し、この膨張した生産力に見合うようみずからのもてる経営資源を世界の適地に配分し、そうして多国籍企業へと転じたことの帰結に他ならない。》(p279)

戦争=国民国家がある故、グローバリゼーション=国民国家の溶解、グローバリゼーション=善、という図式への、異議申し立ての箇所です。

そういや、ちょっと前に、ヨーロッパの農民の人たちが反グローバリゼーションやってたな。

立場に応じて、彼らを「時代遅れ」と見る人も、「リアリスト」と見る人もいるんでしょう。