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使い捨て店長と素粒子と、国語力検定

[2008年06月09日(月) ]

昨日も仕事。何の仕事かは、おわかりでしょう。昨日は、2008年度第1回国語力検定実施日。

帰宅後、たまには映画でも観るか、と思い、『レジェンド・オブ・フォール』を観る。ブラッド・ピット主演の映画。ドロドロしてるので、子どもは観ちゃイカンね、これ。

プラッド・ピット、乗馬が上手い。あれだけ自在に馬を乗りこなせたら、楽しいだろうなー。

それと、これ、1994年の映画だそうだが、日本の若者男子の間に髪を伸ばすこと、いわゆるロン毛が流行ったのは、プラッド・ピットの影響でもあったのだろうか。

最後に、昨日の冒頭ネタと同じく、ソックリネタ。

ただ、これはZ会の人と、御茶ノ水教室に通う生徒にしかわからないかもしれないが。

ブラッド・ピットと、御茶ノ水教室のミヤハラくん、微妙にソックリさんじゃないですかね。



6月7日朝日新聞夕刊一面の、「素粒子」というコーナー。

その前日に、水泳の北島選手が着ていたTシャツに事寄せて、であろう、このように書かれていた。

《北京五輪に出場の日本競泳選手向け英スピード社からの新CM「泳ぐのはあなたでも、世界新記録を出すのは水着です」。》

何もそんなイジワルなこと書かなくてもなあ、北島選手もムッとするだろうな、これ読んで、と思っていたのだが、いやー昨日取り上げなくてよかった。

何と北島選手、昨日、世界新記録をたたき出したではないですか! まさにスピードの水着で。

「素粒子」の筆者はニュータイプか。

でもやっぱり、北島選手、「素粒子」のこの一文を読んで、どういう思いを抱くんでしょうね。



佐藤治彦『使い捨て店長』(洋泉社新書)読了。



話題になっているネタってことで、ものすごく急いで作ったのかな、この本。

もう少し丁寧に編集したらいいのになー、と思いました。

《こうした慣習、つまり残業代が支払われないといったことは、管理職の待遇が他の一般労働者と比べて給料が高い。》(p20)

主述関係が乱れてますよね、ここ。

続けて、

《つまり地位にふさわしい程度に厚遇されていることを前提としていている。》(p20)

「前提としていている」じゃなくて「前提としている」なんですが、この文が続くことによって、意味はとらえることができます。

でも、その前の文は、「管理職の待遇が他の一般労働者と比べて給料が高い。」ではなく、「管理職の待遇が他の一般労働者と比べて高い。」あるいは「管理職の給料が他の一般労働者と比べて高い。」のほうがよいでしょう。

それ以外にも、「それ意外に」といった誤植もあったんですが、おもしろかったのは、これ。

《今までいた部下が、コトス削減のため、他店に移動させられた。》(p160)

「移動」も「異動」なんでしょうが、「コスト」を「コトス」。

なんだか、かわいらしいですね、「コトス」と言うと。

むかし、飲み屋で、ボトルのことを「ボルト」と言ってましたが、その類の表現かな、これ。

さて。マジメに「へえ」と思った内容を引用。

《コンビニエンスストアの経営では年間一〇〇万円ぐらいの棚不足が起きることを想定している。棚不足。店頭にあるべき商品がない。つまり万引きのことである。この多くがアルバイト店員のしたことであることも分かっていた。》(p88)

へー。万引きの大半がアルバイトの仕業。知らんかった。

でも、確かに、やろうと思えばできるよな。万引きを捕まえる立場の人が、万引きするようなもんだからなあ。店長がいなければ、誰にも咎められないわけだ。

ある店長さんは、《店内の防犯カメラを自宅でも見られるようにしたと伝え、監視しているぞとアルバイトに脅しをかけた》(p88)由。

続いて、マクドナルドの待遇の話。

《店長になり、労働時間は激増したのだが、年収は一〇〇万円も下がっていて、恒久的に年間三〇〇時間から四〇〇時間残業をしているにもかかわらず、年収六二〇万円》(p155)

ここだけ見ると、マック、そんなに悪くないじゃん、と思う人も多いのではないか。

店長になる前、残業がほぼゼロで年収720万円だとしたら、そりゃ高待遇ですよ。

恒久的に年300〜400時間残業って、そりゃぼくも同じですよ。

でも、《ひどい時になると、一ヶ月に一三七時間もの残業をせざるを得なかった。六三日連続で休みなく勤務したこともあり、朝六時前の開店から閉店する深夜〇時過ぎまで店舗で働き続けることも少なくなかった》(p155)由。

これは、ちょっとキツイな。とくに、63日連続は。また、実際は、年300〜400時間になど収まっていないのではないか、残業時間。

結果、この人は、マック相手に裁判を起こす。新聞などでご存知の方も多いだろう。

その、裁判に踏み切る前。

《奥さんは、会社と対峙することを迷っていた高野さんにこう声をかけたのだという。「もし、裁判に負けて、マクドナルドを辞めることになったとしても、なんとか、やっていけるよ。大事なのは……」/今、生きているということ/過労死を寸前で免れて、あなたは、今もまだ生きている。「今、生きているということ」それが一番大事なことだといってくれたのだという。その言葉を聞いて、高野さんはふっきれた。》(p180〜181)

不覚にも泣いてしまいました。

ところで、裁判にもなったマックは実名で登場するとして、それ以外に具体的なチェーン名が出ていたのは、すかいらーくとコナカのみ。

あとのチェーン名も、ほぼ特定はできると思われるのだが、名前は伏せてある。

何か理由があるのだろうか。

しかし、これを読んでもなお、チェーン店の店長さんになりたいなんて人は、いるのだろうか。

あ。それが理由かもしれない。



一昨日図書館へ行き、新着図書のコーナーを見ると、何か見覚えのある本が並んでいる。

……という展開だと、『ほんとうの「国語力」が身につく教科書』か『日本語朝練ドリル』でも並んでたんでしょ、と思われたかもしれない。

残念ながら(残念だな実際)、違います。



高木重俊・石嘉福『名勝唐詩選』(NHKブックス)という本。

おお、これ、家にある!

1996年出版なのに、どうして今、新着図書なんだろう。

知らないうちに、漢詩ブームが起こりつつあるのかな。

それはともかく、いいですよ、この本。

写真もいいので、手元においておくために、ぜひお買い求めください。