昨日、釣りの状況を「おもしろいように釣れるのだが、全然おもしろくない」と表現したが、「全然おもしろくない」ときに「おもしろいように」という形容は、国語力的にちょっとヘンか。
「うるさいぐらいに釣れる」。
でも、目的の魚が釣れて釣れてしょうがないときにも、多少の自慢も込めて「うるさいぐらいに釣れてさー」と言うことがある。
なかなか難しいですね。
さて、釣りから帰った後、しばらく身体をあたためてから、ホームセンターへ行く。
プランターと土と野菜の苗を購入。
たっけーなー、日本デルモンテの苗、と思いながら、「驚くほどの収穫!」というキャッチにひかれて、つい買ってしまう。
種から育てたミニトマトも順調に成長中だし、おお、今年の夏は野菜自給自足生活だな。
でもさ、と、またカミサンが突っ込む。
「ここ2年の収穫実績を鑑みるに、労働を除くコストだけ、つまり土やらプランターやら肥料やらのコストだけを見ても、八百屋さんで買ったほうが安いんじゃないの?」
完全無農薬絶対保証なんだよ、ウチの野菜は。
と、反論するも、農業における「規模の経済」ってやつを、はからずも再認識する。
Z会小学1・2年コースでは、エダマメ・ミニトマトを育てるという「体験学習」の教材がある。
おそらくは理科的な観点からの教材なのであろうが、そしてもちろんそれも重要であるが。
「さて、このエダマメやミニトマト、肥料などの材料費やかけた時間を考えると、もしお店で売るとしたら、いくらにすると赤字が出ないでしょう?」
まあ間違いなく、八百屋さんで見かける値段よりもはるかに高くなるだろう。そして。
「どうして八百屋さんでは、あんなに安い値段で売っているのでしょう?」
「どうして中国産やアメリカ産の野菜は、あんなに安いのでしょう?」
ということも考えさせれば、とっても深い教材になるのではないか。
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吉村典久『部長の経営学』(ちくま新書)読了。
オビには《課長も必読!》、カバーには《「長期的コミットメント」をもちうるプレイヤーとして、「ミドルに注目します。》の文字が。
国語力研究所といっても、
Z会の1セクション、課レベルのセクションなわけです。そこの代表といったら、どういう立ち位置になるか、推して知るべし。
というわけで読み始めたこの本。
えーとですね、ミドルマネジメント層はどうあるべきか?というのがメインテーマの本だと思ったら、肩すかしを食らいます。
そのテーマについて書かれているのは、そうですね、全体の1〜2割といったところでしょうか。
むしろ一般的な企業統治、ガバナンスってやつですかカタカナでいうと、がメインテーマの本なんじゃないか、と思いました。
「まえがき」を読んだ時点では、「ははあ、ミドル層への提言の書か」と思うんですが、この本、もし「まえがき」ナシで全部読んで「タイトルをつけよ」、という問題を出された場合、「部長の経営学」なんて答えたら、確実に×ですね、国語力的に。
と、思いながら、末尾にある「謝辞」を読むと、企画スタートから出版まで2年半、とある。
ははあ。
なんとなーく、わかってきたぞ。
元々は別のタイトルの予定だったんだけど、そしてそれに沿った内容だったんだけど、かなり直前になって編集者がタイトル変更を主張し、執筆者もそれを受け入れ、「まえがき」をそれに合わせて書き、変更されたタイトルに沿った内容を追加したんじゃなかろうか。
タイトル変更を主張した編集者のセリフは、多分これ。
「今、『はじめての課長の教科書』って本が売れてるんですよ! 次に来るのは、部長の本ですよ! 決まりっすよ!」
あくまで推測ですよ、推測。
でも、「企業統治論」なんて素っ気ないタイトルよりも、「部長の〜」としたほうが、確実にマーケットが見込める、というのは、多分正しい。
というわけで、ミドルにはあんまし関係ありませんが、おもしろかった箇所をいくつか引用。
T型フォードを作った、フォードさんの話。
《大衆からの喝采を受けたフォードでしたが、ただしその開発は大衆の求めに応じてはじめられたものではありませんでした。フォードはつぎのように語っています。/「もし私が顧客にほしいものは何か、と聞いていたら彼らはもっと速く走れる馬を、と答えていただろう」/「企業の存在意義は?」と問われれば、顧客が認識している価値、さらには認識していない価値までをも提供する、というのが答えとなるでしょう。》(p32〜33)
戦略とは差別化の謂であるが、その差別化の2つのパターンについて。
《1つ目のパターンは、「たいしたものだ」「さすがだ」「あれはいい」などと高く評価されるものです。(中略)2つ目のパターンは、「バカな」「あれでおしまいだ」「なんであんなことをするんだ」(中略)と言われてしまう違いの出し方です。》(p70)
どちらが大きな成功につながる(可能性がある)と思います?
そう、後者なんですね。
前者は競合によってすぐに模倣されてしまいますが、後者は《成功してはじめて「事後の合理性」が周囲に理解される戦略である》(p71)ゆえ、競合は少なくとも一定期間は模様眺めとなるわけです。
《もちろん、事前の合理性が成立しない「バカな」戦略を成功に導くのは容易なことではありません。成功への過程では、「失敗」や「回り道」があることがほとんどでしょう。/その意味で、リスクは非常に高く、短期での利益獲得は望み薄です。しかし、企業内の人々が新たな知識や認識を獲得するには、こうした失敗が重要なのです。リスクをいとわず、中長期の視野で事業に取り組む過程で、失敗を組織学習の機会とする姿勢を貫いていく。これが、大きな成功を獲得するには必須です。》(p72〜73)
まとめると、誰も認識していないような新たな価値を提供することは、周囲からは「バカな」戦略とも見えることがある。実際、非常にリスキーだし、短期的には不利益となることが多い。しかし、であるからこそ、中長期の利益を目指すのであれば、「バカな」戦略のほうに分がある。
いやあ、いい本だ。なーんてね。