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ヒトラーを支持したドイツ国民と、国語力検定

[2008年05月12日(月) ]

4時半に起きて静浦へ釣りに行く。

マメアジが釣れると聞いて行ったんだが、キンギョ(と呼ばれている魚)がおもしろいように釣れる。

おもしろいように釣れるのだが、全然おもしろくない。

キンギョは、リリースする魚ゆえ。

おまけに、寒い。

先週はTシャツ+半袖シャツで仕事に行っていたので、まあ海だからちょっと寒いとして、その上にブルゾンぐらいで十分だろう、と考えていたのだが、風がピューピュー吹いて、寒いの寒くないの。寒いんですよ。

トレーナー+ブルゾンぐらいが必要だったな。

身体が冷え切ってきたので、1時間ぐらいで退散。

朝の通勤ラッシュ前に帰宅していたのでありました。

しかし、静浦でも、オッチャンたち、自分が釣りをしているまさにその場所で、平気で放尿しているねえ。便所まで遠いのはわかるけどさ。さすがにあれはちょっと、自分にはできんな。



ロバート・ジェラテリー『ヒトラーを支持したドイツ国民』(みすず書房)読了。



かなりの読み応え。5200円以上の価値があるんではないか。

ヒトラーやナチス関連、その時代のドイツに関する本はかなり読んだが、それらの中でも、非常に多面的な分析・考察がなされていると感じた。

ので、逆に、あるテーマに絞って、深く突っ込んで、というのを求める向きには、物足りないのかもしれないが。巻末の出典・参考文献も非常に充実しているので、そういう向きには、そこから個別のテーマへと進めばよいんではないだろうか。

強制収容所や絶滅収容所については、ご存知の方も多いだろうから、それ以外のところで「ふーん」と思ったところを、いくつか引用。

《一九三八年四月四日、ヒムラーはクリポにたいして「非社会的分子」を「かならずしも犯罪者でなくても共同体に敵対的な行為によって」集合体に「適応しないことを示す者」と定義する指令を発した。》(p117)

この「非社会的分子」の具体例として、今で言うところのホームレスであるとか「売春婦」であるとか「性病感染者」が挙げられているわけですが、「え?」と思ったのは、その中に「泥酔者」も含まれていること。

なに? 泥酔者も非社会的分子?

外で飲むときのおれも、非社会的分子?

《この視点からは仕事をしたがらない者、つまり「前科にかかわりなく労働義務を逃れ、公的援助に依存する者(労働忌避者、泥酔者、仮病使い)」は非社会的分子とみなされた。クリポは以上の広い定義にあてはまるとみなす者はすべて逮捕する権限を与えられた。》(p118)

うーむ、泥酔して二日酔いになって、仕事を休んじゃったりしたら、非社会的分子か。

と、続けて、また気になる記述が。

《市長、町長のなかには、この考え方に同調して、クリポに、評判の悪い酔っ払いを非社会的分子として逮捕するよう要請した。》(p119)

評判の悪い酔っ払い?

おれは、そんなに酒癖は悪くないほうだと思っているんだが。

しかし、それはあくまで自己認識であって。

「あいつ、タチ悪いよ」と思われている可能性もなきにしもあらず。

当時ドイツにいたら、逮捕されたかもしらんのか。

で、クリポはどうした?

《だがクリポには、それは警察の仕事ではなく福祉機関の仕事だといわれた。》(p119)

ふう。よかった。

えーと、ここまでは前フリです。

テーマは変わって。

《たくさんのドイツ人女性は、ポーランド人労働者との関係が公式に禁止されているのに、これを無視した。(中略)一九四二年一月、早くもナチ党は「少なくとも二万人」の非嫡出子の父親が外国人だったと推定している。》(p218〜219)

そりゃ、若いドイツ人男性が兵隊にとられて、みんな前線に出てたからねえ。

労働力を補うために連れてきた外国人と、若いドイツ人女性がくっつくのは、ある意味必然でしょう。「人は、半径50メートル以内にいる人と結婚する」というのが持論のぼくにとっては。

当時のドイツ政府、そんなこともわからなかったのかな。

えーと、これも前フリです。

「ふーん」と思ったのは、次の箇所。

《「民族共同体」という新しく宣言された連帯の社会理念にかかわらず、個人的利益が密告をさかんにしたようだと結論できるだろう。(中略)密告者は、ゲシュタポを使って自分たちの敵、競争者、その他を排除、抹殺するために内報した。(中略)密告はおなじ社会階級の内部で、近所で、自分のアパート内で、家族内でさえおこなわれることになった。》(p233)

ドイツ人が、ユダヤ人やポーランド人を密告する、というのは、よくわかる、ていうか、まあさほど不自然ではないような気がする。「民族共同体」という理念があったから。

しかし、タテマエはその「民族共同体という理念のため」に、同じ民族の普通の市民が、個人的利益のために「あいつは民族共同体の理念に反する行為をしている」と互いに密告しあうという、この逆説。

実際、ゲシュタポが「いい加減にしろよ」というような密告もあったようで。

反体制的言動を密告する、ということに関しては、ゲシュタポが市民を利用した、という側面と同時に、市民がゲシュタポを利用した、という側面もあったということです。

まとめ。

《不服従の表現の「唯一の前提条件」は、「社会・文化空間」が存在して、それが多かれ少なかれ保護された飛び地を提供し、そのなかで、不満をもち、抑圧を受けた集団が会合し、議論し、動員し、行動する場所があることだ。多くの一般市民が、警察の目となり耳となったのだから、抵抗できた人びとは、組織し、連帯を結ぶために集うことができなかった。》(p314)

ということです。