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憎悪の世紀と吉原手引草と、国語力検定

[2008年04月17日(木) ]

Z会渋谷教室に来ています。



若い人が多い。知らない人ばっかりだ。

と思っていると、キタさんとオーさんがやって来る。

ちょっと安心。



昨日の夕刊より。

《塾費用を無利子融資 東京都が格差対策》の由。

中学3年生1800人に年15万円、高校3年生900人に年20万円。

塾費用の一部、とのこと。通信教育なら、全額まかなえるな。

塾じゃなくて、通信教育でもよかろうに。

塾>通信教育、という格差観があるんだろうか、東京都には。

しかし、トータル4億5千万の予算措置か。

都指定塾、なんてのが出てくると、ちょっとキナ臭いですね。



同じく昨日の夕刊より。

神奈川県が、パチンコ店までをも禁煙にする条例を、今年中にも制定する予定だという。

禁煙のパチンコ店。

ちょっと想像がつかんな。



最近の読書。

ニーアル・ファーガソン『憎悪の世紀』(早川書房)読了。



上下巻で1000ページ近くあり、これはちょっと手間取った。

第一次・第二次大戦関連本とか、『ヒトラーとスターリン』『グラーグ』など、個別のトピックを扱った本をすでに読んでいる人には、繰り返しになる部分も多いだろうが、20世紀の戦争というかテロというかポグロムというかジェノサイドというかについて概観するには、なかなか有益な本だと思う。

いわゆる連合国側も、また被害を受けたと一般に思われている側も、意外とやってますな、一般に糾弾される側と同じようなことを。

いくつか引用。

1930年代のソ連の話。

《クラークと疑われた農民は一掃されたが、経済成長をもたらすどころか、史上に例のない悲惨きわまる飢饉を人為的に引き起こすはめになった。(中略)多くの農民は、ウシやブタを没収されるくらいなら、殺して食べたほうがましだと判断したため、一九三五年までに、国内の家畜総数は一九二九年の水準と比べて、半減した。一時期は飽食を楽しんだものの、すぐに終わりの見えない苦しい飢えとの闘いが始まった。家畜の糞の肥料がなくなり、収穫量も激減した。》(上巻p339〜340)

まあ、どうせ人に取られるぐらいなら、使っちゃったほうがマシ、というのは、人情ですよね。農民を愚かだとは、言えないような気がします。

で、どうなったか。

《一九三七年には、国勢調査まで廃止された。なにごともなければ、一億八六○○万人に増加しているはずの人口が、実際には一億五六○○万人に減少したからだ。》(上巻p340)

慄然としますね。

その時代にできた、ソ連の強制収容所。

囚人をただ遊ばせておくのはムダだ、死ぬまで働かせるべし、と考えた人がいた。

当初は、タダの労働力の有効利用、というつもりだったのだろう、だがその労働力を計画に組み入れちゃうと、次は、囚人を常時一定数確保しておく必要が出てくる。かなり死亡率が高かったらしいからね。

すると、以下のような倒錯した事態が起こる。

《鋼鉄の生産にノルマがあったのと同じく、一九三七年には、逮捕する人数にもノルマが課されるようになっていた。当局は刑罰に見合った犯罪をでっち上げればよかった。》(上巻p348)

もう一つ、これは国語力的になかなか興味深かったところ。1940年頃の、イギリスに対するアメリカの屈折した感情。

《大使としてロンドンに赴任していたジョゼフ・ケネディ・シニアや、ベルリン駐在のヒュー・ウィルソン大使は、中部・東部ヨーロッパでヒトラーに好き勝手に振る舞わせていて、なんの反対もしなかった。それどころか、アメリカの政策立案者たち、とりわけルーズヴェルトにはその傾向が強かったが、それは大英帝国の崩壊を見たい、という期待を抱いていたからでもある。》(下巻p51)

なんとなーく、わかります。



続けて、松井今朝子 『吉原手引草』 (幻冬舎)読了。



直木賞作品。ふーん。カミサンが激しく薦めたから読んだのだが。

あんまし、「おお、そうだったのか!」感も、「ええ話やねえ、グッスン」感もなかったような。

吉原を描いた作品なら、隆慶一郎『吉原御免状』のほうがおもしろかったかな。

まあ、好みはそれぞれってことで。