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「ぬかるみの世界」とTBSへの会津の抗議と、国語力検定

[2008年03月30日(日) ]

上方文化人川柳の会『相合傘 五』(新葉館出版)を、著者の方のお一人から送っていただく。



上方落語の師匠さんや、放送作家の新野新さんもいる、豪華なメンバーの会である。

新野新さんといえば、「ぬかるみの世界」というラジオ番組で知っている人も多いだろう。多いのかな。多いに違いない。鶴瓶師匠とやっていた番組。これがまあ、おもしろいのおもしろくないの。おもしろかったってことです。ウツウツとした十代をおくっていたぼくにとっては、数少ない楽しみの一つであった。

そもそも……と、これについて語り出すと長くなるので、やめておきます。思い出を少しだけ書くと、大阪に新世界という場所があるのを知ったのは、この番組を通じてだったし、この番組を聴いていたから、鶴瓶師匠が東京に進出したとき(東京のテレビで鶴瓶師匠を見たとき)、「あ、鶴瓶師匠だ、絶対に売れるよ」と思ったものです。

話を『相合傘 五』に戻すと。いいですね。こういうのがオトナの笑いなんじゃないでしょうか。来年実施予定の「国語力検定シニア」(仮称)では、こういうジャンルからも出題したいと考えています。あるシチュエーションで引用する川柳として最適なものはどれ?とか、五七五の最後の五に最適なのはどれ?とか。難しい漢字や言葉を覚えてりゃオッケーじゃないですよ、「国語力検定シニア」(仮称)は。



3月29日の朝日新聞朝刊、第三社会面っていうのかな、に、国語力的になかなかおもしろい小さな記事があった。

見出しは、「TBSクイズ番組 会津若松市が抗議」。

2月に放映した歴史クイズ番組中、

《戊辰戦争の際に旧幕府軍が会津若松城を明け渡した理由を問うクイズの正解が「糞尿(ふんにょう)がたまり、その不衛生さから」と紹介された》由。

……どういう意図で、それを正解としたんだろう。

兵隊はメシを食い排泄する存在であるというリアルな認識が幕僚には必要だ、キレイなトイレがあるか否かで兵隊の士気はずいぶん変わる、という、これはちょっと前に読んだ本にも書かれていて、このブログで紹介もしたっけ、そういう認識を視聴者に持ってもらうため、ということだろうか。

でもそれは、幕僚が快適なオフィスで、ペーパー上で作戦を立案しており、現場(前線)を見てはいなかった、という条件下でのことだよなあ。

会津若松城なんて、そんなに大きな城でもないし、幕僚と兵隊は一つ所にいたわけで。つまり、自分たちは「メシを食い排泄する存在であるというリアルな認識」は、おそらく幕僚も兵隊も共有していたわけで。

ああ、酔ってきた(というのがぼくの悪いところだというのは、重々承知しております)。

短くまとめると、不衛生さも要因の一つとしてあっただろう、でも落城の要因としてはそれだけではなかっただろう、それらを捨象して、こういうふうな正解にしとけば視聴者は「へぇ」とおもしろがってくれるだろう、つまり「おもしろがってくれるだろう」基準を絶対化して、それによって会津の人たちがどう感じるかを思考からスコーンと落としてしまったんではないか、ということです。

これが、国語力的にいかがなものか、と思ったわけです。

《市によると、放送前に内容を知り、再三見直しを要求したが聞き入れられなかった》ので抗議文を送ったが、《TBS広報部は「抗議文の内容が確認できておらず、コメントできない」としている》由。

この、木で鼻をくくったような対応も、国語力的に、なんだかなあ。