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銀座の白タク業者と「〈海賊版〉の思想」と、国語力検定

[2008年02月06日(水) ]

朝のワイドショーで、銀座の白タク業者が取り上げられていた。

「違法ですよ、これ! 何考えてるんですか!」と、白タク運転手を激しく詰問する番組スタッフ。

それが、たまたま、なのかどうか、インタビューした相手が、なんと60も過ぎた現役タクシー運転手であった。休日に、バイトとして、白タクをやっている由。

「給料安いし、年金も安いし、生活のためには、しゃあないですよ」

これにはさすがに番組スタッフも、ぐっと詰まっちゃったのは、なかなかおもしろかった。

「東京のキー局社員ほどの給料もらってりゃ、こんなことしないよ」まで言えば、さらにおもしろかったのに。編集されちゃうか、さすがに。

白タクの乱暴な運転、というのもクローズアップされてたけど、フツーのタクシーにも、かなり乱暴なの、いるよなあ、と、ふと思った。とくに、お客さん乗せてないとき。



山田奨治『〈海賊版〉の思想 18世紀英国の永久コピーライト闘争』(みすず書房)読了。



ロンドンの大書店主よりも、同じ本を3〜4割安く売る〈海賊版〉出版業者が、コピーライトは永久ではない、という判例をイギリスで勝ち取ったお話。

その〈海賊版〉出版業者を持ち出すためのマクラとして、白タクを取り上げたわけではないんで、念のため。たまたま、ですよ、たまたま。

今さらながら、ネットって、印刷術以来の大変化なんだなあ、と思った次第です。著者と版元との関係が、大きく変わる。かもしれない。時に見られる、出版社や新聞社のネットへのネガティブな態度も、わからんでもない。

「うむ、なるほど!」と思った箇所を、いくつか引用。

《大書店主たちによるコピーライト裁判も、土地の囲い込みという時代の気分を反映していのだろう。》(p207)

……冗談ですよ、冗談。これは、誤植シリーズ。

「反映しているのだろう」あるいは「反映していたのだろう」ですね、多分。

同じページの、ここです。

《本に書かれている知識の大半は、すでにどこかに書かれてあることや、いわれていることを再構成したものだといってよい。知識に所有権があるのだとすれば、いま誰かが所有している知識、かつて誰かが所有していた知識を使わなければ、ひとは何かを表現することができない。本に限らず文化というものは、何もないゼロの状態から作られるのではない。すでにある何かに、いくばくかの事をつけ加えていくことが、文化の営みなのだから。》(p207)

国語も文化。国語力検定は、ある意味、文化を創っていく人たちを育てるための検定なのである。

おお。意外とキレイに国語力で落ちた。

もう一箇所。

《小泉潤一郎が「知財立国」をいいはじめたころから、小学校で著作権を教えることが盛んになってきた。》(p215)

……冗談ですってば。いや、でも、「潤一郎」かあ、と。たしかに、「こいずみじゅんいちろう」と打って変換すると、ぼくのパソコンでも「小泉潤一郎」となります。

ではなく、少し後の、ここです。

《著作権が延びていちばん得をするのは、著作者ではなく著作権者であり、著作物を流通させて利益を得ている会社である。コンテンツ流通産業は、情に訴える主張を著作者たちにさせて、それを利用している。皮肉なことに、著作者たちはコンテンツ流通産業から搾取されながら、その産業の利益構造を守るために担ぎ出されているのだ。創作のインセンティブを高めるためには、保護期間を延ばすことよりも、印税率を上げることを著作者は要求すべきだ。保護期間延長を求める著作者たちのあいだから、そうした声がまったく聞こえてこないのは、彼らがコンテンツ流通産業の代弁者に過ぎないことの、何よりの証拠だろう。》(p222)

コンテンツ流通が、コンテンツ流通産業ではなく、著作者自身によってなされるようになると、上記の構図はガラッと変わる。

が、その前に、確かに日本文芸家協会、印税率上げ交渉……は難しいか、一律には。著者以外の、本にかかわる人たちの中で、高給とりは、一握りの大出版社の社員だけだもんなあ。