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首相に必要な国語力と「富山におばあ?」と、国語力検定

[2007年12月18日(火) ]

今日の朝刊広告によると、『ナントカの品格』という本がまた出るそうだ。藤原正彦さんの『国家の品格』がベストセラーになってから、やたら出ましたよね、『品格』本。

まあ、すべてが著者によるものではなく、「時代は品格ですよ!」とばかりに編集者がタイトルをつける場合も多いんでしょうが、その行為自体の品格はどうなんだろう、と思ったりもするわけです。


今朝の新聞から、もう1つ。

年金問題に関して、首相が《「党のビラで誤解を招くような表現があったのは事実。おわびを申し上げなければいけない」と陳謝した》由。

国語力的には、2点突っ込みどころがある。

まず、「誤解を招くような表現」。これ、少し前に『マユツバ語大辞典』を紹介したときにも書きました。別に読み手が表現を誤解したわけではなく、読み手は表現を文字通り正しく理解した、しかしそのことを表現した側が実行できなくなった、ということですね、正確には。

「誤解を招くような表現」→「結果的にウソをつくことになってしまった表現」、ですかね、好意的に訂正してあげるとすれば。

次に、《「おわびを申し上げなければいけない」と陳謝した》というところ。

「おわびを申し上げなければいけない」のは、党か首相か。

もし党であれば、《「おわびを申し上げなければいけない」と指摘した》だろう。

でも、首相は党の総裁でもあるわけだからなあ。当然、首相も「おわびを申し上げなければいけない」んだろう。

だとしたら、正しい表現は、《「おわび申し上げます」と陳謝した》ではないか。

「おわびを申し上げなければいけない」と「おわび申し上げます」。

どうも前者は、他人事のように感じられてしまうのである。

あるいは、一国の首相に必要な、特殊な国語力として、「おわび申し上げます」とストレートに言ってはいけない、必ず「おわびを申し上げなければいけない」と言わねばならない、というのがあるんでしょうかね。


さて、昼休みにメシを食いつつ、毎日新聞取材班『ネット君臨』(毎日新聞社)読了。



プロローグを読んで、ああそうか、と思い出した。これ、以前に紹介した『フラット革命』という本と併せて読むと、よりおもしろいかもしれない。

その、プロローグより。

《本人は自身のブログに事実と違う取材の経過を書き、実名での記事掲載に応じなかった理屈を展開した。(中略)取材班はネット社会の負の側面を実感させられたのである。》(p17)

『フラット革命』では、上にいう「経過」が、ほとんど真逆から書かれている。さーて。どっちがより真実に近いんでしょうかね。現場にいなかった我々は、双方の言い分から判断するしかありません。ぜひ読み比べてみてください。

もう1つ、「ん?」と思った箇所を。

「最先端…電脳村の一〇年――富山県旧山田村――」という一節より。

《おばあはメーリングリストで「スイカに敷いたワラが風に飛ばされた人がいる」と回す。》(p70)

ん? おばあ?

おれ富山で18年暮らして、それからも盆暮れは富山で過ごしたりするけど、ばあちゃんのこと「おばあ」なんて、言ったことないし、聞いたこともないぞ。

おれの両親は、それぞれ70年ほど、富山から一歩も出ずに暮らしているが、その両親の口からも「おばあ」なんて単語、聞いたことないぞ。

たまたま、何かの間違いか、と思って読み進めると。

《村のおばあの山崎さんは、慣れた手つきで市外に住むメル友の夫婦にメールを打つ。》(p73)

うーむ。やはり「おばあ」と言うらしい。「おばあ」、沖縄方言とばかり思っていた。

可能性としては4つある。

・ぼくは富山の西のほうだから知らなかっただけで、東のほうでは「おばあ」という言葉が一般的であった。
・「ちゅらさん」以降、沖縄方言がお茶の間にも入り込んで、「おばあ」が富山でも定着した。
・「ちゅらさん」には関係なく、「おばあ」という新方言が知らない間に生まれていた。
・東京から遠く離れた地方では、ばあちゃんのことを「おばあ」と言うことになっている。「なっている」って何だよ、という気もするが。

『ネット君臨』のメイン部分については、コメントしないでおきます。