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クラブと国鉄改革と京都花街と、国語力検定

[2007年10月31日(水) ]

守屋前事務次官、赤坂のクラブでも接待されていたそうですね。若いなー。

それはクラブ。若者が行くのは、後半にアクセントを置くクラブですね。

前次官が行っていたのは、多分ラブのほうです。最初にアクセントを置くラブ。

おお、こういう問題、国語力検定の聞き取りで出題したらおもしろいかな。全く同じ単語でも、アクセントの置き方によって意味が異なるもの。

レシとカレシとか。


さて。葛西敬之『国鉄改革の真実』(中央公論新社)を読む。



ぼくも、どちらかと言えば、保守派ではなく改革派である。不真面目なヤツだ!と思われることもあるが、それは「尊大な羞恥心」(中島敦『山月記』による)のしからしむるところなので、なにとぞご容赦ください。って、誰に言ってんだか。

えー、その改革派のワタクシ、何か得るところがあるのではないかと思って、この本を読んでみたわけである。

こういうくだりがある。

《賃金が経営状態と関係なく、民間企業の水準を参考にして他動的に定まる慣習が定着するにつれ、国労・動労の運動は「賃金獲得」ではなく「勤務の緩和」を成果とする方向に動いた。》(p58)

国鉄時代の労働組合の動きを描写したものですが、これを個々の労働者に置き換えてみる。

どんなに懸命に働いて成果を挙げようと、あるいはスーダラ社員をやっていようと、賃金にはさほど影響しない(上がりもしないけど、そんなに下がりもしない。働きぶりにかかわらず、賃金は固定、というのを想定してもよい)とき、人は、仕事がラクになることを求める、ということですね。

そりゃ、当然でしょ。

10時間働いて1万円もらっていたとして、賃金は固定とした場合、労働時間を半分の5時間にすれば、実質的に賃金は倍ってことになるもんね。日給制の場合は、そういう方向へ行くでしょう。

時給制の場合にしても、5時間でできる仕事を10時間かけてやる、ということは、十分に考えられる事態である。

これは、民営化すれば解決する話ではなく、民間でもザラにある現象のような気がする。


にしても、国鉄って、ホンット省庁だったんですねえ。

こんなくだりがある。

《地方管理局育ちの管理職や技術者に、私たちキャリアの代わりはできない。しかし、私たちもまた、列車を安全・安定・正確に運行する上で彼らの技能の代わりはできないのだ。》(p196)

「私たちキャリア」という、この強烈な自負心。見事というしかない。この感覚は、私鉄に勤める人にはあまりないのではないか。ぼくなんかは、どっちもどっちの代わり、できるよ、やろうと思えば、と考えてしまうのだが。

このように、「キャリア」という語がやたら出てくる。組織の構成員を、将校と下士官にたとえて分類したりもしている。

当時40半ばで国鉄本社課長だった著者が、しょっちゅう大臣さんや政治家さんと料亭でメシ食って、根回しなんかもしたりしている。(ところでそのカネは、一体どこから出ていたんだろう?)

なんだか、ビジネスマン・経営者というより、官僚、という印象を受けてしまいました。大きな数字ばっかりで、その語りからは、働く個々人の姿がほとんど見えないし。

「序にかえて」という巻頭の学者さんの文章には、「組織論、経営論として学ぶところも多々ある」とありましたが、どうでしょうかねえ。

少なくともぼくには、あんまり得るところはなかったっす。すいません未熟で。

しかし、国鉄改革って、あくまで「国鉄という組織のための改革」であって、「顧客のための改革」という視点は希薄だったんですねえ、当時は。いや、顧客視点からの記述がほとんどなかったから、そう思ったんですけど。でも、民営化されて、サービスは向上したと思いますよ。

たまーに、「電車遅れまして大変ご迷惑をおかけしました」というアナウンスを聞いて、ムカッとすることはあるけどね。

どうしてムカッとするかって?

「ご迷惑をおかけしました」って、事実だけ述べてどうするよ、「申し訳ございません」ぐらい言えよ、国語力的には、ということです。おお、最後も国語力でオチをつけられた。


おまけ。昨日の朝日夕刊に、秋の京都の宣伝ページがあって、「ああ、紅葉でも見に行きたいなあ」と思って読んでいたんですが、その下には、こんな本の広告が。



『京都花街の経営学』。

教育産業が生き残るためのヒントが得られるのではないか、と思って、先週日曜日に読みましたが、こいつからもあまり得ることはなかったっす、すいません、未熟者で。

役に立ったのは、舞妓さんと芸妓さんの区別がつけられるようになった、ということぐらいかな。2時間もあれば読めますので、よろしければどうぞ。

花街の経済規模はハッキリとはわからない、と、しきりに書いていらっしゃったけど、財務状況、売上とか経費とか利益とかはヒミツなんですかね、この業界。でも、そうすると、どうやって課税しているんだろう。税務署にだけ、その情報、オープンにしているってことか。