[2007年10月10日(水) ]
何日か前に、朝日と産経のバトルについて触れた。最初は安倍政権についての遣り取りだったのだが、その後、論点は、沖縄で開催された教科書検定絡みの県民大会、その参加者数に移った。
ネットの世界でも、11万人集会だ、いや実際は4万数千人だ、といった議論が行なわれていたが、ちょっと気になって、9月30日の新聞を読み返してみた。
なお、これまでのこのブログの記事をお読みになっていただければわかるように、ぼくは、県民大会それ自体を批判するつもりは全くない。
むしろ、9月初旬の沖縄出張の際、現地の新聞ではすでに盛んに大会について報じられているのを見て、「おれが普段接しているメディアじゃ、全然取り上げられてないよな。やっぱ温度差大きいんだなあ。もっと取り上げなきゃダメじゃん」と思っていた。
したがってここでは、報道の中での11万人のリアリティについてのみ考えてみる。
さて、9月30日の新聞を読み返す。
11万人が集まった、と書いてある。会場の広さは?というと、約2万5千平米と、これも書いてある。
ここからが、国語力である。この記事を、アタマっから鵜呑みにせず、検証してみよう。
2万5千平米を、坪という単位に直すと、約7563坪となる。1坪が畳2枚分だから、畳という単位に直すと、15126畳だ。11万人を、この畳の数で割ってみると、約7.3。端数を切り捨てて、7としてもよい。畳1枚のスペースに、7人が立っていた計算になる。ステージも通路もなく、その広場をすべて使えたとして、だ。6畳間に、42人。まあ、無理すればいけるか。
よくあるサイズのマンションで考えてみてもよい。70平米のマンションが、2万5千平米からは、357戸とれる。11万人を357戸で割ると、308。70平米のマンションに、308人を詰め込んだ計算になる。引越しで荷物をすべて運び出した後のマンションを見ると、「何だ意外と広いじゃん」と思うこともあるだろう。また、そのマンションには壁や収納や水回りなどがすべてないと仮定しての308人だから、不可能ではないようにも思える。かなりキツイはキツイだろうが。
しかし、ステージや通路などを考慮すると、2万5千平米に11万人というのは、やはりちょっと無理があるようにも思えてくる。
ある1点の時間において11万人、というわけではなく、全プログラムには参加しなくても会場に足を踏み入れた人のトータルが11万人、あるいは、「会場外にも人があふれた」とあったから、参加しようと意志した人が11万人、というのであれば、理解できなくもない。
というわけで、今回の「2万5千平米に11万人」というのは、まあ解釈次第でいけなくもないかなー、というところだが、これが、「2千5百平米に11万人」あるいは「2万5千平米に20万人」とあったとしたら、「そりゃ、どう考えても無理だろ」と、国語力的には突っ込めなければいけない。「これ、誤植じゃないかな?」と、疑ってみることができなければならない。
国語力には、基本的な算数の力も必要ですね、というお話でした。
……算数の力というよりも、「常識で考えて」ってやつかな。
よく、平均所得額とか平均○○額といった数字も見かけるけど、あれもアヤシイ感じ、というか、実感とかけ離れている感じがするもんね。
昔、Z会の会員に「何歳で結婚したいですか?」というアンケートをとったところ、何かちょっとヘンだな、という集計結果が出た。そこで、元データを見てみると、「10万27歳」とか書いてきたヤツがいて、それをそのまま有効なデータとして扱っていた、ということがあった。デーモン閣下の年齢、鵜呑みにすんなよ。
※参考になる書籍:谷岡一郎『「社会調査」のウソ』(文春新書)『データはウソをつく』(ちくまプリマー新書)
今朝の、街で見かけた国語力。
