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人種差別意識と経済格差と、国語力検定

[2008年08月30日(土) ]

大分県の教員採用取り消し、08年度分だけですか。

それだと、取り消された人、「悪いことをした」というよりも、「運が悪かった、ついてなかった」感だけ、激しく残るでしょうなあ。

てか、厳密にやっちゃうと、取り返しのつかん結果になるんだろうね。

……なんだか、事件は違うけど同じ趣旨のこと、数回書いているような気がする。



ポール・クルーグマン『格差はつくられた』(早川書房)読了。



タイトルどおり、格差は、グローバリゼーションや技術革新が生み出したものではなく、レーガン大統領以降の共和党が、その政策を通じて作り出したものである、という内容の本。そして、その根底には、白人の持つ人種差別意識がある、と。

共和党といえば、いわゆる「小さな政府」とか、自由至上主義とか、いわゆる北欧的なものの反対、というイメージがあったが、それがどうして人種差別意識と結びつくのか、最初はピンとこなかった。

だが、読みすすめてみると、腑に落ちた。

アメリカで、北欧のような政策、高所得者から低所得者への所得再分配を激しく行なうと、どういうことになるか。

アメリカでの所得分布は、いまでもやっぱり、白人が高所得者層にかたまり、非白人が低所得者層にかたまっている。

つまり、手厚い福祉というのは、白人高所得者から非白人低所得者への所得移転、というのと同じ意味になる。

共和党には、それがガマンできなかったようです。手厚い福祉=社会主義的、というのは、むしろタテマエで、こっちがホンネ。

なるほどねー。

いくつか引用。

トルーマン大統領提案の国民健康保険制度が実現しなかった理由について。

《医師会だけがトルーマンの計画を潰したわけではない。南部州の民主党員からも国民健康保険に対し猛烈な反対があった。多くの人々が適切な医療保険を負担できずにいた貧しい南部州にとって、国民健康保険は経済的な棚ぼたであったはずなのだが、南部州の政治家たち(中略)にとっては、貧しい白人に医療を提供するよりも、黒人を白人の病院に入れさせたくないことのほうが重要であったのである。》(p55)

そして、貧しい白人たち自身も、それを支持した、と。ある意味、カネよりも信念が大事だ、みたいなところもありますけどね。

《もしマイクロソフト社のビル・ゲイツがバーに入ってきたら、バーの顧客の平均収入は急上昇するが、ビル・ゲイツが入ってくる前からバーにいた人々は以前よりも金持ちになったわけではない。そのため経済学者は(中略)あるグループの典型的な構成員の経済状態を知ろうとする際、通常、所得の「平均」ではなく「中央値」に言及するのである。(中略)これは平均所得とは違い、ビル・ゲイツがバーに入ってきても上がらないのである。》(p91)

平均、てのは、たいがい、信じないほうがいいっすよ。日本政府が出す「何とか平均値」も含めて。その、「何とか平均値」をベースに、ここ数年は「好景気」とされていたようですが、「どこが好景気なわけ?」と思っていらっしゃったみなさん、少なくないと思います。

もう一箇所。

《保険会社は、加入申込者を選別し、保険金の支払いを避けようと、膨大な資金を使っている。そして医療サービスを提供している医師や病院は、保険金の支払いを求めて保険会社と交渉し争うために、これまた膨大なエネルギーを費やしている。また、そこには「拒否された保険金のマネジメント」という業界も存在している。つまり、保険金が支払われなかった場合、医師が保険会社と交渉するのを手伝う会社があるのだ。》(p166)

だから国の制度として国民健康保険を、というのが著者の主張ですが、ったく、何にカネをじゃぶじゃぶ使ってるんでしょうね、アメリカの人たちは。

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