園田茂人『不平等国家 中国』(中公新書)読了。
内容は、タイトルのとおりなんですが、この本、何がおもしろいかといって、掲載されている調査データがおもしろい。とりわけ、中国のそれ自体よりも、比較対象となっている日本のそれが。
中国のそれは、調査対象が都市部住民に限られるという憾みはあるんですが、それでもいくつか、日本のそれと一緒に引用しておきましょう。
まず、40ページ、「よく働いた者がそれだけ収入を得るのは当然だ」への、「強く賛成」という回答の割合。
一方が20%弱、一方が40%弱で、ほぼダブルスコア。
どっちが中国で、どっちが日本でしょう?
そう、前者が日本で、後者が中国なんですね。(アジア・バロメーター調査、2006年より)
次に、所得分配の不平等さを測る、ジニ係数について。43ページに掲載のデータ。
100が完全不平等、0が完全平等を示すとして、一方が44.7、一方が24.9。
どっちが中国で、どっちが日本でしょう?
もちろん、前者が中国、後者が日本です。
ちなみに、この中国の数値、香港より上です。アメリカよりも上です。
日本と似た数値の国は、スウェーデン、デンマーク。
2005年の調査ですが、ふーむ、ですね。
日本、そんなに悪い国じゃないんじゃないか、と思うようなデータ。貧富の差があんまり激しくない、という意味で。
為政者は、なぜこれを声高に喧伝しないんだろう。それが逆に不思議だ。
もう1つ。
Z会ブログであるからして、「教育の社会的機能に対する評価」について。58ページ。2006年アジア・バロメータ調査より。
選択肢には、
・人間性を豊かにする
・好きな職業に就ける
・収入を増やせる
・海外に住める
・地位を高められる
・国の発展に貢献できる
・社会のためになる
・国際的に活躍できる
があり、この中から3つ選択する形式だそうです。
中国は、このうち、何が1位だと思います?
もう、おわかりですね。そう、「収入を増やせる」。68.7%。
同じ項目の、日本の割合はというと、31.3%。
中国・香港・日本・韓国・シンガポール・台湾・ヴェトナムの数値が挙げられていますが、日本、最低の数値です、「収入を増やせる」。
では、日本の1位の数値は何かと言うと。
「人間性を豊かにする」。
これが、先に挙げた国々の中で際立って高いのと、「好きな職業に就ける」「収入を増やせる」「海外に住める」「地位を高められる」が先に挙げた国々の中で最低なのが、日本の特徴です。
……これって、どうなんでしょうね。「人間性を豊かにする」、美しい言葉ではあるんですが、教育への信頼というか期待というか、それが高いのかどうか。微妙だ。
ぼくの親は、おそらく、「人間性を豊かにする」ことが第一義ではなかったとは思いますけどね、ぼくを大学までやってくれたのは。いや、もちろん、感謝してますよ、それはもう、激しく。皮肉でも何でもなく。むしろ、これを皮肉と受け取る向きには、……やめときます。
ほかにも、興味深いデータがありますので、ぜひどうぞ。