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社保庁による「お客さん諦めて」と高校野球「裏」ビジネスと、国語力検定

[2008年04月03日(木) ]

asahi.com(2008年04月01日21時05分)より。

《「ねんきん特別便」の発送数を増やしたことで各地の社会保険事務所の相談窓口が混雑しているため、社会保険庁は4〜6月、全国の社保事務所と年金相談センターで休日にも相談を受け付ける日を増やす。(中略)時間は午前9時30分〜午後4時。》

いや、気になってたんですよ、相談窓口受付時間。

少し前に、この混雑のことをネタにして、「11時に行って6時間待ちですっつーのは、国語力的には『とっとと帰れ』と同義だな」と書いたんで。

午後4時までなら、11時に6時間待ちというのは、やっぱり「受け付けるつもりはない、とっとと帰れ」と同義ですね。

そういや、テレビのニュースでは、相談の予約受付をしていて、今は何と最速で8月!というのもやってたな。これも国語力的には、「来てほしくねーなー」という気持ちを読み取ってあげるのが正解か。

しかし、超人気レストランなどで、予約が3ヶ月先まで一杯、というのはわかる。場所とスタッフの制約があるからね。

現状でも窓口がパンク状態だというのに、社保庁、レストランと同じ感覚で、場所もスタッフも拡充するつもりはないってことかな、8月の予約を今受け付けるってことは。



もう1つ、社保庁ネタ。毎日jp(2008年4月1日18時45分)より。

《舛添要一厚生労働相は1日の参院厚労委員会で、国民年金に60歳以降も任意加入し満額を受け取る条件を満たした後も保険料を払い続けていた人に対する過払い分の扱いについて「(不公平是正策を)運用面で早急に検討する」と述べ、保険料の返還を検討する考えを示した。(中略)国民年金は原則20〜60歳になるまでの40年間、保険料を払い続けないと満額受給できない。条件を満たせない場合、65歳まで任意加入し「40年加入」に近づけることができる一方、40年を超えて払った保険料は給付には結びつかない。/社会保険庁は05年4月、60歳以降の任意加入期間中に「40年」を満たした場合、その後は納付を受け付けない制度に改めたが、それ以前は本人が申請しない限り保険料を徴収し続け、返還もしていなかった。》

これ、今年の1月に「おかしくね?」と問題になったが、社保庁は「そういう制度はないので返還できない。返還してほしければ行政訴訟をおこしてもらうしかない」と言っていたようですね。

民間企業がこれに類することをしたら、ものすごいバッシングを受けると思うのだが。

また、「我が社にはそういう制度はないので、返還できない。お客さん、間違って払っちゃったおカネでしょ、まあ諦めて」なんて言おうものなら、間違いなく企業としての常識を疑われる。

企業としての常識、以前に、ノーマルな人間の常識からして、「おかしくね?」という話だろう。

……ああ、またここ数日と似たような傾向の内容になってしまった。

ちょっと趣きをかえて。



軍司貞則『高校野球「裏」ビジネス』(ちくま新書)読了。



タイムリーな話題だ。ってこともないか。いや、今ちょうどセンバツやってるんで。

しかし、特待生問題も、なんだか尻すぼみに終わった感強し、ですよね。

この本も、おもしろいはおもしろい。野球少年とその親、また彼らと学校とをつなぐブローカー、さらにいくつかの個別の学校についての実態は、非常によくわかる。

けど、問題を尻すぼみにさせちゃった根本の原因までには、踏み込めていないような気がする。

高野連、私立中高連合会、文科相・政治家、それぞれの思惑、それぞれの行動を規定しているものが、何なのか。

私立中高連合会は、まあ言っちゃえば「経営」なんだろうけど。

こう、三者がそれぞれ別の方向を向いていて、でも何らかの結論を出さなきゃなんないから、まあこのぐらいにしときましょか、という、みんな顔をアサッテの方に向けて握手しているみたいな。

だから、この三者に何の関係もない人が、会議で核心をつく発言をしても、まるでその発言を誰も聞かなかったようにスルーされてしまうわけで。

読後感は、「ああ、特待生問題、何だか騒ぎにはなったけど、少なくともしばらくは、何にも変わらんのだろうなあ」というものであった。

いくつか引用しておく。

《いいピッチャーをたくさん獲ることは、最悪の場合、活躍しなくても、敵になって脅威にもならない。これだけでもメリットなのだ。》(p22)

なるほど。

ビジネスで言うところの、

自社と競合で供給過剰になる

製品・サービスの価格が下落する

競合を買収する

競合が持っていた生産設備を廃棄する

供給を抑える

価格を維持する

……みたいなもんですかね。

あ。法曹人口を増やすことに弁護士会が反対してるのも、同じような構図か。冗談です冗談です激しく冗談です。

《大阪(関西圏)の人にとって、野球はある面で投資なのだろう。親が子供へ期待をかけた投資なのだ。投資に対して“モト”を取るひとつの手段が“野球留学”であろう。有利な条件で、東北、北陸、四国、九州などの高校へ売ることは正当なビジネスと考えているのではないか。》(p124〜125)

おお、ここではストレートに、野球=ビジネス、と。

でも、言ってみれば、親が子供を育てること自体、すべてではないにしても、投資って側面があったんじゃないかな、少なくとも昔は。老後の面倒を見てもらうための。今は、微妙に変わってきてるのかもしらんが。

もちろん、自分がリターンをもらうんじゃなくて、1つ下の世代へ再投資してもらう(自分が与えた分を下の世代へ与えてもらう)のである、そうやって連綿と種は続いていくのである……という側面もあるでしょう。

うーむ、いずれにしてもおれは……やめとこ。

《2006年3月、第78回センバツへの出場が決まっていた駒大苫小牧は、野球部員の3年生10人が卒業式の後、苫小牧市内の居酒屋でクラスの打ち上げに参加。居酒屋にいた他校の高校生が警察に電話を入れて発覚。それをきっかけに駒大苫小牧はセンバツ出場辞退を表明した。根っこは地元民の密告である。》(p175)

「居酒屋にいた他校の高校生」、よく警察に電話できたな。「ああ、ぼく、○○高校の××と言います、今、居酒屋にいるんですけど」って電話したのかな。

それはそれで、なかなか度胸のある行為ではある。

が、少なくとも、「駒大苫小牧の生徒が悪いことをしている、だから正さねばならぬ」という正義感から出た行為ではない、ということだけは言えるだろう。自分も同じことしてるんだからね。自分が同じ悪いことをしつつ他者の悪を正す、という正義感は、ちょっと理解できない。

ひょっとして、駒大苫小牧野球部の生徒、居酒屋でモテモテだったんだろうか。それに対する「なんでえチクショー」という気持ちから出た行為、というのであれば、うんうんわかる、よーくわかるよ。

《同じく居酒屋で酒を飲んで密告した他校の高校生は不問に付された。駒大苫小牧高の一般の3年生も大勢いたはずだが、野球部だけが責められた。》(p176)

他校の生徒、一般の生徒は、不問に付されたとき、どう感じただろうか。

国語力的に、非常に興味深いところである。

《野球の世界で“ボール”は、政治の世界での“絵画”と同じ性格を持っている。/“絵画”をもらった政治家は、指定された場所(たとえば画廊)へ、それを持って行き、何千万円という金額で買い取ってもらう。それによって直接の金銭のやりとりを消せる。“ボール”もそれと同じで、1ダース単位のボールで値段がつく。10ダースあれば、それに匹敵するお金に化ける。50ダースあればその値段に化ける。/野球の世界では“ボール”は“お金”なのだ。》(p222)

これは、全然知りませんでした。けど、なるほどねー、って感じです。

パチンコの世界における、ライターの石みたいなもんか。ちょと違うかな。

最後に、国語力的におもしろかった、というか、クスッとした箇所を。

《私の手元に、「『××××××高校、校長・教頭・野球部監督・部長・コーチ全員による不祥事隠蔽・揉み消し・部員に対する口止め工作』について」と題された一通の告発文がある。ある野球強豪校の父兄(複数)やOBらがまとめた野球部内暴力とボーイズリーグ特待生問題を含んだ文章である。(中略)告発文は暴力行為に加え、不祥事についても書かれている。(中略)「学校から監督への巨額な金銭の流用(野球部へ形の残っていない経費800万や若い女性が在籍する夜のクラブ活動費用、監督の携帯代)」》(p83〜85)

いやいや、告発内容自体、その事実にクスッとしたわけじゃないですよ、もしそれが本当に事実であれば、とんでもないことです。

クスッとしたのは、「若い女性が在籍する夜のクラブ活動」……へーえ、そういう活動も「クラブ活動」って言うんだあ、という点です。

「社長、今夜はどこへ?」

「いつものクラブ活動さ!」

てな感じでしょうか。

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特待生問題、一時的な騒ぎにして、一番トクをしたのは誰だろうか、ということを考えています。田中誠って、「ギャンブルレーサー」の作者でしたっけ。あれ、好きだったな。読んでみます。
Posted by:国語力研究所代表 at 2008年04月04日(金) 17:10
う〜む。どちらのもあまりにもとほほな出来事ですね。コメントする気力も失せるというものです。が、ここは気力を振り絞って。

社保庁に関しては、窓口での処理件数をボーナスの査定の対象とし、同時に、対応へのクレーム数もマイナスの査定要因とする! ってことにすればいいんじゃないですかね。人員を増やさなくてもけっこういけるのでは。ついでに一定の基準に達していない者は、社保庁解体後の身分を保障しないってことにすれば、もっと能率的にことは動きますよ。きっと。

特待生については、たぶん野球だけを云々するのは無理なのではないかと。世の中的な反発の大きさを考えると、入学に際しての優遇措置全般を見直すってことにもたぶんならないでしょうし、なるべくしてうやむやになったということなんじゃないでしょうか。このあたりの高校野球に関わる問題を、『実録!関東昭和軍』(田中誠作)っていうマンガが、ユーモアを交えつつ、ダーティーにしゃれのめしています。
Posted by:垂渓庵 at 2008年04月03日(木) 23:21