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『捨てられるホワイトカラー』と能力主義・成果主義と、国語力検定

[2007年11月08日(木) ]

バーバラ・エーレンライク『捨てられるホワイトカラー』(東洋経済新報社)読了。



著者の体験ルポ、といった趣きの本で、とりわけ「おお! そうだったのか!」という内容はなかった……ような気がします。弱気。

アメリカでは、転職(あるいは失職後の求職)時に、履歴書の書き方のコーチングを受けたり(もちろん有料!)、自己啓発的なセミナーに行ったり(もちろん有料!)するのがフツーのようで、そこがアメリカっぽいのかなー、とは思いましたが。何でも商売にするんかい、という意味で。

でも、困っている人を、より困らせるってのも、どうなのかなー。このあたりを、公的に支援する仕組みを作ればいいのに。

自己責任、能力主義、成果主義、小さな政府、といった思想とは相容れないのか。

それに関連して、一節だけ引用しておく。

《経済の「勝者たち」――権力と高額な報酬を約束された仕事をしている連中――から見れば、自分の運命はすべて自分がもたらしたものだという考え方は、実に都合がいいにちがいない。勝者たちの成功を最高のほめ言葉で説明してくれるし、敗者たちの苦情は無効にしてくれるからだ。》(p115〜116)

企業のトップマネジメントにとって、能力主義・成果主義という言葉は、実に甘美なんでしょうね。

だって、「我が社は能力主義・成果主義である」と宣言したとたん、トップは企業の中で最も能力があり、成果を挙げた結果、トップなのである、ということになり(事実、そういう場合もあるでしょうが)、一方で低い階層にいる人に対しては、「それはひとえにキミの努力不足、能力不足に起因するのであって、それ以外に原因はない。すなわち、変わらなければならないのはキミだけであって、キミ以外のものではない」と宣言することになる(これまた、事実、そういう場合もあるんでしょうが)わけですから。

それ以外では、参考文献として挙げられていた、フレイザー『窒息するオフィス――仕事に脅迫されるアメリカ人』(岩波書店)、セネット『それでも資本主義についていくか――アメリカ型経営と個人の衝突』(ダイヤモンド社)を読んでみようかな、というところです。

そういえば、こない見かけた、クルツ『資本主義黒書』(新曜社)というのも、おもしろそうだったな。バランスとるために、『共産主義黒書』ってのも併せて読んでおくか。


昨日、帰宅すると、激しくドキッとする手紙が届いてました。家に入って、部屋着に着替えもせず、あわてて封を開けてみるぐらい。それについては、また明日。

コメント

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chikurin先生のところは、アンケートが重視されてるそうですよね。

個人事業主的営業マンの連合体のような企業だけだと思いますけど。個人に成果を帰すという意味での成果主義がしっくりくるのは。

にもかかわらず、個人レベルに分割した細かい指標を課すと、えてしてそれが(本当は全体の目的のための手段にすぎないのに)目的化してしまう、といったことが起こりがちです。

えーと、これ以上書くとヤバイところに行っちゃいそうなので、続きは12月に大阪で。
Posted by:国語力研究所代表 at 2007年11月09日(金) 09:15
おお、激しくドキドキ!

ところで、うちのような学校では成果主義ってどういうことになるでしょうかね。大学合格者の数なんでしょうか。あるいは、生徒のアンケートの結果とか? いずれにしても何かしっくりこない気がするのですが。

一般企業でもそんな風に単純な指標で成果を測りにくい部署がありそうに思うのですが、どういうことになっているんでしょう。
Posted by:垂渓庵 at 2007年11月08日(木) 22:48