奥駿河湾釣り日記

酒、釣り、読書、ときどき国語力。なお、このブログはフィクションであり、登場する土地、機関、人物は、作者自身も含めてすべて架空のものです。

2017.08.12 12:50

ピーター・アーリンダー、薄井雅子『えひめ丸事件――語られざる真実を追う』(新日本出版社)読了。
 
えひめ丸事件のニュースを観たのは、クドーさんたちと仙台駅で牛タン食ってるときだったか。あの頃は年に数回、仕事で仙台行ってたな。萩の月の簡易包装版をお土産に買って帰ったもんだ。凍らせて食うとまた美味いんだよな、萩の月。
 
なんてことはどうでもよろしい。
 
この本、『舷窓百話』で知って読んだわけであるが、読まれるべき本である。米海軍も、愛媛県(当然、国の意をうけているんだろうが)も、ひでえな。さらに言えば、米海軍のほうが後ろめたさを感じているようである分、まだマシで、愛媛県(当然、国の意をうけているんだろうが)は、しゃあしゃあとやっているという印象を受ける。被害者のみなさんが気の毒でしょうがない。
 
いくつか引用。
 
米海軍は潜水艦のワドル艦長を軍法会議にかけなかった。
 
《ファーゴが自分の裁量でワドルを名誉除隊処分にし、自分たちの将来の災のもとをさっさと追い払ったのは当然といえば当然だった。アメリカの軍隊内部の「裁き」とはこういうものだ。上官の責任にまで及びそうなときは、下級兵士たちをお払い箱にして自分たちを守る。》(p146)
 
事故当時、潜水艦には民間企業のエライ人たちが乗っていた。軍のエライ人たちは、そこにまで突っ込まれるのを避けたわけです。
 
そして愛媛県は、県が依頼した弁護団を被害者と家族のみなさんに紹介した。「よかれと思って」というフリをして。
 
《県と県の弁護士たちは、家族たちに会う前に、次の点をよく知っていたはずだ。①えひめ丸事件の徹底調査は、海軍の責任のみならず船主である愛媛県の責任を提起するかもしれず、②弁護士が、県と被害者双方を代理することは「利益相反」である、ということを――。》(p186)
 
《県はえひめ丸の安全性に問題があることを知っており、将来の責任追及の芽をことごとく摘み取ろうとしたのだとしか考えられない。》(p198)
 
米海軍がワドル艦長を軍法会議にかけなかったことは、結果として愛媛県をアシストすることにもなった。
 
《もしワドルが軍法会議にかけられたら、ギティンズ弁護士は、えひめ丸の船体の安全性の問題、生徒や乗員がなぜ逃げ遅れたかを詳しく追及しただろう。そうなれば、船の持ち主である県の責任も俎上にのぼった可能性がある。》(p211)
 
どう考えても、被害者ファーストではない。
 
《愛媛県は、直接・間接に、被害者・家族にたいして“県との相乗り示談での解決”が好ましいという圧力をかけ続けた。/知事のほのめかしばかりでなく、行政側からさまざまな“直接的圧力”が家族にたいしてかかってきたという。》(p225)
 
ちなみに「知事」とは、先日の国会での閉会中審査にも登場していた、あの、なかなかキャラの立った知事さん。そう思うと、なんだか味わい深い。
 
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