(元)北大生編集者のキタラボ

キタラボには、大好きな北海道の魅力を探求していく「北の研究室」という意味と、クラシック音楽好きのあまり、学生時代にバイトしていたコンサートホールの愛称を組み合わせたものです。北海道のこと、音楽について、お仕事について、経済学修士の視点で(?)書いていきます。

     
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社会保障化した景気対策
[2008年11月07日(金) ]

今度の景気対策として実行されようとしている定額減税

定額減税には還付時に問題があります。
例えば5万円の定額減税だとした場合、
その年の税額が3万円の人はどのような扱いになるのでしょうか?
3万円の減税(還付)だとすると、所得把握の作業が必要になるほか、
定額ではなくなってしまいますね。
でも、一律5万円還付したら、
負の所得税となってしまいます


報道によれば、これを定額(一般世帯で6万円)とするそうです。

さらには所得制限を設け、
1,500万円以上の所得がある人は定額減税を受けられない
ことになるそうです


ただでさえ「弱者救済的な」定額減税にさらに手を加え、
収めた税額がゼロであっても「減税」の恩恵を受けられる。
収めた税額が大きい人は「減税」すらされない

これはもはや減税ではなく社会保障ではないでしょうか?


社会保障は、減税に比べ景気刺激の効果が格段に落ちてしまいます


あと、これだけ迷走すると、
心理的な景気刺激効果もなくなってしまいそうですね。
特に、当初の「景気対策のための大型減税」を見せられているだけに余計…
定額減税
[2008年11月06日(木) ]

麻生政権の景気対策の目玉として検討されている
所得税減税ですが、

小渕政権時に実施され、比較的奏功した
定率減税になるかと思いきや、新聞報道によれば、
今回は定額減税になるという方向で検討が進められてきました

定率減税は、その年に収めた税金から
定率(当時は20%→後に10%→廃止)の税金を還元するというもので、
給与所得者であれば、12月の年末調整時に給与とともに支払われました

納めた税金の一定割合が返還されるので、
ある意味平等な制度ということがいえるでしょう。
その人の購買力に合わせて、消費意欲が喚起されるといえます


定額減税は、納めた税金にかかわらず、一定額を返還するというもので、
その還元率は、収めた税額が少ない人ほど高くなる仕組みになっています。

定額減税は、定率減税に比べ弱者救済的な要素が強い制度です。
10万円の税金を支払っている人に5万円還元されるのと、
100万円の税金を支払っている人に5万円還元されるのでは、
まったく「ありがたみ」が異なります。
同じありがたみを後者に還元するならば、50万円が必要ですよね。


所得税自体が、累進課税により所得が高くなればなるほど
高い税率で支払わなくてはならない不平等の税金です。
(「先天的な不平等是正」が求める所得再配分機能の度合いは、
所得税は資産課税よりも弱いはずです)

それを定率で還付の時点で、所得税の不平等性は残っていて、
所得税における所得再配分機能は同様に機能しています。

定額に還付をするというのは、
所得再配分機能をさらに強化をするという意味で、
もともと持つ不平等な仕組みに、
さらに不平等を加味する制度
ともいえます


…特定の層だけが恩恵を受けられる減税で、
広く一般的に歓迎されるものではくなってしまったようです。
景気対策のジレンマA
[2008年10月24日(金) ]

金融政策よりも財政政策のほうが即効性がある。

今回のような景気減速懸念が急速に台頭してきた時、
即効性のある財政政策を行えば、
深刻な事態にならずに済むかもしれません。

実際、どうだったのでしょうか?

リーマンブラザーズが破綻した際、
すぐに日銀は金融市場への資金供給を行い、
市場の安定に努めました。

各国の中央銀行も、金利引下げなど、
資金の流動性確保のための対応をすぐにとりました。

金融政策は即座に実行に移されました。


では財政政策は?

アメリカで最大75兆円に及ぶ公的資金投入を掲げた
金融安定化法案が、成立までにドタバタがあったのは
記憶に新しいところです。

日本でも、今月になってようやく補正予算が成立しました。

リーマン破綻が判明→株価が大幅下落
アメリカの金融安定化法案が下院否決→株価はさらに大幅下落
アメリカの金融安定化法案成立→ほどなく株価は上昇
しばらくして日本の補正予算が成立→株価は無反応

このような政策は、実効性はもとより、
市場心理に与える効果も大きく、
緊急時に成立することで安心感をもたらしてくれます。

日本の補正予算成立時は、
株価は無反応といっていいほどでした。
日本の財政政策決定時期は、その効果が消えるほど遅かった
ということなのでしょう。


(つづく)
景気対策のジレンマ@
[2008年10月22日(水) ]

ちょっと違った視点から政治を見てみることにしましょう。

株価は、昨年1万8千円台をつけてから、
サブプライム懸念→顕在化を経て、
徐々に値を下げてきました(1万2千円台→8千円台は急激でしたが)。

この間、実体経済への影響が懸念から現実に変わり、
景気対策のための経済政策が必要になりました。


経済政策には財政政策金融政策があります。

財政政策は政府の支出増による所得増加政策です。
消費活動が景気の源泉だとすれば、
消費者の所得が増えるような政策を行うことで、
消費者の購買意欲を刺激し、
消費活動が活発になり、景気が拡大します

金融政策は、中央銀行(日銀)の貨幣供給量増による所得増加政策です。
企業活動の源泉は資金調達にあるともいえます。
貨幣供給量(基準金利によってコントロールされます)が増加すれば、
企業は資金を調達しやすくなり、事業を拡大することにより
雇用を増やしたり、利益が賃金に還元されたりして、
消費者(雇用者)の所得を増やし、
消費活動が活発になり、景気が拡大します


上でみたとおり、最終的に消費増は、
金融政策の方が長いステップが必要になります。
このように一般的には、金融政策よりも財政政策の方が
即効性があるといわれています


(つづく)


※ここではもっとも一般的な事象のみ取り上げており、他の要因を排除していることをご承知おきください
逆資産効果
[2008年10月07日(火) ]

経済学で説明されている現象の一つに
資産効果
というものがあります。

これは提唱者の名前をとって
ピグー効果
とも呼ばれています。

物価上昇率が下がることにより、資産の相対価格が上がり、
余ったお金が消費に回るという効果
のことです。

同じように、資産を保有している人にとっては、
資産の時価上昇により
購買余力が発生し、消費活動を活発化させる
という効果の説明にもなっています


逆資産効果とは、これとはまったく逆の現象。
資産の価格が低下して、時価が下落すると、
実質的な資産総額が目減りしてしまっていることになるのです

時価300万円の資産持っていた人がいるとします。
これが500万円に値上がりしたら、
実質的には500円万円を所有しているのと同じです。
しかしこれが100万円に値下がりしてしまったら…
実質的に100万円しか保有していないことになります

資産は売らなければ金銭化されないものですが、
資産価格の下落は、こんなところにも影響を及ぼしてしまうのです。


本日、日経平均株価が一時10,000円を割ってしまいました。
少しですが株を保有しているキタラボは、
逆資産効果を絶賛体感中です




十勝地方池田町の「池田ワイン城」に飾られていました。とても珍しい方のサイン入りです。
鮭が大好きなあの方です。誰だかわかりますか…?
市場は不可侵か?
[2008年09月30日(火) ]

今朝、ニュースを見たらびっくりでした。

アメリカの金融安定化法案が否決されてしまったのです

今朝の朝刊では「成立の見通し」となっていましたので、
最後にどんでん返しが起こったことになります

おかげさまでNY株式をはじめ、日本の株式市場も暴落。
成立するだろうと織り込んでいただけに、ショックは大きなものになりました

最後まで、新古典派的な考えをする議員を説得できなかったようです。
新古典派とは、文字通り古典派の現代版です。
アダム・スミスの築き上げた美しい経済学の世界を、
現代に適応させた考え方を支持する学派です。

音楽で言えばブラームスのような人々ですね


対するものとしては、ケインズ派というものがあります。
前回の大恐慌時に、古典派の考えで臨んだ結果、
なす術もなく恐慌に突入していった反省と、
ニューディール政策をはじめとする「政府支出による景気回復」を達成した実績もあります。


「市場に任せておけば調整され景気回復に向かう」
という市場放任主義と、
「市場に介入して景気を誘導しなければ市民生活に支障をきたす」
という2軸の対立。


確かに、このまま放っておけば「市場原理により」調整され、
景気は回復に向かうことでしょう。
その考え方は間違いではないと思います。

しかし、その調整速度はどのくらいでしょう?

市場原理が科学の原理と同じであるならば、
振れ幅が大きいものほど収縮には時間がかかります。
その間、人々はじっと耐えなければならないのでしょうか?

経済学は科学だと思っています。
ノーベル賞に経済学賞があるのも、この主張と無縁ではないでしょう。

やまない雨がないように、回復しない恐慌もないかもしれません。
でも、雨戸を閉めることから、安全な場所を見極めて避難させること、
被害の大きそうなところを見定めて救出に向かうことまで、
雨を科学すればできる防御策があるはずです

科学だからこそ、人々のケガが最小限になるように
その成果を還元する必要があると、私は思います。
サブプライム問題の問題点
[2008年09月18日(木) ]

リスクが高いがリターンも大きい「サブプライムローンの証券化商品」が含まれている、投資信託は悪いものではありません。

ではどこが問題なのでしょうか?


nagataさんからのコメントにあったように、
「証券化により現実の需給からかけ離れてしまった」
ということは、かなり本質的な問題のひとつです。

投機の実体経済への侵略ということを示唆しています。
さながらバブル期の地上げ行為にも似ています

サブプライムローン証券化商品の「利益の源泉」は、住宅ローンです。
つまり、住宅ローンを設定すればするほど、たくさんの収益を上げられるのです。
証券会社(ローン会社)はどんどん組ませますよね

収入がしっかりしている人ならいいのですが、低所得者に対してもどんどん住宅ローンを組ませていったのです。本来は必要のない人にまで

これには、不動産投機の隆盛により、不動産のインフレ期待が高かったことも影響しています

インフレ期待が高いと、人々はリスクを許容します。

「来年、この商品は今年の倍の値段がつきます。」
今年、この商品を購入してしまえば、来年は倍の値段で売ることができるのです。
たとえ10%/年の利息で借金をしようが、翌年の返済額は10%増。
売却額は100%増です。

これに乗らない手はないですよね。
みんながこれに乗っていけば、どんどん値段は上がります。

でも、あるときを境に倍になるどころか、大幅に元本割れしてしまったのです。


「本当に必要で住宅を購入していた人」を
「儲かりそうだから住宅を購入した人、させた人」が侵略した。
証券会社と消費者の投機的動機が、
住宅価格を実体経済とはかけ離れたものにしてしまったのです。
リーマン破綻
[2008年09月17日(水) ]

世間をにぎわしていますね。

サブプライムローン問題に端を発する一連の問題は、
時事問題などでも狙われやすいと思うので、
教養試験などを受ける方はしっかりチェックしておいてくださいね

サブプライムローン問題が表面化したのは昨年の8月のこと。
ちょうど日本のお盆の期間でしたね。
知らぬ間に株価が大幅下落していました

サブプライムローンとは、信用度の低い人向けの住宅ローンのことです。
信用度の低い人は、銀行もいい条件ではお金を貸してくれません。
優良顧客向けの住宅ローンよりも高い利子率になります

逆に言えば、銀行は高い利回りが保証されるわけです

リスクは高いですが、高いリターンが期待できるものです。
これを証券化して投資商品として販売するようになりました。
これを住宅ローンの証券化と呼びます。
(住宅ローン「フラット35」も証券化されています)

さらにリスク分散の手法として、
さまざまな証券と組み合わせて、
サブプライムローンの証券も投資信託の中に組み込まれました。

投資信託は、「ナントカファンド」などという名前はありますが、
その中身はさまざまな投資商品で構成されていて、
一般の人はその一つ一つまで把握することは難しいのが現状です。

これは、悪いことではありません。
資産のリスクを分散すべく、株式や債券などに幅広く投資することは、
投資の基本でもあります

投資信託は、少ない元手でもさまざまな投資商品に分散投資していることになり、さらに投資技術を持つファンドマネージャーがコントロールしていくのですから、非常に魅力的な投資商品なのです

つまり、そこにサブプライムローンが入っているからといって、ただちに問題になるようなものではなかったのです。

これだけ見ると、健全な経済活動のようにも見えますね…
何が原因だったのでしょうか?
本当に環境派?
[2008年09月11日(木) ]

実は大学院環境経済学を専攻していたキタラボです
(本流というよりも、公共選択とか経済厚生とかを絡めていたクチですが)

自民党総裁選、なんだか話題になっていますね。
政治(報道?)というものは、面白いもので、
野党の党首選挙などで主張がぶつかり合う場合は、
「バラバラ」「一枚岩ではない」→「政権を任せられない」
としておきながら、
与党の総裁選ではこれだけ候補が乱立して主張が入り乱れているのに、
先ほどのような批判は聞こえてきません。
不思議です

ところで、候補者の一人から環境税を導入すべしという公約が掲げられています。
石油など温室効果ガスを発生させるものに課税することで、
需要を抑制したり、税収を「課税対象の使用による増加する環境負荷」
の低減対策に使用するというものです

外部性を内部化するという意味で有効ですし、
誰もが望んでいるが優先順位の低い「環境政策」実行の手助けになります。

しかし、その候補者は、その財源を年金などの社会保障にもあてると言っています

もちろん年金問題は重要な問題ですが、
それを環境の目的税である環境税から支出するというのは、
キタラボとしては「?」です。

環境対策は、必要だと支持を得やすい一方、自分の利害とは認識しづらいので、後回しにされがちです。政策の効果が出るのは100年後かもしれませんし、気温が0.1度上がろうが直ちに生活が困難に陥るレベルではありません。

普段から冷遇されているからこそ、環境政策を確実に実行させる環境税が必要という側面があるのです。

それをいとも簡単に「他にも使います」というのは…


この人、ホントに環境派?って思っちゃいました。。
環境という言葉は、単なるイメージアップの道具に過ぎないのでしょうか
儲かる業界
[2008年09月03日(水) ]

就職先や投資先を探しているとき、何を見て選んでいますか?

イメージや将来性、雰囲気なども重要ですが、
しかし、それらは主観的要素であったり、
マスコミによる影響(もとをたどれば企業の広告宣伝費ですが)が大きかったりします

もっと客観的な要素として、どれだけ効率よく儲けているか
という点があります。

売上高とステークホルダー(利害関係者)の数は、
一定の相関関係がありそうです(厳密には正しくありませんが)。
つまり、たくさん売上を上げる企業には、
従業員が多くいたり株主が多くいたりして、
同じ額の利益を上げても
それぞれの配分額は少なくなるかもしれません

そこで、売上高利益率という指標が、
企業規模に対する利益の効率性を見るのに便利なものとなります

有名企業の2008年3月期の売上高利益率(当期純利益)を見てみましょう

【自動車メーカー】
トヨタ自動車:6.5%
日産自動車:4.5%

【製造業】
キヤノン:10.9%
ソニー:4.2%

【航空業】
JAL:0.8%
ANA:4.3%

【小売業】
セブンアンドアイホールディングス:2.3%
イオン:0.9%

【金融業】
三菱UFJフィナンシャルグループ:10.0%
野村證券:-4.3%

例に挙げた企業は、どれも誰もがあこがれる超有名企業です。
平均は、4.0%
ここでは、税引き後当期純利益を用いて計算していますので、
売上高営業利益率や経常利益率よりも悪い数字が出ているのですが、売上高の4%くらいしか、会社及び投資家の手元には残らないのです

世界で活躍する自動車メーカーよりも、
金融業の方がいい数字を出していたり、
小売業の数字が低かったり、
業界によって、儲け方には明確な違いがあるようです
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