[2008年05月27日(火) ]
今日は、下書きが残っていると面白いことがあったりする、という話。
あれは大学のゼミで、神保町の古本屋、古書店巡りをしたときのこと。
最後に、神田では老舗の古書店に伺いました。
そこは、ただの古本ではなくて、もう絶版になった本などの歴史的、資料的な価値がある古書を扱うところで、三階には(普段一般の人は入れないのですが)昔の文豪直筆のサインや、下書きの原稿用紙、掛け軸などが置いてあったのです。
結構多人数で押しかけたので、その狭い部屋に詰め込まれる形になりましたが、自分のすぐ後ろにある掛け軸についた値札に、200万とか書いてあったので、冷や汗のかきっぱなしでした。
それはともかく、いくら明治時代の文豪の下書きだからって、未完の作品の続きというわけでもないし、印刷された本が既にあるわけだし、何でわざわざ読みにくい(文豪の字は大抵汚いのです)ものに価値があるんだろうと思ったものです。
そこで店主の人が丁寧に説明してくれました。
「もし、夏目漱石の『我輩は猫である』の原稿が見つかって、初めの書き出しのところが、『我輩は犬である』と書いてあって、二重線で消してあったらどうでしょう。そこには、印刷された本からは読み取ることの出来ない作家の苦悩や推敲があるのです」
なるほど。確かに。
パソコンのワープロ機能では、決してこういう迷いは残らないですよね。
文章を書くことに慣れるまでは、作文の下書きは紙に残しましょう。
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